センター試験の問題でつまづいた次の文、
Pierre me reproche de ne pas lui dire la raison de mon absence.
なぜpasがneに続く位置あるのか理由を調べた。
辞書のpasの項目には似た例があった。
Il m'a dit de ne pas venir.
Je regrette de ne pas l'avoir (ou ne l'avoir pas) connue.
不定詞になるとpasの位置が変わるようだ。
しかし明確な解説はない。
『フランス文法の入門』を見てもそれらしい話はない。
こうなったらと、
『詳解フランス文典』(佐藤房吉, 駿河台出版社, 1991)にあたって、
否定の副詞の項目で、該当する記載をやっと見つけた。
忘れないように写しておく。
<ne ~ pas > の位置:
単純時制では <ne + 動詞 + pas >,
複合時制では <ne + 助動詞 + pas + 過去分詞 > となる.
不定詞の否定形としては <ne pas + 不定詞 > がふつうであるが,
文学的表現では <ne + 不定詞 + pas > が見られる.
On peut être très intelligent et n'aimer pas les vers. ――Gide
(たいへん聡明でありながら詩はきらいという人もいる. ――ジッド)
時には,
Ceux qui l'entourent font silence pour ne le point troubler. ――Duhamel
(彼の周囲の人々は彼の心を乱すまいと沈黙している. ――デュアメル)
のように <ne + 補語人称代名詞 + pas + 不定詞 > も見られる.
<avoir > < être > による動詞句や受動態では <ne + 不定詞 + pas > が多く,
Je crains de n'avoir pas le temps. (暇がないのではないかと心配だ)
Je crains de n'être pas compris. (分かってもらえないことが心配だ)
のような例が見られる.
不定詞複合形では
<ne pas avoir compris > (理解しなかったこと)が普通であるが,
<n'avoir pas compris > も見られる.
< 準助動詞不定詞 + 不定詞 > でも
< ne pouvoir pas s’exprimer > (自己を表現し得ない)
という語順を見ることがある.
一般に, < pas > が < ne > から分離して不定詞の
後におかれるのは古風な, あるいは文章語的な語順である.
解釈上最も注意すべきは, < devoir・falloir・vouloir > の否定形が
実は従属不定詞または従属節の否定の転移であるという事実である.
Vous ne devez pas vous absenter.
(= Vous devez ne pas vous absenter. 席を空けてはならない) は
「席を空ける義務はない」ではないし,
Il ne faut pas dormir. (= Il faut ne pas dormir. 眠ってはならない) は
「眠る必要はない」ではない.
Il ne veut pas que les petits enfant aient froid.
(= Il veut que les petits enfants n'aient pas froid. 彼は幼児が寒がらないことを希望する)では「幼児が寒がること」への彼の希望の有無が問題なのではない.
残: 204h
Pierre me reproche de ne pas lui dire la raison de mon absence.
なぜpasがneに続く位置あるのか理由を調べた。
辞書のpasの項目には似た例があった。
Il m'a dit de ne pas venir.
Je regrette de ne pas l'avoir (ou ne l'avoir pas) connue.
不定詞になるとpasの位置が変わるようだ。
しかし明確な解説はない。
『フランス文法の入門』を見てもそれらしい話はない。
こうなったらと、
『詳解フランス文典』(佐藤房吉, 駿河台出版社, 1991)にあたって、
否定の副詞の項目で、該当する記載をやっと見つけた。
忘れないように写しておく。
<ne ~ pas > の位置:
単純時制では <ne + 動詞 + pas >,
複合時制では <ne + 助動詞 + pas + 過去分詞 > となる.
不定詞の否定形としては <ne pas + 不定詞 > がふつうであるが,
文学的表現では <ne + 不定詞 + pas > が見られる.
On peut être très intelligent et n'aimer pas les vers. ――Gide
(たいへん聡明でありながら詩はきらいという人もいる. ――ジッド)
時には,
Ceux qui l'entourent font silence pour ne le point troubler. ――Duhamel
(彼の周囲の人々は彼の心を乱すまいと沈黙している. ――デュアメル)
のように <ne + 補語人称代名詞 + pas + 不定詞 > も見られる.
<avoir > < être > による動詞句や受動態では <ne + 不定詞 + pas > が多く,
Je crains de n'avoir pas le temps. (暇がないのではないかと心配だ)
Je crains de n'être pas compris. (分かってもらえないことが心配だ)
のような例が見られる.
不定詞複合形では
<ne pas avoir compris > (理解しなかったこと)が普通であるが,
<n'avoir pas compris > も見られる.
< 準助動詞不定詞 + 不定詞 > でも
< ne pouvoir pas s’exprimer > (自己を表現し得ない)
という語順を見ることがある.
一般に, < pas > が < ne > から分離して不定詞の
後におかれるのは古風な, あるいは文章語的な語順である.
解釈上最も注意すべきは, < devoir・falloir・vouloir > の否定形が
実は従属不定詞または従属節の否定の転移であるという事実である.
Vous ne devez pas vous absenter.
(= Vous devez ne pas vous absenter. 席を空けてはならない) は
「席を空ける義務はない」ではないし,
Il ne faut pas dormir. (= Il faut ne pas dormir. 眠ってはならない) は
「眠る必要はない」ではない.
Il ne veut pas que les petits enfant aient froid.
(= Il veut que les petits enfants n'aient pas froid. 彼は幼児が寒がらないことを希望する)では「幼児が寒がること」への彼の希望の有無が問題なのではない.
残: 204h
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