今月の例会は、福岡に行っていたため、後日講義を録音で聞きました。
今回は臨床にとても重要な内容でした。
夫れ気の脈に在るや、邪気は上に在り、濁気は中に在り、清気は下に在り。故に陥脈に鍼すれば則ち邪気出で、中脈に鍼すれば則ち濁気出で、鍼大だ深ければ則ち邪気反って沈み、病益す。故に曰く、皮肉筋脈に各おの処する所あり、病に各おの宜しき所あり。各おの形を同じくせず、各おの以て其の宜しき所に任ず。実することなく虚することなく、不足を損じて有余益す。是れ甚病と謂い、病益ます甚だし。五脈を取るものは死し、三脈を取るものは恇う。陰を奪うものは死し、陽を奪うものは狂う。鍼の害畢われり。
これを刺して気至らざれば、其の数を問うなかれ。これを刺して気至れば、乃ちこれを去り、復た鍼するなかれ。鍼に各おの宜しき所あり、各おの形を同じくせず、各おの其の為す所に任ず。刺の要は、気至りて効あり、効の信は、風の雲を吹くが若く、明乎として蒼天を見るが若し。刺の道畢われり。
病には種類があり、それぞれ病のある場所が違うので、それを見極めて鍼をしなければ
かえって病を深くしてしまう。とあります。
また、刺す深さだけでなく、どういう形の鍼を用いるかも大切と・・・
私は開業当時、寸三、二番の銀鍼を使っていましたが、
年数を重ねるごとに、その方の体質や病により、もう少し細い鍼、太い鍼、長さも変えて使い分けるようになってきています。
「陽を奪うものは狂う」の文章を八木会長は、
陽は三陽経のことで、狂うとは、今でいう精神疾患や心身症、うつ病とも考えられ、
この考えを逆に使うと、このような疾患も改善していくであろう。と。
どういうことかといえば、陽を奪うから狂すのであるなら、陽を補えばよいのでは?と。
特に胃経の原穴、衝陽穴は?と。確かに胃経に反応の出ている方は多いように感じます。
「これを刺して気至らざれば、其の数を問うなかれ。」
この文章も実感しますね。
鍼をして症状が快方にむかった手ごたえがあっても、
余り早く施術が終わっては申し訳ないと、サービスに色々加えてしまいます。
来られる方のほとんどが、時間を長く施術する方が効果があると思われているようですが、
時間ではなく、内容なのですよね。
慰安的な気持ちよさを求められる方と、治す目的の方でとらえ方が違うのは仕方ないことですが、臨床家としては、負担を少なく効果が上げられることを目指します。
これからは、きちんと説明もしていくことも大切と感じました。
「効の信は、風の雲を吹くが若く、明乎として蒼天を見るが若し。」
施術の効果がはっきり出ると、本当にこの文章のような感覚を体感します。
身体が軽くなり、身体が動くので、
また無理をされ痛めてしまう。なんてこともありますね(^_^;)
こう読んでみますと、古典なのに古さを感じませんね。
この先も楽しみになります♪