福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

速報! 聖トーマス教会ライヴCD 福島章恭&大阪フィルハーモニー合唱団 バッハ:ミサ曲ロ短調 3月10日リリース!

2019-02-14 14:26:25 | レコード、オーディオ

速報!福島章恭&大阪フィルハーモニー合唱団 によるバッハ:ミサ曲ロ短調 聖トーマス教会ライヴCD発売。

昨年9月25日、ライプツィヒ・トーマス教会にて行われた演奏が一般発売される運びとなりました。

タワーレコードさんにて予約が始まっております。

また、2月27日(水)サントリーホールに於ける「ドイツ・レクイエム特別コンサート」では、ロビーにて先行発売も行われる予定です。

ドイツ・レクイエム特別コンサート チケットはこちら。

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1844428

終曲「Dona Nobis Pacem(我らに平安を与え給え」の長いエコーが遥かな虚空に消えると、しばらくの聖なる沈黙の後、礼拝席より嵐のような喝采が沸き上がった。バッハの音楽を血肉とする精鋭集団ザクセン・バロックオーケストラ、類い稀な声と表現により祈りを捧げるソリスト陣ともども大阪フィルハーモニー合唱団はバッハの聖地にその名を刻むことに成功したのである。(かもっくす)

テレマンとバッハという二人の偉大な作曲家による音楽演奏文化の伝統そのままの姿を現代に伝える「ザクセン・バロックオーケストラ」。福島章恭が2015年7月から合唱指揮者をつとめ精力的に活動を展開している「大阪フィルハーモニー合唱団(創立名誉団長:朝比奈隆)」比類なき実力と個性を兼ね備えた素晴らしいソリスト達。指揮者、福島章恭と、ひとりひとりの演奏家との強い信頼関係から生み出された感動的な「ミサ曲 ロ短調」です。
(アルブレー)

タワーレコード ~ 注目アイテム

https://tower.jp/article/feature_item/2019/02/13/1112?fbclid=IwAR3hikaoxH-SQ-KHxxKcSincQLut6bj91dcEqSxcrjoMlnpPn2wIfgyW1Yo

【曲目】
バッハ:ミサ曲 ロ短調 BVW232
【演奏】
ゲジーネ・アドラー(ソプラノ) Gesine Adler
ダーヴィット・エアラー(アルト:カウンターテナー) David Erler
トビアス・フンガー(テノール) Tobias Hunger
トビアス・ベルント(バス) Tobias Berndt
大阪フィルハーモニー合唱団 
ザクセン・バロックオーケストラ Sachsisches Barockorchester
指揮:福島章恭
【録音】
2018年9月25日、ライプツィヒ、聖トーマス教会でのライヴ録音
(トーマス教会の歴史的な鐘の修復のためのチャリティーコンサート)
Recording and Premastering:Genuin Classic 

発売日 2019/03/10
価格 ¥3,000(税込み)

ロ短調ミサ 聖トーマス教会ライブCD 制作急ピッチ

2018-12-24 17:37:55 | レコード、オーディオ



ようやく、ライプツィヒのレコード会社GENUIN CLASSICより、大フィル合唱団にのよるバッハ「ロ短調ミサ」聖トーマス教会公演のライブ音源(96kHz24bit WAVE)が届いた。

今回は、団員向けのプライベート盤でなく、大フィル合唱団初の海外公演の成果を世に問うべく、「かもっくすレーベル」による一般発売を前提に、いつも以上に力を入れて録音して頂いたのである。

これを毎度お世話になっているWAONレコードさんにCD用にダウンコンバートして頂いた試聴盤が写真(上)のディスク。

録音は優秀と呼べる範疇だろう。ソリストとオーケストラのバランスは、わたしの趣味とは違うのだが、この際GENUINの趣味を尊重することとする。



まずは、わがメインのシステムにて、二回通して試聴。正直、はじめのうちは自分の至らなさや生演奏ゆえの瑕疵に耳が奪われがちで、気持ちが落ち着かない。しかし、演奏が進行するにつれグイグイと引き込まれ、二度目を聴き終えたときには途轍もない名演と確信した(笑)。まあ、手前味噌を言ってもはじまらないのだが、少なくともソリスト陣とオーケストラは、間違いなく世界レベルであることは保証できる。大フィル合唱団もトーマス教会という聖なる空間に導かれるように、ある意味、実力を超えたパフォーマンスを聞かせてくれている。

というわけで、ただいま、急ピッチで制作を進めており、来る2月27日(水)のドイツ・レクイエム公演(於・サントリーホール)にて先行発売したいと考えている。市販化の実現にあたっては、現地音楽家との契約に際し、エムセックインターナショナルとバッハ資料財団の高野昭夫さんにお骨折り頂いた。この場をお借りして、感謝の意を表明しておきたい。



ザクセン・バロックオーケストラのコンサートマスター:カタリーナ・アレントさん、代表でチェロ奏者のハルトムート・ベッカーさんとともに。


バッハ:ロ短調ミサ 聖トーマス教会 ライヴCD(2枚組)

ゲジーネ・アドラー(ソプラノ) ダーヴィッド・エルラー(カウンターテノール)

トビアス・フンガー(テノール) トビアス・ベルント(バス)

大阪フィルハーモニー合唱団

ザクセン・バロックオーケストラ

福島章恭 指揮

2019年春 かもっくすレーベルより発売予定(価格およびCD番号未定)。2月27日(水) サントリーホールにて先行販売致します。乞うご期待!

 


ウェルザー=メストによるブルックナー「4番」第3稿に青春時代を思い出す

2018-11-30 01:58:25 | レコード、オーディオ
ウェルザー=メスト&クリーヴランド管のブルックナー「4番」(ザンクト・フローリアン・ライヴ)Blu-rayを観始めたら止められなくて、こんな遅い時間(深夜2時)になってしまった。
迂闊にも再生してから気付いたのだが、第3稿、いわゆる改訂版のコーストヴェット校訂版というのに嵌まった。青春時代、クナのレコードで聴き馴染んだオーケストレーションを最新の生々しい音と映像で味わえるのがたまらなく幸せだ。あの日々の初々しい感動が蘇るようではないか。

クナとは芸風の異なるメストの棒で聴いても、共通した感動を味わえると言うことは、この効果を狙った厚塗りの改訂版にも大きな魅力があると言うことだ。このオーケストレーションのまま、スケルツォやフィナーレのカットがなければ・・・、などと無い物ねだりをしてもしかたがない。
 
演奏もすばらしく、先日のウィーン・フィルとの「5番」の名演といい、ウェルザー=メストが類い希なブルックナー指揮者であることを確認できたのは大きな収穫である。
 

過ぎゆく風景の向こう ~ モーツァルト「40番」テスト盤を聴く

2017-12-12 01:14:03 | レコード、オーディオ



モーツァルト「レクイエム」特別演奏会
2017.11.16 (木曜日)
於・東京オペラシティ・タケミツメモリアル

♪ウィーン旅行中に届いていたテスト盤をようやく聴く。まずはディスク1の「魔笛」序曲と交響曲第40番から。
「40番」は我ながらテンポが遅い。厳密に較べたわけではないが、晩年のワルターやクレンペラーより遅いような印象すらある。実演はともかく10人中9人には「遅すぎる」と敬遠されてしまうに違いない。

しかし、このテンポこそ、あの日のわたしだったのだ。嵐のように荒れ狂ったり、疾走するのではなく、悲しみを静かに見つめることこそが真実だった。この透明なゆったりと過ぎゆく音の風景の向こうに彼岸に旅立った魂との語らいがある。次にこのト短調を指揮するときには、もっと速めのテンポを選ぶのかも知れない。
あの日にしかない真実を見事に音にしてくれた崔さんはじめとする東京ヴェリタス交響楽団の皆さんにはひたすら感謝あるのみ。

それにしても、交響曲の第1、2、4楽章の前半リピート有り、拍手込みとはいえ、この2作品で45分超えというのは、尋常ではない。第2楽章などまるでブルックナーのようだし、フィナーレもクナッパーツブッシュのアイネ・クライネ・ナハトムジークを思わせる(もちろん、芸格は足元に及ばないけれど)。

時代離れしたテンポによるモーツァルトの2作品、高音質のアナログ・レコード作成に丁度よい収録時間だなぁ、などと妄想してしまうのは、わたしの悪い癖だ。


稀少本発見 オットー・ベーラー「影絵集」

2017-12-01 17:40:53 | レコード、オーディオ


ウィーンのリング通りを歩いていると、こういう稀少本に出会うこともある。

オットー・ベーラー「影絵集」(全20葉)
Dr. Otto Böhler's Schattenbilder.
K.u.K. Hof- und Univ.-Buchhandlung in Wien, K.u.K. Hofmanufaktur für Photographie Rudolf Lechner (Wilhelm Müller), Wien 1914.




音楽書の挿し絵で見掛けたことのある有名な影絵集(オリジナル)。現物を写真撮影したものを印刷したものらしい。全20葉のうち、ブルックナー関連が3葉もあるのは嬉しい限り。

1914年というから、今から103年昔の出版で、これほど綺麗な保存状態というのは有り難いことです。大版と小版があり、諸々の事情から後者を入手。



最後に気品に満ち溢れた女性店主とともに記念撮影。於・Antiquariat V.A.HECK






クナッパーツブッシュ サイン入りポートレート

2017-11-30 00:24:36 | レコード、オーディオ


ウィーンの街を歩いていると、こんなお宝に出会ったりします。

クナッパーツブッシュのサイン入りポートレート

真贋は確かめようもなく、「ホンモノだよ」と言う店のおばちゃんを信じるのみ。

他にないのか?

と尋ねるも、これがサイン入り最後の1枚とのこと。ベームなら何枚もあるよ、と言われたけれど、もちろんベームも大好きだけれど、やっぱりクナッパーツブッシュは別格なのだ。


束の間のフリータイムにワルターの「田園」

2017-11-06 16:28:45 | レコード、オーディオ


本番とレッスンの合間、束の間のフリータイム。しばし仕事を忘れて、ブルーノ・ワルター&コロムビア響によるベートーヴェン「田園」を聴く。

ワルターのベートーヴェン交響曲全集は、米コロムビア・オリジナル盤、同テスト・プレス盤で楽しんできたが、今日針を降ろしたのはリリースされたばかりのアナログ・プロダクションズ社による45回転復刻盤である。



この復刻は成功している。ワルターの「田園」に、こんなに骨太で剛毅な一面があったのかと再認識させてくれる名復刻と呼べるだろう。

45回転ということで2枚組4面。第4楽章と第5楽章の間で盤を裏返さねばならないのが唯一の難点(フェイドイン、フェイドアウトされている)だが、これだけ鮮やかで豊かな音質であれば、その程度のことは我慢しなければなるまい。



演奏、録音、復刻ともに素晴らしいが、見開きジャケット内の写真も極上の美しさ。ワルター・ファン、アナログ・ファンなら手にして後悔はなかろう。

グラモフォン111 アナログ・バージョンより

2017-09-25 17:09:54 | レコード、オーディオ




グラモフォン111 6LPs(復刻盤box)を入手。第一の理由は、ベーム&ウィーン・フィルのモーツァルト「レクイエム」を復刻された音で聴きたかったからだ。先日聴いたSACDの音がどうにも腑に落ちなかったのである。

そういえば、バーンスタインのマーラー「1番」もオリジナルを未架蔵であったし、カラヤンの2枚にも興味がある。



というわけで、まずは、ベーム&VPOによるモーツァルト「レクイエム」とロストロポーヴィチ(vc) カラヤン&BPOによるドヴォルザーク: チェロ協奏曲を聴く。

音質の良いのは断然後者だ。オリジナル盤は未聴だが、凌駕しているような予感がする。そう思わせるだけの目の覚めるような鮮やかな音。ベルリン・フィルの鮮烈にして雄渾なサウンドがバンバン迫りくる。「どうだ、これが俺のベルリン・フィルだ!」とばかりに豪快に音を鳴らしまくるカラヤンと対等に渡り合えるソリストも多くはあるまいが、ロストロポーヴィチは流石に素晴らしい。この名演、剣豪同士の果たし合いのような面白さと言えようか。



ベーム「モツレク」の音質については、やや期待はずれ。コーラスがオーケストラより手前に聴こえたり、コーラスの特定の歌手の声が目立ったり、オーケストラの中低音が不鮮明だったりと、「あれ、昔聴いたのは、こんなだったっけ? 」という戸惑いがあった。しかし、それを超えて迫る感動は本物。コーラスのビブラートを伴った発声や極端に遅いテンポ感など、最近脚光を浴びているクルレンツィスとは対極にある名演だ。



それにしても、00002番とは随分若いシリアルナンバーだ。いったい何セット販売されたのだろう?

エリシュカ先生を迎えるために ドヴォルザーク「テ・デウム」ノイマン指揮チェコ・フィル

2017-09-22 10:56:21 | レコード、オーディオ

ラドミル・エリシュカ先生を大阪フィル定期にお迎えするにあたり、独eBayにて落札したレコードが届いた。

ドヴォルザーク「6番」の前プロとして演奏される「テ・デウム」をメインとしたヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル&プラハ・フィル合唱団(合唱指揮: リュボミール・マートル)によるスプラフォン盤である。たまたま、YouTubeでこの演奏を知って魅せられ、何としてもレコードで聴きたくなったのである。

1984年というから、チェコとスロヴァキアが分裂する9年前の録音。この時期にデジタル録音が行われているのは、スプラフォンと日本コロムビアの長年の深い関係ゆえであろう。

このとき64歳のノイマンはまさに円熟の極地にある。ただ、そこにチェコ・フィルが居て、ノイマンが指揮台に立つだけで、素晴らしいドヴォルザークとなってしまうという風情が堪らない。もちろん、彼らが何もしていないわけではない。音楽的な必然事項がクリアされた上で、立ち上る独特の空気が美しいのだ。
2人のソリスト、ガブリエラ・ベニャチコヴァー(S)、ヤロスラフ・ソウチェク(Br)の歌声からも、イタリアやドイツの歌手とは違う何かを感じ取れる。

そう、これこそ、エリシュカ先生をお迎えする前に全身全霊に浴びておきたかった本場の音。もちろん、日本人である我々には及ばない音楽的語法や言葉の響きはあるに違いないが、だからといって、開き直って関西弁訛りの歌唱を良しとするのは愚の骨頂である。チェコ本場の音を徹底的に聴いて、我が肉体と精神というフィルターを通した上で、エリシュカ先生の御心に適う合唱を提供をしたい。

その意味で、この文章を読んだ大阪フィル合唱団員には、CDやYouTubeでもよいので、積極的にノイマンの録音を聴いて、感化されて欲しい。ほかにスメターチェクやアーノンクールの録音でもよい。チェコのコーラスがどのようにラテン語を発音するのか、どのようなハーモニーをつくるのかを確かめることができるだろう。

ところで、ドヴォルザーク「テ・デウム」は、同じテキストによるブルックナー作品ほどの知名度はない。演奏機会や録音も多くはない。かくいうわたしも、今回、定期演奏会で採り上げる曲をオーケストラ事務局と協議する過程で知ったのだから、お恥ずかしい限り。

正直のところ、第一印象は「やけに祝典的で華やかだなぁ」というもので、内省的な深みなどはあまり感じなかったのだが、スコアを眺めたり、繰り返し聴いたりするうちに、ジワジワとその美しさが分かってきた。いまでは紛れもない名曲と断言できる。

この作品からは、ドヴォルザークが、本当はオペラ作曲家としてもっと成功したかったのだな、という想いも伝わってくる。そこここに、ヴェルディ「オテロ」の影響(パクリとにも近い?)が見られるのだ。しかし、ドヴォルザークの素朴でハッタリの効かない性向により、劇音楽としては洗練されきれない。しかし、その木訥さこそ、ドヴォルザークの魅力であり、スターバト・マーテル、ミサ曲二長調が広く愛される所以なのである。

エリシュカ先生最後の来日となる大阪フィル定期演奏会にご来場予定のお客様には、是非とも事前にドヴォルザーク「テ・デウム」をお聴き願いたい。当日一度聴いただけでは、聴き逃してしまうドヴォルザークの愛に気付いて頂きたいからである。




本番の朝は、シューリヒトで心のお掃除

2017-09-10 10:48:00 | レコード、オーディオ


「水のいのち」本番の朝は、NMLにてシューリヒト&ウィーン・フィルによるベートーヴェン「1番」にて、心のお掃除。

50年代ウィーン・フィルの零れるような音の魅惑。改めて、胸に滲みる名演だなぁ。

学生時代は、キングレコードの廉価盤でよく聴いたものだ。ジャケット裏の解説は勿論、宇野先生。当時は遠い雲の上の人だった。

いまは英デッカ・オリジナルのレコードで聴くのだけれど、60年を越す古いレコードゆえ、コンディションが万全とは言い難く、滞在先でこういうスタイルで聴くのも悪くない。

しかし、このサイト。つづきの「2番」は音質がガクンと落ちる。マスターテープの劣化が激しかったのだろう。これはレコードで聴かなくては!



ソニーのBluetoothスピーカーも、宿で聴くにはまずまず。イヤホーンだと耳が疲れてしまうので、これは有り難い。ただ、真夜中は隣の部屋への遠慮でボリュームを上げられないのがもどかしくはある。

そうそう、音が籠もるから、ネットは外さないとね。