今宵は北原幸男先生による信時潔「海道東征」のオーケストラ合わせ。「海道東征」は神武天皇の瑞穂の国より大和を目指す東征を題にした交声曲である。
この作品を大阪フィルと合唱団が演奏することは、わたしの合唱指揮者就任前に決まっていたことだが、指導するための資料として入手したSP録音の復刻CDを聴いて、作品の持つ素朴さと大らかな力強さに忽ち魅了されたものである。
信時潔の熟達のオーケストレーションを、間近に体験できたことは貴重な体験であった。
と、ここで、演奏会の宣伝をするのが常道なのだが、今回ばかりはそれは叶わない。20日(金)の公演、22日(日)の追加公演ともにチケットが即日完売されたためである。演奏機会の少ない「海道東征」を実演で聴きたい、という方がこんなにもいらしたのか、と驚くばかり。そのご期待に応えるコーラスとしなくては!
ところで、そのオーケストラ合わせを控えた日中、心身を清めるため、京都を訪ねた。今回選んだ場所は、嵯峨である。
目的地は、嵯峨釈迦堂、即ち清涼寺の近くの紅葉の穴場、厭離案であったが、ここはまだ紅葉には早く、「血の色のよう」と形容される絶景とは程遠いものであった。
そこで、清涼寺にとって返し、参詣したわけだが、雨振る中、たいへんに清々しい気に満ちた時間と空間を楽しむことができた。
その後はさらに、白河天皇開設と言われる宝筐院を訪ね、庭の美しさを満喫。と言いたいところだが、次々に団体さんがやってきては大騒ぎで興を殺がれてしまった。この庭には静寂が似合うと思うのだが・・。
また別の機会に再訪しようと心に決めた次第。
そして、締めは栗ぜんざい。散策のあとは甘味に限る。