葵から菊へ&東京の戦争遺跡を歩く会The Tokyo War Memorial Walkers

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小野田寬郞元少尉は「生きている英霊」

2014年01月18日 | 歴史探訪<靖国神社>

フィリピン・ルバング島に戦中戦後の30年間潜伏してジャングル生活をした後に帰国した元陸軍少尉の小野田寛郎さんが16日、心不全のため91歳で死去したと報じられました。

管理人は、靖国神社をガイドするときは、時間の許す限り「招魂齊庭」(しょうこんさいてい)跡にある99台の月極駐車場を案内していました。それは、「招魂齊庭」に臨時の仮殿が設けられ戦死・戦病死した軍人・軍属らの氏名・死亡年月日・死亡場所・階級が書かれた霊璽簿(れいじぼ)に戦没者の魂を招く、一番大事な儀式「招魂式」を執り行う場所だったからです。浄闇の境内を霊璽簿は御羽車(おはぐるま)に乗せられて本殿の相殿に収められ、一年後に御霊代(みたましろ)の祭神「英霊」となります。

【注】祭神 附御霊代

『靖国神社誌』1909(明治44)年12月26日靖国神社・発行
 (略)而して祭神生前の官職・身分等をいへば、陸軍の所屬あり、海軍の所屬あり、維新前後の殉難死節の士あり、地方官・警察官あり、公卿あり、藩主あり、士あり、卒あり、神職あり、僧侶あり、婦人あり、農・工・商あり、苟しくも帝國臣民にして、叡慮を奉體して、國家の爲めに忠節を抽んで、高潔なる大精神を發揮するに於て、何ぞ貴賤上下の別あらむ。わが祭神の、あらゆる階級・職業の代表たるは勿論のことなりとす。
 御靈代は、神劍及び神鏡にましまし、神劍は、明治二年六月、栗原筑前の鍛造し奉る所、神鏡は、製作者未詳なれども、明治元年六月、舊江戸城大廣間招魂祭の時、神籬に奉懸せし靈鏡に坐せりとぞ。内殿の左右の靈床に、副靈璽として、官位・姓名を列記せる卷物・牒册を奉安す。卷物は、明治五年五月六日を以て、始めて之を内陣に納め、爾來、合祀祭の度び毎に納められしが、明治三十八年、第三十一囘の合祀祭より、之を牒册に改められたり。而して別に一本を社務所に藏す。所謂祭神帳、之なり

 1945(昭和20)年11月18日の新聞は19日から三日間、靖国神社が臨時大招魂祭を執り行うことが報じられた。19日午後6時から、「満州事変」以後、同年9月2日までの未合祀者で、将来靖国神社に合祀されるべき英霊を一度に招魂する招魂式が営まれた。祭典委員長は、ミズリー号で降伏文書に署名した最後の参謀総長・梅津美治郎大将が任命され、宮司は鈴木孝雄陸軍大将であった。
 翌日午前9時からの臨時大招魂祭には、昭和天皇、幣原首相と各閣僚、在京陸海軍部隊代表、GHQ民間情報教育部長ダイク准将などのほか、遺族約千人が参列した。
 多くの軍関係の書類は空襲で焼失したり、機密文書として敗戦直後に焼却処分をした。また外地での戦死、戦病死などの状況は全く把握できていなかった。『戦歿者名簿を作成するということは、靖国神社の祭祀の根本をなすこと』となってはいても合祀名簿は作成できず、さらにはGHQの意向では靖国神社の存続そのものが危ぶまれていた。
 そこで政府と靖国神社は「氏名不詳」のままではあるが「将来靖国神社に合祀されるべき英霊」の合祀手続きをしたのである。同年12月にGHQの「神道指令」が発令されたので11月19・20日は「最後の臨時大招魂式・祭」となったのである。翌年9月に宗教法人靖国神社設立の登記を東京都に申請し、1952(昭和27)年に法人が認められ公告をした。(傍線は筆者)【参考文献】「やすくにの祈り」靖国神社編

上記にあるように、小野田寬郞元陸軍少尉も横井庄一元陸軍伍長も、1945(昭和20)年11月18日の招魂式で招魂されましたが、生きていたので霊は招かれたていません。「生きている英霊」に対して、祭神名簿・祭神名表には、「生存確認と加筆している」ことになっています。〔ノー!ハプサ(合祀絶止)訴訟での靖国神社側の答弁〕

お二人が日本に生還された後に、靖国神社は祭神名簿・祭神名帳に「生存確認と加筆した」と考えられます。しかし本殿後ろの奉安殿に収めらていて「天皇陛下の叡慮を受けた」(遊就館展示室「招魂齊庭・霊璽簿」の説明文)霊爾簿からの抹消はむろんのこと、加筆訂正でさえ靖国神社は「信教の自由」を盾に拒否しています。〔ノー!ハプサ(合祀絶止)訴訟〕

『私は、天皇への上奏を得て「勅許」されたものは間違いがない。間違ってはいけないという現人神思想に基づくものであると思っています。』と、「靖国の闇にようこそー 靖国神社・遊就館非公式ガイドブック」著者の辻子実さんから助言を頂きましたので記事にしました。    


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