昨日、岩城宏之のベートーヴェン全集とともに手にしたレコードボックス。
ヴィヴァルディ コンチェルト・グロッソ集 op.3 nn.1 - 12「調和の幻想」
ベルリン・フィルハーモニー
コンサートマスター: レオン・シュピーラー , トーマス・ブランディス
独DG 2740 221/2709 100(3LP)
録音 : 1979年 録音技師: ギュンター・ヘルマンス
70年代末、カラヤン時代完熟期のベルリン・フィルの弦楽奏者たちによる豪華なヴィヴァルディ。全12曲の半数、6曲ずつをシュピーラーとブランディスがトップを分け合っている。この2人のデュエットなどもあって鳥肌もの。兎にも角にも超弩級の音がする。コンティヌオはエバーハルト・フィンケ(vc)とホルスト・ゲーベル(cem)のコンビだ。
まるで、チャイコフスキーの弦楽セレナーデを聴くかのような豊穣な響き。古楽器に慣れた耳には、ヴィヴァルディにしてはサウンドが立派過ぎるのではと気後れするだろうが、気にすることはない。これで良いのだ。
弦楽器の奏法、機能美をトコトン追求するとこうなります、といった風情こそが堪らない魅力なのだから。
ベルリン・フィルの強者どもが、カラヤンという親方抜きで、実に嬉しそうに伸びやかに合奏を楽しんでいるのが伝わってくる。カラヤンは、オーケストラのプレイヤーたちが自らの指揮より目立つことを好まないから、かつてこれほど彼らがクローズアップされた録音はなかったのではないか?
実は、この演奏。レコードの発売直後、FM放送からのエアチェックテープを愛聴していたこともあったのだが、こうしてオリジナルのレコードで聴くと、当然ながらカセット・テープとは情報量と生々しさが全く違う。当時はただの爽やかなバロック音楽という認証しか持てないでいたものだが。
録音も極上。グラモフォンのアナログ録音のクオリティは相当に高かったことを再確認。
というわけで、久々の再会は実に幸せなものであった!