福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

三浦しをん「本屋さんで待ちあわせ」を読んで勇気百倍

2014-01-26 22:58:44 | コーラス、オーケストラ
福島章恭HP http://www.akiyasuf.com

この本は、ネットでなく、町田の本屋で買いたかった。
それを今日見つけた。老舗・久美堂本店で。
三浦しをん著 「本屋さんで待ちあわせ」である。

「口を開けば、本と漫画の話ばかり。2012年度本屋大賞に輝く著者が本と本を愛するすべてのひとに捧げる、三浦しをんの書評とそのほか」
とBOOKデータにあるとおり、三浦しをんの日記にような、独り言のような書評集だ。
ここに、「クラシックCDの名盤」についての一文があると教えてくれたのは、女声合唱団スウィングロビンのAさんである。

我らの本への言及は、本書の40頁、「読書日記 本に取り憑かれる」の最後に置かれた文章にて。
「三人の著者の音楽への熱狂的愛情は、業と呼んでも差し支えあるまい」
とした上で、私たちの音楽への愛が高じすぎて濃密になりゆく文章を楽しんでくださっている。
何度読んでも随所で爆笑し、最後には胸打たれて目頭が熱くなるという。

この章に引用されている「ティーカップの底に数センチもの愛という砂糖の沈殿するマーラーを堂々と飲み干せ」というのは、バルビローリ指揮のマーラー「第6」に捧げた拙文であるが、この一節は、自分のこれまでに書いた全文章の中でも思い入れの深いものだけに嬉しさも一入である。もっといえば、「今の自分にこの熱く血のたぎる文章が書けるだろうか?」という痛切な問いにもなる。

「業のない人生なんてクソのごとくつまらない」とまで言い切る三浦しをんさんには、大きな勇気を頂いた。
私のような世間の常識から外れた文章を綴っていると、何かと風当たりは強い。苦情も多いし、罵詈雑言を浴びせられることだってある。
しかし、自分の道はこれでよいのだ。
たとえ、目の前に千人の敵がいようとも、自分には三浦しをんという理解者が居る。
しかも、おなじ町田市内に(笑)!
そもそも、誰にとっても程々に面白い本を書くなんて、まっぴら御免ではないか。

と、そんな思いに胸を焦がしていたら、何という偶然か、長女がレンタルビデオ店で「まほろ駅前多田便利軒」(映画版)のDVDを借りてきたから一緒に観よう、という。
今宵は、地下にこもって仕事をするはずだったのだけれど、今日の巡り合わせに感謝しつつ鑑賞。
しみじみ、よい映画だった。
この映画の中にも、「人間の業」がいっぱいに詰まっている。だから、笑いの中に涙が滲み、心に響く。
今日も歩いたばかりの商店街や駅前が舞台なので、余計に楽しめたなあ。
くるりによる主題歌も、いいなあ。映画公開前に彼らのライヴで聴いたときよりも胸に浸みた。

最近、大人しくなった(?)自分に喝を入れ、檄を飛ばしつつ、誰に憚ることのない演奏と執筆に邁進しよう!


単行本: 232ページ
出版社: 大和書房 (2012/10/6)
価格:1,400円(税抜き)
ISBN-10: 4479681728
ISBN-13: 978-4479681724
発売日: 2012/10/6
商品パッケージの寸法: 18.8 x 13.6 x 2 cm


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