国民栄誉賞に思う
今回、大リーグでMVPを獲得した大谷翔平選手は国民栄誉賞の打診
に対して「まだ早いので今回は辞退させて頂きたい」と回答した。
おそらく現役中に、今後もっと凄いことをやるという意志の表れだ
ろう。
そもそも、国民栄誉賞とは「広く国民に敬愛され、社会に明るい希
望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃
えること」を目的に、内閣総理大臣が「適当と認めるものに対して」
「随時」表彰すると規定されて、そのタイミングも基準も実に曖昧
である。それゆえに「首相の人気取り」「国民栄誉賞のバーゲンセ
ール」などの批判もある。
あのイチローでさえも過去に3度の辞退をしている。既に現役を引退
してるにも関わらず辞退し続けるのには賞に対する独自の捉え方をし
ていると感じる。また逆に、長嶋茂雄氏の場合「なぜ今ごろ?」の感
は拭えない。松井秀喜氏との同時受賞は、元巨人軍の師匠と弟子のW
受賞となったことから、当時の安倍首相の人気取りではとも言われた。
また「そんなんもろたら、立ちションもできへんようになる」と辞退
したことで有名になった世界の盗塁王の福本豊氏は、政府公認の国民
的ヒーロー、つまり国民の手本として生きていくことの重圧を感じて
の発言だった。
1977年に創設された国民栄誉賞は、40年以上経った現在では、受賞者
も国民も賞に対する捉え方が変わってきてるように思える。つまり、
政府公認で「広く国民に敬愛され社会に希望を与えた顕著な業績」と
言う曖昧な表現では、その時の社会情勢や政権に対する民意によって
も判断が変わってくるように思う。そして今の時代、この賞を将来的
な目標に頑張っている人は果たして、どれだけいるのだろうか?