グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

農地には水がなければはじまらない。

2013-05-20 22:55:38 | Weblog
農地には水がなければはじまらない。

前回の旱魃当時の記事です。
2011年1月から始まった南九州の太平洋岸の干ばつは、結局5月
まで続き、農業や市民の生活にに多大な影響を及ぼすことになりまし
た。そんな干ばつのさなかにあった4月はじめの様子を伝えた回・・・
よろしかったらご参考に。なんといっても、こんどはあなたのお住ま
いになっている地方が干ばつになるかもしれませんから。

 ↓

『農地には水がなければはじまらない。』

3月下旬から早期水稲の田植がはじまった宮崎県では、深刻な水不
に悩まされています。宮崎地方気象台によると県内は今年に入って
少雨傾向にあり、宮崎市の3月の降水量は32ミリで、平年の180
ミリを大幅に下回っている。4月も降水量の少ない状態が続く見通し
を発表しています。

4月1日の地方紙はそのような渇水の状況を次のように伝えていました。

宮崎県内で水不足の影響が出始めている。昨年夏からの少雨が今年
 に入っても続いているためで「これまでにない深刻さ」(県河川課)。
 ダムからの緊急放流や農業用水の取水制限などでしのいでいるが、
 一部自治体で稲作などへの影響が出始めており、まとまった雨が降
 らなければ上水道への影響も懸念される。


と、いうもの。

 状況.jpg
 田植後の干上がった田と、水不足の状況を伝える新聞記事

そのような状態を受けて、宮崎県の河野俊嗣知事は7日、少雨のため
一ツ瀬ダム(西都市)と渡川ダム(美郷町)の有効貯水率がゼロとなり、
枯渇したことを発表、他のダムも枯渇が懸念されるとして、農工業用
水の大口利用者や流域自治体などに節水
を呼び掛けます。

そして4日8日。気象台の予報では、『県内全域でまとまった雨が降
る』との予報であったにもかかわらず、残念なことに結果は少雨に。

県河川課によると、

県の管理13ダムのにおいて、ダムへの降水量は1月は4%、2月
 は42%、3月は16パーセントでしかなかった

県内のダム46カ所のうち、枯渇した一ツ瀬と渡川のほか、別の4
 カ所も放流量を調整。今後も雨が降らなければ1-2週間で最低水
 位を下回り、貯水率がゼロとなる見通し


と、いう深刻な水の状態を報告するに至りました。

・・・この時期のこの渇水は誰しも記憶にないところ。宮崎の農家の
間では50年、いや60年以上も実施されたことのない“雨乞い”の
儀式の話が取りざたされる
ようにまでなっています。
昨年のいまごろは多雨による日照不足がつづいていたのですから、自
然というものは、つくづく予測のつきにくいものだと実感せずには
おられません。 

いじょう、農地には水がなければはじまらないものだなと痛感せられ
た話でした。


◎ 平年は カッパの王国といわれるほどに、宮崎は水に恵まれた土地
  柄なのですけれど・・。。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




極端な多雨・少雨の年が増えている日本。

2013-05-20 11:55:09 | Weblog
極端な多雨・少雨の年が増えている日本。

日本の農業生産にとって大事な水の問題を考えた場合に まず第一に
挙げなければならないこと、それは日本の降水量の変化です。

気象庁の全国の51地点での継続した調査や国立環境研究所の調査で、
とくに西日本を中心にしたほとんどの地点で年降水量の変動が大きくな
っていることが報告されています。つまり 

 極端な多雨と、そして極端な少雨の年

が多くなってきているのです。

それはすなわち

水がほしいのに、降らない
水が過剰なのに、まだ降る

という異常気象が増加しているのを示しています。

極端な少雨の例として・・・2011年の3月からおこった宮崎県にお
ける大渇水ですが・・・県央の一ツ瀬ダムのダム湖沿いの道を走ってみた
光景は、つぎのようなものでした。


 森林浴.jpg


いっけん、緑に覆われたのどかな写真に見えますが、


 下がる喫水線.jpg


注目すべきは、ダム湖の 喫水線 です。


 ダム湖の異変.jpg


いつもの年であれば、緑の下は、ほどなく水面。白く見える崖のが、
普段は湖水に沈んでいる部分
 になるのです。


 干上がるダム湖.jpg


建設当時に“西日本最大のダム”ともいわれた一ツ瀬ダムのダム湖の貯水
量がこの状況なのですから、このときの水事情がいかに逼迫したものであっ
たのかがわかろうというものです。

付け加えて、もうひとつ。


 低水放流.jpg


上の写真は、ここ一ツ瀬ダムよりも北、大分県にある北川ダムに関する
2011年5月21日付けの新聞記事ですが・・・このように〔50年ぶりとも
形容される大干ばつにおいて〕東九州各地のダムでは、

 史上はじめての低水放流を実施しなければならない

というほどの貯水率の減少という事態に見舞われてしまったのでした。

ということで今回は、日本で増加している異常気象の例として〔多雨の例
となる大水害とは異なって一般的なニュースとして取り上げられることの
少ない
〕干ばつについての実例のご紹でした。


◎ そしていっぽう多雨の例ですが、この大干ばつの翌年〔2012年〕
  には 甚大な被害をもたらすことになる 九州北部豪雨 が起こる
  ことになります。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染