明鏡   

鏡のごとく

「茅葺への道」

2017-01-29 15:06:14 | 詩小説


朝靄の中
山の懐に赴けば軽トラックのドアが風もないのにきしみだし
カーブの向こうに投げ出されそうな鎌たち
ギヤチェンジしながら
この感覚は久しぶり
この登りつめていくギアの感覚は息継ぎ
車の加速の息継ぎ
茅場で徐々にかられて丸坊主になっていく
冬の山肌をされしていく感覚にも似ている
見晴らしのいい山の上までかられた一本道は
いつの間にか
すべすべとした山肌になっていく
ギヤチェンジというより様変わり
午前中だけ茅を刈り
雨雲がやってくるのを見越して
山を降りてくる
温泉に浸かり汗を流していると
足のすねに茅の尖った先に引っ掻かれた後が何箇所かできていた
このヒリヒリとした痛みは茅の痛み
切られた後の痛みのようで
しみてきたのも茅の身に起きたことに比べれば
かすった痛み
湯船で思い巡らし
体を巡った雲のような霧の痛みを晴らしていく
リセットされた体と頭と目に映るのは
根子岳
露天風呂は小雨に打たれていた
それから温泉の暖簾をくぐると、放し飼いにされたヤギの群れに出会う
岩場と木の茂った庭で新芽を背伸びしながら食べていた
毎日しているとキリンにはなれないかもしれないが
リャマにはなれそうなくらい
小さなヤギさんはもう下の方は根こそぎ食べられていて食べられるところがないようで
岩の上で磁石で動く人形のようにじれったく蠢いていた
雨がさらに降り出した
やはり山を早めに降りてきてよかった
少しは山の気持ちがわかるようになってきたのかと
巡っていくことの心地よさを思う




「茅葺への道」

2017-01-28 18:45:58 | 詩小説

今回は阿蘇茅葺工房さんのご好意により、茅刈りをさせていただけることになり、早速、茅場へ向かった。
先輩のせっちゃんと一緒に登って、途中の茅を狩ることにした。
阿蘇の地元のネット放送が取材に来られていた。三代目が今の親方で受け継がれた茅葺の技を、次の息子さんへと繋げたいという意気込みを語られたという。おじちゃんとあーちゃんとお兄さんとせっちゃんのご両親も茅刈りに来られていた。
ドローンでも撮影されていて、あの壮大な山を見下ろす風景を見れるのは、機械が羨ましい限りであると思ったが、茅を刈る前に、山の上から見上げた空もまた、解放された窮屈な体の中の魂の行き場は、空に違いないと思われた。
そういえば、昨日、変な夢を見た。
私が人参や大根を短冊切りにし、願うように食べると、それが巡り巡って大地になるという夢。
それがいいと思った。
以前、友達と話した時のような思いが、ここに来て夢にまで現れたということであろう。
夢が叶うということなのかもしれない。
完成させること。
自分の中のものを。
目の前にある茅葺を。
目の前にある茅を狩るのだ。
目の前にあることがこんなにも澄んでいる景色で、空気も冴えていながら、心地よい暖かさをろ過してくれている、この素晴らしき世界。
そうして、汗まみれになり、体の隅々まで、クタクタになりながら、茅で切らないように「すね」を気にしながら、茅の切り口の尖ったところを踏み込み踏み込み、前に進んでいった。

昨日、せっちゃんと、飲みながら、親方と大きな夢を語り合ったのを思い出した。
九州の茅葺を守ることで、日本の茅葺をも守っていく。
ゆくゆくは、横のつながりを持って、茅葺の職人さんたちによる、職人的「結」の結成を目指したいということ。せっちゃんはその中で、女性の茅葺職人さんを集めて、女職人集団を結成した暁には、その集団で、カヤ服をするのが夢であるということ。私も、親方やせっちゃん夢を共有したいと思った。自分のできる限りのこと。
こうやって、茅葺に関わっていけることことへの感謝と、九州だけでなく全国の茅葺を残していくために私ができることの一つとして、書き記していくこと。
日本の豊かや茅葺文化をこの世界に残していくことのお手伝いができれば何より嬉しいことはない。という大きな夢ができたのだった。
てっちゃんは、世界の茅葺をまだまだ見たいということで、いつか見に行くということ。皆それぞれに、茅葺への思いを具現化して、実行に移していくことができるのが、何よりも嬉しい。
今携わっている茅葺の家ができたら、家族を連れておいでと言ってくださった親方に感謝であります。
やはり、見ているだけではなく、その中に息づいてこそ、茅葺がわかってくると思われるので、早く自分の茅葺さんを作ってみたいと、また夢を延々と紡ぎ続けていきそうである。
親方と、せっちゃんに言わせてみれば、一番新しく作った茅葺が自分の技の更新になり、さらに茅葺が良くなっていくというのだから、やはり、一つ一つを丁寧に、生き物を育てるように、向き合っていきたいと思う。



「慰安婦本」著者に無罪=名誉毀損の訴え退ける―韓国

2017-01-25 19:25:37 | 日記
【ソウル時事】韓国の朴裕河・世宗大教授(59)が著書「帝国の慰安婦」で「自発的な売春婦」といった描写により元慰安婦の名誉を傷つけたとして、名誉毀損(きそん)罪に問われた裁判で、ソウル東部地裁は25日、無罪を言い渡した。検察側は控訴する方針。
 検察側は「(慰安婦が)日本軍と同志的な関係にあった」という部分など35カ所の表現で名誉を傷つけたと主張し、懲役3年を求刑。これに対し、裁判官は「『同志的な関係』と記述した部分など、30カ所は意見の表明で、事実を明示したとみることはできない」と判断。さらに、「『すべての慰安婦が自発的に慰安婦になった』と断定したとみることは難しい」と指摘し、告訴人の名誉が毀損されたとは言い切れないと結論付けた。
 判決公判には告訴した元慰安婦、李容洙さんらが出席、李さんは「こんな判決では駄目だ」と強く控訴を求めた。
 元慰安婦らは2014年6月に朴教授を告訴。検察は15年11月、在宅起訴した。