福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

ティボール・デ・マヒュラのドヴォルザーク: チェロ協奏曲

2016-11-16 09:24:15 | レコード、オーディオ


今朝はティボール・デ・マヒュラが独奏するドヴォルザークのチェロ協奏曲を聴いた。モラルト指揮のモノーラル録音(蘭フィリップス・未入手)ではなく、アルトゥール・ローター指揮ベルリン交響楽団とのステレオ録音。独オペラ・レーベルである。録音年の記載はないが、1950年代後半から60年代前半であろう。紙ジャケットの左右2辺が接着剤によらず糸で縫われている。

ティボール・デ・マヒュラは、ベルリン・フィルとコンセルトヘボウ管の首席奏者を歴任した名手であり、フルトヴェングラー指揮のシューマンの協奏曲の名演奏によっても知られるが、派手さよりも実直さを追求する演奏姿勢は、どこか同じハンガリー出身のペレーニを連想させる。

演奏効果を狙う人ではないこともあり、ドヴォルザークの協奏曲ほど大きな作品になると、ややスケールの小ささを思わせるものの、チェロという楽器に殉じるような直向きで清々しい様子が録音からも伝わってくる。こういう邪念のない演奏を耳にすると、自分の心まで綺麗になったような錯覚に陥るから不思議なものである。否、錯覚ではあるまい。少なくとも、聴いている間だけは・・。

ところで、この古いレコード。最初に針を下ろしたときは、バチバチというひどい雑音で鑑賞に耐えうるものではなかったのだが、カートリッジをライラ・タイタンからフェーズテック・P-1に交換したところ、嘘のように静かな再生音となった。恐らく、溝に対する両者の針の当たりどころが異なるために起こった現象であろう。アナログ・レコードとその再生は本当に面白い。



追記 カップリングされたゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム(オイゲンの弟)指揮のボロディン「中央アジアの草原にて」とグリンカ歌劇「皇帝に捧げた命」序曲が出色の名演。これは思わぬ拾い物でった。


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