明鏡   

鏡のごとく

「善光寺と檀一雄」

2018-12-31 21:41:10 | 茅葺
善光寺に立ち寄った。

導かれるように、道を曲がった先に善光寺と檀一雄記念碑という看板が目に入った。

一人では行くことができなかったような、何ものかに導かれるような、であいであった。

檀一雄が息子のたろうと住んでいた時は、今は違っていたが、茅葺だったようである。

小高い山の上に、善光寺はあった。

最初に防空壕のような人工の洞穴の中のお地蔵さんたちにであい、大きな張りぼてのような閻魔大王の横に建った りつこ そのあい そのし の 執筆をした場というようなことを赤い字で記した碑にであい、ここにきたことを、坂道をふみふみし歩きながら夕日を見ながら、体全体で記憶した。

「檀一雄と北原白秋」

2018-12-16 18:39:01 | 茅葺
施主さんの川下りの会社が御花の近くにあり、そこにご挨拶に伺ったときのことである。

柳川にゆかりがあったという檀一雄生誕百周年の本を手に入れ、泊まりの間に、ぽつぽつと読んでいた。

檀一雄のおじいさんが、酒を作っていた北原白秋の家などが火事になったのち、その周辺を買い取ったという。

同じ風景を二人は歩いて、生きていたのだ。

平家の落人が6騎たどり着いたというこの周辺をろっきゅうといい、漁師町としておおらかな土地柄もあって、一年悪さをして休学になっていた檀一雄の祖父母のところに転がり込んでいたときに、無頼な生き方の素地が育まれたと言ってもいいほど、壇はこの土地が好きで、性に合っていたようで、おそらく、川のほとりをぶらぶらとしながら、何か、獲物を探すように、匂いのする(うなぎの燻された匂いはここかしこにある)方に歩いては、出くわす何かを溜め込んでいったのだろう。

白秋もまた、酒の匂いを味方につけて、その芳しい菊美人のような透明な甘露のようなものを、体で熟成させていったと思われる。

壇が狩猟の詩人であるならば、白秋は醸造の詩人である。

などと思いながら、自分は屋根を葺くように詩を作り、詩を作るように屋根を葺くような、屋根葺詩人となるよう、精進したいと、希望した。

「柳川と白秋と檀一雄と流れ星」

2018-12-15 22:44:38 | 茅葺
柳川の現場が始まった。

雨の日は日田に帰ってくるが、基本は柳川で泊まり込みで作業をすることとなる。

旅の身空のつかの間の夜の散歩の流れ星を見た。

ゆっくりと光が目の前を通って行った。

寒さに眩く何か夜の闇の奥深くに届く希望のようなものが見えたような。

そのあと、柳川の川のほとりを歩きながら、白秋の生家や檀一雄の記念碑、オノヨウコのおじいさんの家があったところや、戸島家のみんのす(馬の耳の形)のついた茅葺の屋根やお寺の茅葺の門などにもであえた。

歩く速さで生きているようで、星もそのゆっくりとした光でなぞってくれていたのだろうと思うと、星と魂の行き着くところは同じようで、わざと心配させる話ばかりするものとは一線を引いて光の方を向いているようで、それが、今ここで選んでいる道であった。