雪の中 水に入りし 男あり 寒かったろう とけゆくことなく
この茅葺の下で、国のことを語っていたんです。
と神尾さんはおっしゃった。
ご先祖さんは会津からやってきたのです。
幕府からの命を受けて。
そうしてこの茅葺の家を建てた。
曲家なのは、そのせいです。
九州では見かけんでしょ。
会津のやり方だったのです。
この家は積もった雪を落とせるように作られているのです。
あの柱が、雪の重みでしなるでしょ。
そうして、雪を落とすバネになるように作られているのです。
床下を見てください。
間者が入れないようにふさいでいるでしょう。
そうして、ここでは、国のことを語っていたのです。
ここいらは、昔は幕府の直轄のようなところで、今でいう軍事基地みたいなものだったんです。
長崎のグラバーのところなんか、武器を売っていたでしょ。
グラバーの家は高台にあるでしょ。
あそこから、試し射ちなんかやってたんですよ。
人や船がいない時なんか、直接試し射ちできるから、あんなところにうちを建てているんですよ。
ああいう武器を誰がどのくらい持っているかは切実な問題で。
当時は、植民地になるのを避けるために、どれだけ幕府が骨を折っていたか。
そうやって、当時の重鎮、会津のものも含めて、いろんなところに散らばっていたから、中枢での決め事が手薄になって、最後の方は混乱状態となったのです。
茅葺の家を奥日田美建のみなさんと色々なものを拝見しに行ったところの一つで有ったのだが、ご先祖から引き継いだ家を大切に守っている神尾さんから、思いもよらない幕末の話をお聞きしたのである。
今でも、そこで語り合っているような、神尾さんの口を使って、ご先祖さんが語っているような。
今も、昔も時と場所と規模は違えど、同じ人間が作っているのが、この世の中なのであるというような。
その家があるということは、その時をまだ生きているような、重なり合った時というよりは時を同時に生きているような思いにとらわれた。
そういったものが息づいて、記憶を、人を妊み続けているのが、茅葺の家なのかもしれない。
などと思いながら、神尾さんの茅葺の家を後にした。
と神尾さんはおっしゃった。
ご先祖さんは会津からやってきたのです。
幕府からの命を受けて。
そうしてこの茅葺の家を建てた。
曲家なのは、そのせいです。
九州では見かけんでしょ。
会津のやり方だったのです。
この家は積もった雪を落とせるように作られているのです。
あの柱が、雪の重みでしなるでしょ。
そうして、雪を落とすバネになるように作られているのです。
床下を見てください。
間者が入れないようにふさいでいるでしょう。
そうして、ここでは、国のことを語っていたのです。
ここいらは、昔は幕府の直轄のようなところで、今でいう軍事基地みたいなものだったんです。
長崎のグラバーのところなんか、武器を売っていたでしょ。
グラバーの家は高台にあるでしょ。
あそこから、試し射ちなんかやってたんですよ。
人や船がいない時なんか、直接試し射ちできるから、あんなところにうちを建てているんですよ。
ああいう武器を誰がどのくらい持っているかは切実な問題で。
当時は、植民地になるのを避けるために、どれだけ幕府が骨を折っていたか。
そうやって、当時の重鎮、会津のものも含めて、いろんなところに散らばっていたから、中枢での決め事が手薄になって、最後の方は混乱状態となったのです。
茅葺の家を奥日田美建のみなさんと色々なものを拝見しに行ったところの一つで有ったのだが、ご先祖から引き継いだ家を大切に守っている神尾さんから、思いもよらない幕末の話をお聞きしたのである。
今でも、そこで語り合っているような、神尾さんの口を使って、ご先祖さんが語っているような。
今も、昔も時と場所と規模は違えど、同じ人間が作っているのが、この世の中なのであるというような。
その家があるということは、その時をまだ生きているような、重なり合った時というよりは時を同時に生きているような思いにとらわれた。
そういったものが息づいて、記憶を、人を妊み続けているのが、茅葺の家なのかもしれない。
などと思いながら、神尾さんの茅葺の家を後にした。
「燈台へ」ヴァージニア・ウルフ みすず書房 以下抜粋。〜〜〜〜〜〜〜
この暗い楔形の芯は、どこにでも行くことが出来ます、誰にも見られないのですから。
誰にもそれを止められないと少し得意になって考えます。
自由があり、平和があり、中でも、すべての力の統一があり、ゆるぎない土台の上での休息があります。
自己として人は休息など見出せぬものであるのは経験の上から知っております(ここで、何か素晴らしい編針の運びを成し遂げました)。
それが出来るのは黒い楔形の芯だけなのです。
個をなくすれば、いらだちあわてて、心のさわぐこともない。
すべて物が、この平安、このやすらぎ、この永遠に、きたりつどう時に、人生に対する勝利の歓声が、私の唇にのぼってきます。
ここに、身を休めて、燈台のあの閃光、あの三番目の息のながい、着実な輝きに、目をあてようと、見はるかします。
これこそ私の輝きなのです。
この時間に、このような気分であの燈台の光の帯を眺めていますと、自分の眺めている物の一つに自分を結び付けないではいられないのです。
それで、これ、この息のながい、第三の着実な光の帯、それが私のものなのです。
度々私は仕事を手にして座っては眺め、座っては眺めしていて、ついには、自分の眺めているもの、例えばあの光、になってしまっているのに気がつきます。
それで、その光は私の心の中にあった色々な短い言葉をその上に乗せてゆきます。
「子供は忘れないのです、子供は忘れないのです」
またそれをくりかえしてゆくうちにそれに新たにつけ加えて、
「それはやがて終わる」
と私は言います。
「ああ、やってくる」、「やってくる」、その時、不意に「我らは神の御手にあり」、と付け加えました。
この暗い楔形の芯は、どこにでも行くことが出来ます、誰にも見られないのですから。
誰にもそれを止められないと少し得意になって考えます。
自由があり、平和があり、中でも、すべての力の統一があり、ゆるぎない土台の上での休息があります。
自己として人は休息など見出せぬものであるのは経験の上から知っております(ここで、何か素晴らしい編針の運びを成し遂げました)。
それが出来るのは黒い楔形の芯だけなのです。
個をなくすれば、いらだちあわてて、心のさわぐこともない。
すべて物が、この平安、このやすらぎ、この永遠に、きたりつどう時に、人生に対する勝利の歓声が、私の唇にのぼってきます。
ここに、身を休めて、燈台のあの閃光、あの三番目の息のながい、着実な輝きに、目をあてようと、見はるかします。
これこそ私の輝きなのです。
この時間に、このような気分であの燈台の光の帯を眺めていますと、自分の眺めている物の一つに自分を結び付けないではいられないのです。
それで、これ、この息のながい、第三の着実な光の帯、それが私のものなのです。
度々私は仕事を手にして座っては眺め、座っては眺めしていて、ついには、自分の眺めているもの、例えばあの光、になってしまっているのに気がつきます。
それで、その光は私の心の中にあった色々な短い言葉をその上に乗せてゆきます。
「子供は忘れないのです、子供は忘れないのです」
またそれをくりかえしてゆくうちにそれに新たにつけ加えて、
「それはやがて終わる」
と私は言います。
「ああ、やってくる」、「やってくる」、その時、不意に「我らは神の御手にあり」、と付け加えました。
親方が、奥日田美建の弟子たちに遺言のような教科書のような「茅葺きの心得」のような書物を三日三晩ほどかけて書き綴ったものをくださった。
誠に有難く、ここにいる幸いに心より感謝申し上げます。
その後、新年会を奥日田美建の皆様とともに。
皆さん、穏やかな方々ばかりでゆうるりと楽しめる時間を過ごさせてもらった。
とりわけ、方言で盛り上がった。
日田の「せせらん」?=「億劫な?、やる気の出ない??」という言葉について。
雨の日や雪の降る寒い日に使うとです。。。by原田氏、伊藤氏
「もす」=「燃やす」という言葉の略の活用について??
「もす」は主に作業場限定?で使う言葉のような、日田の方言のような気がする。。。by上村氏
「かなづち」のづちは後頭部の意味の「づち」から来ている。。。by親方、奥さん
「ぼた」はいらなくなった、カス?のような意味合いでもある。ぼた山など。by親方
ぼた餅はどげんですか?と聞くと、まあそれは違うっちゃないというご返答。
方言すきです。豊かです。ぐっとそのものに近づくような。
豊かな時間を過ごさせていただき、有難いことこの上なし。
せがれの試験の成功を祈りつつ。
皆が充実したときを生きて欲しいと心より願いつつ。
誠に有難く、ここにいる幸いに心より感謝申し上げます。
その後、新年会を奥日田美建の皆様とともに。
皆さん、穏やかな方々ばかりでゆうるりと楽しめる時間を過ごさせてもらった。
とりわけ、方言で盛り上がった。
日田の「せせらん」?=「億劫な?、やる気の出ない??」という言葉について。
雨の日や雪の降る寒い日に使うとです。。。by原田氏、伊藤氏
「もす」=「燃やす」という言葉の略の活用について??
「もす」は主に作業場限定?で使う言葉のような、日田の方言のような気がする。。。by上村氏
「かなづち」のづちは後頭部の意味の「づち」から来ている。。。by親方、奥さん
「ぼた」はいらなくなった、カス?のような意味合いでもある。ぼた山など。by親方
ぼた餅はどげんですか?と聞くと、まあそれは違うっちゃないというご返答。
方言すきです。豊かです。ぐっとそのものに近づくような。
豊かな時間を過ごさせていただき、有難いことこの上なし。
せがれの試験の成功を祈りつつ。
皆が充実したときを生きて欲しいと心より願いつつ。