はーい、げんきです。

遠くにいる友達に私的トピックスの紹介。話題はその時その時いろいろ。

エンジェルフライト

2013-04-08 19:38:54 | book
 読み終えたのはもう十日以上も前ですが、読後の余韻がとても長かったので、しばらく噛みしめておりました。

 エンジェルフライト 国際霊柩送還士/佐々 涼子(集英社)

 先月、クラウドアトラス観に行った時に買いました。
 書店で平積みで、妙に惹かれて、でも持ったまま店内をウロウロするのがはばかられて、レジに行く直前に取りました。

 海外で亡くなった日本人を迎えたり、日本で亡くなった外国人を祖国に送るお仕事をしている人のお話です。
 ずっと、ちょっと疑問だったのです。
 外国で亡くなった方のご遺体が飛行機で帰国なさる姿をTVなどで目にしますが、どういう仕組みで帰国なさるのかと。
 きっかけは、ジョディ・フォスター主演のフライトプラン(2005年)だと思います。
 棺に納められてしまうと、貨物、かもしれないけど、普通の荷物とは同じように扱えないだろうし。
 どうやって運ばれるんだろう、と。
 そういうことも書かれてました。

 とはいえ、全編、死にまつわる内容なので、楽しく読む、というわけにはいきません。
 なんかねえ、泣きながら読んでました。
 でも、悲しい、というのとは違って、とても優しいお話でした。
 優しさに触れると、涙出ない? そういう感じ。
 遠くで亡くなって、やっと祖国に帰ってきた人を、ご家族のもとに送り届けてくれる人達です。

 多分、2011年3月以前だったら、タブー視された本だと思う。
 あの日を境に、今まで現実から追いやられていた死は、表に出てきました。
 2年が過ぎて、再び陰に追いやられようとしている。
 私たちは、生と死の間に活きているのだから、生と同じように死を見るべきなのにね。

 第10回(2012年)開高健ノンフィクション賞受賞作品だそうです。
 だから、この本は随分前から書店にあったはず。
 しかし、まったく、知りませんでした。
 地震からちょうど2年を過ぎて、世間が復興完了的なムードでなんだか釈然としなかった頃に、本が呼んでくれました。
 本には、震災の時の話も出て来ます。
 みんなが辛かった時、彼らもまた辛かったのです。
 あの時の死だけが特別なわけじゃない、全ての死は、同じように特別なんだなと、あらためて気付きます。

 私も海外には行くし、近頃はウチの両親も出歩っているので、まあ、滅多なことは言うものではありませんが、万一の時は、彼らのお世話になるのだな、と。
 そしてどうせなら、彼らのお世話になりたいな、と思うわけです。
コメント
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