格差社会から階級社会への変貌
「新・階級社会 上級国民と中流貧民」日本社会は、格差社会よりも
シビアな「階級社会」へと変貌を遂げていた。一握りの上級国民を除
き、誰も上昇することができない理不尽な世界だ。これは「週刊ダイ
ヤモンド」9月11日号の特集記事の一部である。
現在も日本のGDPは世界3位の座にあり、辛うじて国力としての豊か
さを保ってはいるが、働き手個人の豊かさが、ないがしろにされてい
るという意味において、日本は貧困放置国家へ落ちぶれてしまったと
言える。
そもそも、日本の格差問題を固定化し、かつ深刻化させたのは、80年
代から急速に労働現場に浸透した非正規労働者の存在で、正社員が担
っていた仕事の一部を、低賃金の非正規労働者に置き換えたのだから
格差が拡大するのは当然である。
今の日本社会を「格差社会」などという言葉で表現するのは実態を表
してなく、格差社会よりもはるかにシビアな「階級社会」へ変貌を遂
げている。それは、出自や教育環境、就職時期の経済環境などによっ
て階級が決まる「現代版カースト」ともいえる理不尽な世界である。
そして厄介なことに階級格差は親から子へ、子から孫へと世代を超え
て連鎖し受け継がれていき、世襲されることで、格差は加速度的に広
がっていく。
そして、新型コロナウイルスの感染拡大は、階級格差をさらに広げる
「副作用」を引き起こした。このことについては、またの機会に詳し
く考察することとします。
現代の階級社会は、血統や資産を持つ「資本家階級」、大企業エリー
トやホワイトカラーなどの「新中間階級」、自営業者や家族経営従事
者などの「旧中間階級」、単純作業やサービス業・販売業などの「正
規労働者」、非正規労働者の「アンダークラス」の5階級に分類され
るようだ。
現代の日本社会は、血脈・血統を持つ一握りの上級国民が制する「新
・階級社会」へ変貌を遂げ、これが日本型「カースト」の偽らざる実
態である。もはや、この国は経済大国ではなく、貧困大国になってし
まったのかもしれない。