はーい、げんきです。

遠くにいる友達に私的トピックスの紹介。話題はその時その時いろいろ。

チヨダ・コーキ

2013-04-10 20:34:02 | book
 年が明けてから、バラバラと読んでますが、なぜか印象的な本が多い。
 いつもならまとめて紹介するところだけど、エンジェルフライト同様、もったいないので一つずついくね。

 V.T.R./辻村深月 (講談社文庫)

 いつも行く書店で、レジの前に平積みされていた。
 表紙が目を惹いて、すぐに手に取ろうとしたけど、帯に「スロウハイツの神様」をまず読め、と書かれていたので、この本を読むのに、そんな手順を踏まねばならんのか、と思いつつも仕方が無いので該当する本を探したけど、あいにくその店には置いてなかったので、この本を手に入れることはできなかった。
 後日。
 別の書店にはあった。これかー、と思って手に取ったけど、本が呼んでくれなかったので、買えなかった。
 てことは、永遠にあの本が読めないって事か?と思いながら、またいつのも書店へ行くと、やっぱりこの本が呼ぶ。
 仕方が無いので手順を省略することにして無事購入。
 でも読んだのは先週末。
 表紙をめくったら表紙が出てきて、どうやら「スロウハイツの神様」に出てくるチヨダ・コーキという人物が高2の時に書いた小説(しかもデビュー作)という位置づけになっているらしい。

 それ故に、この物語は、辻村深月としてもチヨダ・コーキとしても未熟である、という評もあるようだ。

 でもね、おもしろい。
 そして、ちょっとかっこいい。
 アールが主人公ティーに言う。本当にかわいくて弱くてかっこいい、と。
 そのあと、あなたにはヒモになる才能がある、と続くわけだけど、本当にあんなにかわいくて弱くてかっこいいヒモなら私だって欲しい。もちろん、それに見合う最高にかっこいい女でならなければならないんだけど。

 で、主人公がそんななんで、物語はずーっとゆるーっとした感じだったけど、170ページ(文庫)を越えたあたりから、様子がガラッと変わって、急に速度が増して、一気に終わりに突き進む。

 そして最後にぽーんっと放り出される。

 放り出されて、また初めから読み始めた。
 本当は172ページから後だけでいいんだけど、そこへたどり着くまでの170ページがなんだか無視できない。
 だから、初めから通して読むしかない。ずいぶん飛ばしたけどね。

 この物語は本当にかっこよくてかわいくて切ない。
 だから、これを書いたのが、辻村深月でもチヨダ・コーキでも他の誰かでも、まったく問題ない。
 何度も繰り返し読んでしまうほどおもしろかったから。
 少なくとも私には、「スロウハイツの神様」という手順は必要ありませんでした。
コメント
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