昨夜、大阪フィルによる「海道東征」公演は大盛況のうちに終わった。終曲では、感動のあまり涙を堪えきれないお客様も少なくなかったという。かくいうわたしも、信時潔の音楽の優しい美しさ、虚飾のない力強さに改めて胸打たれたひとりである。
今回、大阪フィル合唱団とともに目指したものは、「マエストロを超えよう」というもの。本番直前の舞台裏では、コーラスの志気を高めるため、マエストロの指揮に従うだけでなく、これまでに育て、積み上げてきた自分たちの「海道東征」を思い切りぶつけていこうと檄を飛ばしたものである。
その目標は大いに達せられ、大阪フィル合唱団は、その想いを自分たちの声とハーモニーで歌いきってくれた。また、今回は、オーケストラとの連帯感も前回のドヴォルザーク「スターバト・マーテル」のとき以上に強まったことを感じられたのも嬉しかった。
さて、本来なら明日、22日(日)の追加公演にも立ち会うべきところだが、大事な先約があり叶わない。その先約とは1年前から決まっていた女声合唱団 KIBIの第2回定期演奏会である。神武天皇とは逆コースで、難波から吉備に向かうという寸法である。
明日の海道東征のチケットは完売なので、お時間のある方は是非とも倉敷まで足を運んでほしい。
それにしても、「海道東征」とお別れするのは名残惜しい。本公演、追加公演ともに即日完売。さらに演奏もこれだけ好評だったのだから再演のあることを期待したいと思う。「海道東征」を聴くなら大阪フィル、と全国の音楽ファンに集って頂ける存在になれれば嬉しいではないか。