グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

山国には山国の、耕地が狭いのなら狭いなりの農業がある。

2013-12-20 15:04:09 | Weblog
山国には山国の、耕地が狭いのなら狭いなりの農業がある。

日本では、その国土に占める平野の面積といえばわずかに約25%、
残りの70%近くが山間部です。

そう、日本は島国であると同時に山国なのです。

この山国であるということは、じつは大きな問題で・・・

ただでさえ少ない平野では、人口増加や都市化にともなう開発が行
われ、結果として、日本の国土のうちの農地面積は国土面積38万
平方キロメートルのうちのわずか13.5%にしかなりません。具体的に
いえば、山国である日本の耕地面積は、469万ヘクタール(2005
年統計)ですしかありません

わかりやすいように、農地面積の割合を諸外国と比較してみましょう。

米国の39・4%やオーストラリアの59・3%とは、比べるべく
もありません。

では、EUとの比較ではどうでしょう。

スイスは山国です。ドイツやフランスにもスイスほどではないにして
も山がありそうです。しかし・・EU全体の国土面積に占める耕地の
割合は65・5%
もあります。
各国別に見ると、ドイツは47・6%、フランスは53・3%・・・
意外に平らなんです。

では、英国ならどうでしょう。日本と同じ島国だから平地が少ないの
ではないでしょうか。
ところが、島国である英国、国土面積に占める耕地の割合は69・6
%も
ある。むしろEUよりも、平たい。

ここまでの話をも具体的に耕地面積で具体的に比較してみると、ドイ
ツは日本の3・6倍の1701万ヘクタール、フランスは6・3倍の
2943万ヘクタール、同じ島国であるはずの英国は、3・6倍の
1696万へクタール
となります。

さて、そこで農業改革となると〔とくに経済界から〕かならず唱えら
れる規模拡大論です。

日本に住む私たちは、この国土の特殊性を認識したうえで、それ
でも土地を集積し、経営規模を拡大しなければならないのでしょうか。

いえ、必ずしもそうではありません。

山国には山国の、耕地が狭いのなら狭いなりの、農業があります。

これまでの農政が地形に適した農業を展開しこなかったことにこそ
農業の問題がある
のではないか・・・と現場にいるわたくしには思えるのです。


◎ 農機転落に伴う圧死が多い日本の農業事故
  この原因も、地形にあると思えるんですよ。というか・・・
  しゃにむに大規模化を押し進めるとすれば、ますます
  事故は増えることかと。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染



トマトハウスの外は極寒・・・。

2013-12-19 17:22:51 | Weblog
トマトハウスの外は極寒・・・。

漁師や船乗りの仕事が危険であることのたとえで“板子(いたご)一枚下
(した)は地獄
” というものがあります。
そのような表現で、この時期のビニールハウスによる施設栽培の生育環
境の厳しさ を表現するとしたならば

 “ビニール数枚の外は極寒
 “ビニール数枚の外にはペギラ

みたいな、そんなたとえであっても納得できるのが、生産現場にいるも
のとしての実感となります〔厳冬シーズンなった今は、なおさらで〕。 


 ハウス近景.jpg


このような厳しい気象条件のなか、施設栽培では、まずは第一にハウス
内の温度を確保することに最大限の努力が払われています。 

なんといってもそのハウス内で栽培されているのは、冬の露地栽培では
栽培できないトマトやキュウリ、ピーマンといった作物 なのですから
それは当然のことですよね。

と書くと、

 施設栽培には暖房機があるのだから暖房すればいいだけの話しなのに

と、思われる方も多いとは思います。たしかにそうなのです。が、暖房
を焚くには、燃料となる重油がいる
という問題が出てきます。そう、作
物の生育を良くするためには暖房は不可欠の要素ではありますが、焚き
すぎると経費がかかる
という問題がすぐに頭をもたげてくるのです。

極端に言えばですが・・・たとえば10アールあたりの経営収支において
同じ時期に、同程度の収量と品質の収穫があった場合には

 燃料代は100万円かかった

というよりも、

 燃料代は50万円ですんだ

というほうが、確実に収益があがっていることになりますものね。
そこで重油の節約/省エネ技術が、重要視されてくるというわけです。

さて、そんなハウス栽培においての保温技術ですが、

 ■ かん水は、晴天時の午前中の早い時間に行なう
 ■ 強風時の換気には、ハウス屋根のビニールは風下側を開ける
 ■ 暖房機のハウスダクト〔暖気の通る道〕を適切に配置する
 ■ 翌朝冷え込みが強いとされる場合に、夜間温度を高めに設定する


などといった〔なるべく重油を焚かないように努力したうえでの〕
対策が定番となっていますよ。

というわけで今回は、ハウス栽培は真冬に行なわれているという事実
を、まずは認識していただく回
 ということになりました。

◎ 30年ほど前にはリットル30円台だった重油が、いまやリッル
  100円!ちかくに
も〔円安もありますし〕。
  農家の所得が減少している原因のひとつとして、当然のこととし
  てこの燃料経費の増大があげられています。こんな情勢のなかで、
  農家さんが経営者として重油の節約を考えられるのは、至極当然
  の事なのです。


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生育不良なら、作物の状況をみてとる対策を考えよう。

2013-12-18 14:44:13 | Weblog
生育不良なら、作物の状況をみてとる対策を考えよう。

11月までの高温状態から、12月にはいってのいきなりの寒さ。
この気候の急変で、成り疲れをおこしいるハウス作も多くなって
おります。ということで 今回はとる対策の考え方についての回と
なります。

 ↓

まずは土づくり。肥やしなさい・肥やしなさい。」といった 農業に
対する考えがあります。いっぽう、「土を肥えさせるのは悪。土を肥
やすのはもってのほか
」という考えもあります。

迷いますよね。どうすればよいのでしょう。

答えは簡単。

土の原則論に頼るのではなく 植物に訊けばよいのです。たとえば
トマトでは作物の生育状況からこんな健康診断ができるんですよ。


 トマトの状態のののののののののののののののののの診断

 葉色淡い。花小さく、着果不良。果実肥大不良。→ 栄養不足
 葉が厚く・葉色が良い。葉が立ち、受光態勢が良。→ 健全
 葉色濃く葉面凸凹。鬼花増加・奇形果多。ののの→ 栄養過多


このような作物の状態をみて、つぎのような対策をとります。

 栄養不足生長を促す対策をとる。たとえば不足した成分の追肥。
 栄養過多生育を抑える対策をとる。たとえば水分を押さえる。

という具合です。

このように一般的な農業の現場では〔土に対する原則論ではなく
それぞれの植物生育の状況や状態をみながら、その生育に応じた
対策がとられているんですよ。

いじょう、植物の生育がいまひとつである場合は、植物の状態をみて、
とる対策を考えてみよう
というおはなしでした。


◎ 人間であっても、そうですよね、まずはそれぞれの患者さんの
  様子・容態が、診察診断の主題となる。医療行為もなしのいきなり
  のカロリー摂取や、カロリー制限のはなしなどにはならない。
  まずは個別の患者に対するお医者さまの診察・触診があり、体温
  や脈・血圧などの基本的な機器をつかっての検査、そしてそのうえ
  での診断があります。農業やガーデニングだって同じことだとおも
  うのです。土壌診断をつかった生育診断の実例は こちら 。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




ラベンダーへの来訪者に、しみじみ。

2013-12-17 21:47:49 | Weblog
ラベンダーへの来訪者に、しみじみ。

クリスマスの時期に、今シーズン初のお花が咲くように目論んでいる
ラベンダー

 なにか ついているぞ 

と 気づいたのは、北風の強かった昨日。曇りだったので、寒い午後
のできごとでした。


 来訪者.jpg


右はしの前の鉢に近づいて確認すると、これが シジミチョウ。
成虫で越冬するタイプなのでしょう。


 来訪者2.jpg

 
それにしても 最高気温が10度に届かないという昨日からの曇天。
こんな寒空の天気のなかでは、さぞ寒かったことでしょう。
飛んでいる最中にラベンダーのを見つけて、 暖を求めてとにかく
とびこんだ
 ということだったのかもしれませんね。


のののの シジミチョウ.jpg


びっくりさせると、葉のなかからと飛び出してってしまいそうだった
ので、遠くから写真をとらせてもらいましたよ。

もちろん ここは宮崎ではありますが、シャッターをきりながら

 ♪ 寒い友達が 訪ねてきたよ
    遠慮はいらないから あたたまって ゆきなよ


なんていう 襟裳岬のフレーズが、頭をよぎりました。

なんとか無事に、来年の春をむかえてほしいものです。


◎ 写真のデンタータラベンダーの葉にはオイル分が多いので、
  葉のなかに潜りこむと意外に暖かいのかもしれません。

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冬場の露地野菜をうまく育てるポイント。

2013-12-17 14:49:58 | Weblog
冬場の露地野菜をうまく育てるポイント。

別ブログからの記事ですが、よろしかったら。



日本列島の位置を中心としてみた場合に、地図の西の方から高気圧
が張り出し、いっぽう東の方には低気圧がある気圧配置であること
を「西高東低」の気圧配置といいますが、

この「西高東低」の気圧配置において太平洋側の天気は、晴天が多
く・雨が少ないために乾燥することが多くなります。また早朝には
放射冷却現象が起こりやすく、早朝の気温が下がることが煩雑に続
くことが常となります。

こんなときに困るのが作物栽培です。なんといっても

  水分が不足すると、作物の生育に支障がでる
  低温下では、作物の成長が緩慢になる

からです。

保温やかん水施設のあるハウスなどであれば、このような事態に対
してすぐに対処することも可能なのですが、そうもいかないのがキ
ャベツやハクサイなどの重量野菜の露地栽培です。
たとえば葉の巻きが悪くなる兆候がではじめ、生育の停滞状況に陥
り始めたと気づいて、乾燥低温下の条件下で追肥やかん水などの対
策をあわてて実行したとしても

 ● 乾燥低温下では、肥料の分解がおそい
 ● 乾燥低温下では、作物の根の動きが緩慢になる
 ● 乾燥低温下では、膨大な量の水が必要となる

ということから、追肥の効果があらわれにくい状態になることも往
々にしてあるからです。

そこでこんなときのベターな対策として農家さんにお薦めするのが
アンモニア態チッソから分解のすすんだか
たちで
〕作物に吸収されやすい

 はじめから硝酸態チッソのかたちになった資材

を使用してもらうことになります。たとえば こちら 。
この資材は、低温・乾燥の条件化でおこりやすい作物の石灰欠乏に
も対処
できることになるの重宝しています。一回当りの使用量が、
10アール/330坪の面積に対して20キロ程度の少量で効果
あらわれることもうれしいですね。

ということで今回は、低温下の雨が少ない条件下でのとくに露地栽
培における硝酸×カルシウム資材の施用効果についてのご報告でした。


◎ 作物の生育にたいしては、おかれた環境条件にあわせて  
  必要な成分を・適量やることが大切であるということでも
  ありますね。 → 適量散布に関連した回は こちら 。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜