グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

SDGsの6「安全な水」について、その2。

2021-05-07 16:40:07 | Weblog
SDGsの6「安全な水」について、その2。
飛ぶ鳥を落とす勢いというか、泣く子も黙るというか、黄門さまの
印籠というか、最近 巷で見ない日は無いといった趣となっている
SDGs(エス・ディー・ジーズ)。
このバッジ/文様で 有名ですよね → 
そんな SDGs/Sustainable Development Goals(持続可能な開
発目標)」の 六番目、「安全な水とトイレを世界中に」の目標
関連として、これまで当ブログでご紹介してきたいわゆる現場目
線での水についてのあれこれをひとくくりのカテゴリーにしてご紹
介していくシリーズの2回目[1回目は​こちら​]。 今回は 
6.b 水と衛生の管理向上における地域コミュニティの支援・強化
についての参考記事となります。よろしかったら。

 ↓

『2011年12月分/ 春の小川は用水路。』

なにげなく見過ごしてしまいがちなのですが、冬の時期に枯れていた
田畑地帯にある小川が春になると流れていることに気づかれたことは
ありませんか。
じつはこれ、自然な小川ではなく農家の手によって人為的に流されてい
る用排水路
の場合が多いんですよ。農家を主体にした水利組合の管理
のもと、計画的にながされている農業用水
なんです。

田の水を管理する水利組合は、農業生産を行う上で欠かせない用排水
施設の整備・管理や農地の整備いわゆる土地改良を目的として設立さ
れた農家の人たちの組織です。この土地改良区は全国に約7,000・
関係する農家は約300万人・関係する農地は約300万haといわれ
ています。

そんな日本の農業用用排水路の総延長は なんと 約22万km

この距離は、ほぼ地球5.5周にも達っするのだそうです。現場にい
るわたくしなども、この話しを聞いたときにはさすがにびっくりしま
した。いや、すごいものですね。
そんな、網の目のように張り巡らされた日本の用排水路についてのお
はなしです。

田植えに先立つ2ケ月前、水稲農家の苗づくりと並行してこなわれる
のが、集落ごと・水の流れる系統ごとの用水路の清掃です。
イネの栽培がおわってからおよそ半年、繁茂した草や、その後の増水
などで埋まった土砂などが用水路から除去されます。もちろん投げ込
まれたゴミの処理も、当然あります。。

この用水路清掃には、その水利を利用する方たちが参加するわけです
が、かなりな時間と労力がかかります。自分の経験では、ひとつの水
利系統で半日くらいの出役となります。

規模を拡大したり・高齢化の農家の農地を借りたりして田畑を耕作す
る方は、この共同清掃に何らかの形での参加が義務付け
されますので、
これがなかなかに大変。耕作規模が大きくなるほど、水路を多く利用
するほど、出役は増えるわけですから、その負担も大きくなっていく
わけです。
これもまた、日本の耕地面積の土地集積が行なわれにくい大きな
原因
 の ひとつにあげられますね。

余談ですが・・・農外から農業に進出しようとする企業や、現場を知
らない農業評論家の方には、農業を行うに当たってどうしても必要
なる、このような作業に関する認識が欠けている
ようにおもえてなり
ません。
そうそう、新規就農された方などは、こういった就農前には分からな
かった地域の共同作業の多さに驚かれる場合も・・・多々あるんです
よね。

したがって農家の絶対数が減ると・・・水害はまちがいなく増加する
・・わたくしはそうみています〔経営効率を重視する“先進的農家”が、
管理を喜んで肩代わりしてくれるとは思えない気がするものですから
〕。

といったことで今回は 農家が主体となった水利組合が日本の農業用
用排水路を管理しているというお話のご紹介でした。


晴れ 用排水路にかんする身近な例といえば、たとえば火事など
  が発生した場合に、その火事の鎮火用の水を 水利組合が
  その網目のように張り巡らされた用排水路を駆使して水を
  回して提供した・・なんて話も けっこうあります。すご
  いなぁと感心せずにはおられません。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染