マイナンバーカードの利便性と引き換えに大切なものを手放す覚悟
新型コロナ支援策の一環として、今回の公明党案に自公で決着がつ
いた。私が注目したのは、マイナンバーカードの普及を図るための
新たなポイントの付与を、最大2万円分を3段階で付与することであ
る。具体的には、カードの取得時に5000円分、そして、健康保険証
としての利用を開始した際と、国からの給付金を受け取るための「
公金受取口座」の登録をした際に、それぞれ7500円分を付与する内
容である。
そもそも、マイナンバー制度導入の目的について「国民の利便性向
上」「行政の効率化」「公正・公平な社会の実現」とあるが、国民
総背番号制と言う管理国家と危険視して導入反対の声も多かったの
も事実で、未だに交付率28%台である。そして三つの目的について
も「行政の効率化」を行政側から見れば、国民一人ひとりの「情報
(事情)」を番号だけで全てを把握することができる。「公正・公
平」の部分は「不正受給の防止」つまり社会保険料や税金の徴収漏
れをなくす。「国民の利便性」が一番インパクトが弱い感じに思う。
今回の施策もハッキリとマイナンバーカードの普及を図る目的とし
て実施すると唱ってるが、まずカードの取得については、現時点で
は大した利便性があるとは考えにくく、今後の展開によってはデメ
リットも増えてくる可能性がある。健康保険証として使えるように
なるとは、決して保険証の代わりになる訳ではなく、ICチップに搭
載された情報で保険証の確認ができるということになる。「公金受
取口座」の登録とあるが政府は給付金を受け取るためと言ってるが
自分の預金口座の情報を国に提供するということで、流石に私とし
ては抵抗がある。
「社会システムのIT化」という部分でのマイナンバーカード利用は意
味があるとは思うが、最近の相次ぐ政府や自治体の信用を落とすよう
な不祥事が多い中では、安心して情報管理を任せられないという基本
的な信頼関係が築けていないのが現実である。
将来的に丸裸にされる危険性のあるマイナンバーカード制度に「利便
性」を求めることで、大切なものを手放す覚悟を求められているよう
な気がする。