福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

いよいよ最終回 日経鑑賞術 マーラー9番

2017-08-30 16:43:43 | レコード、オーディオ


ご好評頂いている日経新聞・水曜日夕刊文化欄 鑑賞術「クラシック名演・名盤」も、いよいよ最終回を迎えました。あっという間の8月でした。

ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」で終わりたいという気持ちもありましたが、編集部より「初回と違う作曲家で」との強いリクエストがあり、マーラー9番を選びました。

名古屋での「千人の交響曲」を導入に、朝比奈隆 ~ バルビローリ ~ アンチェル ~ クーベリック ~ クレンペラーというわがマーラー9遍歴を綴りました。



下書きの段階では、バーンスタインという華々しいコーダがあったのですが、文字数の都合でバッサリとカット。ブルックナー8番(第2稿)第1楽章のような寂寥の終わり方となり、これはこれで良かったと思っております。

それにしても、今回のお仕事は楽しいものでした。まだまだ触れたい作品は多く、第6回以降も書きたいくらいです。

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGKKZO20501810Z20C17A8BE0P00


日経夕刊・鑑賞術 第4回 ブルックナー8番

2017-08-23 23:50:42 | レコード、オーディオ
ご好評頂いている今月の日経夕刊・鑑賞術「クラシック名演・名盤」も第4回を迎えました。

今回採り上げたのは、ブルックナー: 交響曲第8番。

本来、トリにしてもよいほどの最愛の作品です。

書きたいことが沢山あって、文字数が足りませんね。他に触れたかった名盤やエピソードもあります。

しかし、限られた文字数に封じ込める良さも感じています。小さな窓を開けると、書かずにおいた無限の世界が広がっているように感じられるからです。

来年はいよいよ最終回。
8月の水曜日が5回あることに感謝しつつ、執筆しました。
真打ちブルックナーの後に、いったい何が飛びだすやら。

乞うご期待!

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGKKZO20275350T20C17A8BE0P00


日経夕刊・鑑賞術 第3回 モーツァルト「レクイエム」

2017-08-17 16:03:06 | レコード、オーディオ

滞在先の長岡では日経夕刊が手に入らないため、実物は見ておりませんが、本日、鑑賞術「クラシック名演・名盤」第3回が掲載されております。

どうぞ宜しくお願い致します!

クラシック名演・名盤(3) ブリュッヘン指揮「モーツァルト レクイエム」:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO20030200W7A810C1BE0P00/


新着レコードより2点 ドラティのベートーヴェン交響曲全集とサージェント「プロムスの夕べ」

2017-08-05 01:20:57 | レコード、オーディオ


本日の収穫 その1
ベートーヴェン: 交響曲全集
アンタル・ドラティ指揮ロイヤル・フィル
英DG 2721 199 8LPs
何故かイギリスのみでリリースされた幻のベートーヴェン交響曲全集をようやくゲット。俵孝太郎がイギリスでも探し出せなかったというレア盤がひょっこり見つかるのだから、東京はマニアにとって夢の街だ。散財の街とも言う。

早速「7番」に針を下ろす。
これにも唸った。演奏は生気にあふれ、録音もいい。

日経「鑑賞術」には採り上げることはできなかったけれど、これは素晴らしい全集であると確信した。ドイツはじめ、他国で発売されなかったのは、同レーベルの他の指揮者のベートーヴェン交響曲全集との競合を避けるためだったのだろうか?

この全集、タワーレコードのヴィンテージ企画にて、CDを購入することも可能。当方はLPセット一点張りだったためCDは未聴ながら、過去の同シリーズの音質から推察するに購入しても損はないと思われる。

「アンタル・ドラティにLPでベートーヴェンの交響曲全集があることは知っていたが、現物を見た覚えはない。DGがイギリスだけでセット販売したそうだが、ロンドンにいけばピカデリーのタワー、オックスフォード・ストリートのHMVや、その向かい側の裏通りのハロルド・ムーアの中古ショップなどは必ず回り、ベートーヴェンの棚は念入りに見ていた。気がつけば買ったはずだから、短期間で廃盤になったのかもしれない。日本にも、ほとんど輸入されなかったのではないか」(俵孝太郎)・・タワーレコードHPより転載



本日の収穫 その2
マルコム・サージェント「プロムスの夕べ」 
英HMV ASD536 ホワイトゴールド・レーベル

1. サリヴァン:舞踏会序曲
2. チャイコフスキー:歌劇『エフゲニ・オネーギン』より タチアナの手紙(歌唱:英語)
3. ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第10番ホ短調 Op.72-2『マズルカ』
4. シャブリエ:喜歌劇『いやいやながらの王様』より『ポーランドの祭り』
6. チャイコフスキー/シュミット編:アンダンテ・カンタービレ
7. リトルフ:交響的協奏曲4番ニ短調 Op.102よりスケルツォ
8. エルガー:行進曲『威風堂々』第1番ニ長調 Op.39-1

 ジョーン・ハモンド(ソプラノ:2)
 シューラ・チェルカスキー(ピアノ:6)
 マルコム・サージェント(指揮)BBC交響楽団
 録音:1959年



これは、凄いアルバムだ。聴きながら脳天が痺れっぱなし。
サリヴァンの生命力にドヴォルザークとチャイコフスキーの甘い陶酔。
リトリフでは、チェルカスキーの超絶的ピアノには開いた口が塞がらないほど。
そして、エルガー「威風堂々」第1番はエクスタシーの極地!
オリジナルの白金レーベルならではの深いサウンドが堪えられない。

エリシュカ先生とのスターバト・マーテル

2017-03-14 18:46:03 | レコード、オーディオ


札幌交響楽団の東京公演に来ております。指揮はもちろんエリシュカ先生。
どんなブラームス#1となるか楽しみ。

ところで、ロビーでは、大阪フィルとのドヴォルザーク「スターバト・マーテル」CDが絶賛(かどうかは知らないけど)発売中!

ボクの大阪フィルとの初仕事が立派な記念となりました。皆様、どうぞ宜しくお願いします。

カーオーディオの音を改善

2017-02-16 10:54:38 | レコード、オーディオ



 年明けとともに愛車となったルノー:キャプチャー。排気量1.2リッターながら、ターボ・エンジンのお陰か、前車メガーヌ2.0リッターに引けを取らない走り、さらには滑らかなギア・チェンジに満足するものの、純正オーディオの音質の悪さにほとほと閉口し、この度スピーカーを交換することと相成った。



本来、カーオーディオなんぞに金かけるくらいなら、自宅のアナログをより充実させたい主義(まだ、マイ電柱にトランスも載せられていないし・・)なのだが、あそこまで貧相な音だと、心身に多大なるストレスを覚え、安全運転にも支障をきたしそうだ、とのことで決断した次第である。



「きりがないから、最高は目指さない」
というのが、今回のスピーカー選びのポリシー。だが、中途半端も銭失いとなる。そこで熟考の末に落ち着いたのが、ジャーマン・マエストロというブランドだ。ドイツの職人によるハンド・クラフトと聞いただけで音が良さそうでさないか。
アンプのように壊れることもなかろう(保障の心配なし)とのことで、上から二番目のランクである2WAYコンポーネント・システムSV6509を独eBayにて国内価格の半額以下(送料込み)にて落札。ラッキーである。

これを、ご近所に見つけたショップ「フリーランド」さんに持ち込み、極めてリーズナブルに取り付けて頂いた。

自動車修理・取り付け トータルカーライフサポートショップ フリーランド

http://carservice-freeland.jp

(とても良心的なお店なので、強くオススメします!)



ジャーマン・マエストロをパイオニアのサイバーナビCL900とパワーアンプ・ロックフォード:フォースゲートT600-4に繋いだところ、まずまずの音となった。
因みにケーブルは、自宅システムのように、ノードスト:ヴァルハラとか言い出すと身が破滅するので、フリーランド店長さんにおまかせの国内品にて済ませた。



クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルのワーグナーが大満足に鳴ってくれるとまでは言わないが、我が運転の伴侶であるスティーリー・ダン、QUJILA、カフェ・ツィンマーマンによるバッハ等が快適に鳴ってくれる。エージングが進めば、この心地よさは増してゆくだろう。好きな音楽があれば、渋滞中にもイライラせずに済む、というのは有り難いことである。


FM OSAKA 番組収録完了!

2016-12-17 14:53:53 | レコード、オーディオ


本日は、FM OSAKAさんに招かれ、番組に出演して参りました。

“くらこれ! おしゃべり音楽マガジン"
放送は、12月18日(日)深夜25時15分(19日午前1時15分)よりの1時間。

大阪音楽界の生き字引とも呼べる司会の吉川智明さんの軽妙なトークに乗せられて、楽しくお話できました。

今回は、合唱指揮者としての自分や宇野功芳先生の思い出話など。1時間ではとても語りきれるものではありませんね。

次の機会には、クナッパーツブッシュ、シューリヒト、朝比奈先生のお話などしたいものです。

ネットやスマホにて、全国どこからでもお聞き頂けますので、宜しくお願いします。

ラトル&BPO ダイレクト・カッティングによるブラームス交響曲全集

2016-12-13 09:57:07 | レコード、オーディオ


ベルリンより今朝到着。
ダイレクト・カッティングによるラトル&BPOのブラームス交響曲全集アナログ盤ボックス。
午前中の予定を後回しにして、まずは「1番」に針を下ろした。普通なら1枚2面に収めるところ、1&2楽章には各1面を費やし計3面という贅沢なカッティング。

ううう、確かに凄い!
ベルリン・フィルの怒濤のサウンドが眼前に迫りくる。こりゃ途轍もない音質だ。音場の広がり、奥行き、そして、音そのものの鮮度など、今まで聴いてきた数々のデジタル録音とは別物である。しかも、わざとらしい強調はなく、自然な音だ。逞しく力強いのにしなやかで優しくすらある。

演奏も真剣勝負。一発勝負の緊迫感がひしひしと伝わってきて手に汗握る。かつて実演で聴いたラトル&VPOのモーツァルトのあまりに曲芸的なパフォーマンスに、「もう一生ラトルは聴かないぞ」と心に誓ったものだが、このブラームス「1番」は無条件によい。これで、ラトルへの負のトラウマがかなり解消されるだろう。



国内販売盤の特典に興味がなかったわたしは、ベルリン・フィルの直営店にネット注文したが、万一プレス・ミスなどがあったとにには、交換の手続きが面倒なことは確かである。価格の違いはあるが、保険として国内ショップで購入するという選択肢もあるだろう。
わたしは、「2番」以降のプレスに瑕疵のないことを祈るのみ。

高貴なり、クレツキのベートーヴェン!

2016-11-21 13:20:49 | レコード、オーディオ



今朝もクレツキのシューベルト「未完成」を聴いていた。

何だろう。この音の背後に広がる悲しみは。深い闇には違いないのだけれど、そこに諦念、赦し、美しき過去への追憶などが含まれているような気がしてならない。

ほかにもクレツキを聴いてみたいと思ったところ、我が家にベートーヴェンのレコードが数枚あることを思い出した。

2004年、ウィーン合唱フェスティバルにて高田三郎「水のいのち」の指揮を終え、はじめて訪ねたプラハにて手に入れたものである。「95」と値札のあるのは、勿論ユーロではなく、チェコの通貨コルナのことである。1コルナが日本円にして4~5円(当時はもっと安かった気もする)ということだから、かなりの安価である。





当時のわたしは、レコード蒐集のビギナーで、レーベルの知識などを殆ど持ち合わせていなかった。お宝の眠る山から当てずっぽうで選ぶほかなかったのが悔やまれる。しかし、それらの中にクレツキ&チェコ・フィルによるベートーヴェン「5番」「田園」「9番」の3点が含まれていたのだ。

残念なのは、「9番」の盤面がピカピカの割には雑音の多いことである。これらのレコードの再生環境が良くなかったのでは?と疑われる。悪い針や調整の出来ていないアームが、溝を傷めてしまったのだ。

それでも、そのシクシクと鳴る雑音の中から、この演奏の高貴な佇まいはヒシヒシと伝わってくる。シューベルトのような「死」「悲しみ」ではなく、人間の強さ、美しさ、理想を求める精神が、厳しい造型によって明らかにされていく。クレツキは、シューベルトとベートーヴェンの本質の違いを本当によく分かって指揮をしているのだ。

さて、クレツキのベートーヴェン交響曲全集はSACD加されている模様。我が家の雑音だらけのレコードと同じ、或いは超える感動を与えてくれるのか、気になるところである。




規範的モーツァルトの名演とレコード盤のキズ

2016-11-21 09:20:35 | レコード、オーディオ



ラトヴィアから届いたレコード。サヴァリッシュ&チェコ・フィルのモーツァルト:交響曲第38~41番の2枚組(チェコ・スプラフォン)。

サヴァリッシュの若き日のウィーン響、コンセルトヘボウ管、そしてバイロイトでの指揮があまりに素晴らしいので、こちらも入手してみたのだが、演奏は規範的でよろしい。規範的という言葉は「真面目だけど面白みに欠ける」という使い方をすることもあるけれど、この場合、音楽的なニュアンスも申し分なく、「恣意的な解釈や極端な表現のない名演奏」ということで、わたしにとって、本当に手本となり、勉強となる演奏、という意味だ。



ただ、残念なことに、「ジュピター」第2楽章に致命的なキズがあった。音楽が美しいだけに悔やまれる。おそらく、前オーナーが針を落下させたときについたキズであろう。

早速、出品者にその旨を伝えると「写真を送れ」と言ってきた。レコード盤のキズを写真に撮るのは意外に難しいのだが、照明の加減や様々な向きを試しつつ、なんとか撮影できた。

これで伝わるだろうか?