福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

タバシュニク先生との幸せな時間

2022-10-21 09:59:31 | コーラス、オーケストラ

ずいぶん長い間、ブログの更新を怠ってしまった。その間、書くことよりも、自分の合唱指揮者としての勉強に興味が向いていたこともあるが、それは言い訳で、根本的には生来の無精の為せる業。いったん、習慣から外れると、元に戻すのが億劫になったのも事実で、これから、少しずつ習慣を取り戻していきたい。

そんな私に再起を思わせたのは、今日と明日(10月21日、22日)に行われる大フィル定期に登場されるミシェル・タバシュニク先生の音楽があまりに素晴らしいからである。

タバシュニク先生といえば、現代音楽のスペシャリストとして、そのディスコグラフィの大半は一般には聴かれない作曲家の作品で、有名曲ではかろうじて「春の祭典」が加わっているくらい。

大フィルでの3日間のリハーサルに対面し、ウェーベルン「管弦楽のための6つの小品」に於ける、その音響への尋常ならざる拘りに、背筋がゾクゾクするほどの感動を覚えたものだが、それ以上に心奪われたのは、隅から隅まで音楽に溢れたチャイコフスキー「4番」である。

メロディの歌わせ方、どこを強調して、どう抜くのか。弦の弓の扱いへの様々な要求、強弱の幅の大きさや音色の多彩さ、懐の深い呼吸と類い希な情熱。そして、チャイコフスキーの悲哀への共感。そのパッションの爆発のさせ方は、どこかシャルル・デュトワを想起させるものだが、その味わいのベクトルは、より内面的なものである。

そして、大フィル合唱団とのストラヴィンスキー「詩篇交響曲」。個人的には、かつて合唱団員の1人として、ホルスト・シュタインの棒で歌った懐かしい作品。ストラヴィンスキーの苦悩から勝利、そして信仰への篤き告白を、これほど力強く、鮮やかに描いてくれる演奏も稀であろう。大フィル合唱団員一同が、忽ち魅了されたのは言うまでもなく、必ずやマエストロの棒に応えてくれることだろう。

ご案内が当日となり恐縮であるが、「本物の音楽」を求める方は、ぜひともフェスティバルホールへ。


大阪フィルハーモニー交響楽団 第562回定期演奏会

開催日時:2022.10.21 (金) 19:00 / 22日(土) 15:00

会  場:フェスティバルホール


指揮:ミシェル・タバシュニク

合唱:大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指導:福島章恭)


ウェーベルン/管弦楽のための6つの小品

ストラヴィンスキー/詩篇交響曲

チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調 作品36



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