グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

早春に。サクラの枝を切る人は。

2014-01-20 22:18:58 | Weblog
早春に。サクラの枝を切る人は。

日本人に人気のあるサクラ、ソメイヨシノ致命的な被害を与えるてんぐ
巣病
についての話のつづきです。

前回、この病気は タフリナ属菌のカビ の伝染などをはじめとするストレス
によって引き起こされるらしいことをご説明してきました。

そして今回は、対策なのですが・・・

菌そのものに効く薬剤がない、この てんぐ巣病の対策・・・それは

 病気にかかった部分の枝を切り落とす

という物理的な手法をとることだけなのです。

胞子が形成される前、つまりサクラの葉が落ちている休眠期に『茎・
枝が異常に密生する奇形症状を示す部分』をひたすら切り落とすこと、
これが 唯一で最良の治療法 なのです。

したがって・・・そう、あしたのジョーの段平の「打つべし・打つべし
の指導よろしく、対策は ひたすら「切るべし・切るべし」の繰り返し
となる。

ちょっとしたサクラの名所であれば、2500本から5000本くらいの樹
がありますから、そのサクラの樹の一本一本を目視し、天狗の巣状に
なった部分がみつかれば、登って切るという地道な作業を繰り返
していくことになります


そういうわけで、早春の 肌寒い公園のなかでのサクラを切る作業、その
ほとんどは、てんぐ巣病対策だといえるのです。
毎年春に、美しく一斉に咲くサクラ、そのお花が きちんと咲くのは、
寒い時期のサクラの樹に対する適切なケアが〔人知れず〕おこわれ
ているから
、というお話でした。

ちなみに この“患部を切る”といったてんぐ巣病対策の効果ですが・・・

この対策を3年間徹底的に実施したサクラの名所では、てんぐ巣病の発生
が じつに1パーセント以下になったなどというデータさえもあるようで
すよ。手は確かにかかりすぎるほどにかかるけれど、じつに素晴らしい成
果だ といえるのではないでしょうか。

ふと思ったのですが、そんな作業をする方は・・・ある意味 
〔天狗退治の〕花咲か爺さん !


◎ これまでソメイヨシノ一辺倒であった桜の名所でも、その反省
  からか、いろいろな品種が植えられるようになって来ました。
  それにあわせた樹木の販売も、これからくるかもしれませんね。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染