さかざきが綴る「アンティークな日々」

アンティークディーラーさかざきがアンティークのこと、日常のことを綴っています。

名古屋探訪

2006-07-04 | 

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今では料亭として営業している稲本は大正12年(1923年)築、名古屋市の指定を受けた文化財でもあります。紅殻を塗った土壁の大きな木造建築、きちんと手入れの行き届いた建物です。

 名古屋に住んでいながら探訪というのもおかしいのですが、昨日は街へ買い物へ出たついでに、前々から興味のあった旧中村遊郭へ。古い建物好きな私と河村が、建築の本で読んで以来、以前から「一度行ってみたいね。」と言っていた場所です。名古屋で生まれ育った私ですが、自宅から離れていることもあり、この辺りに足を運ぶのは生まれて初めて。とても興味深い建築散歩となりました。

 この中村と呼ばれる辺りは、古くは豊臣秀吉が産湯を使った井戸がある中村公園にも程近い名古屋の中でも西方、JRの名古屋駅からは車で西に10分程度行った場所です。大正12年に遊郭として制定されて、大須という今でも大きなアーケード街のある北にあった旭遊郭から、遊郭全体がこちらへ移ってきたそうです。私も知らなかったのですが、この中村遊郭たるや、大変規模が大きく、東京の吉原をしのぐ日本一の歓楽街だったそう。そんなキーワードにひかれてやってきました。

 まず、車に乗って街を一巡。第一印象は「ふ、ふるいっ!」今まで名古屋では見たこともないような古い木造建築が並んでいます。戦争で大半が焼けてしまった名古屋の街なのですが、たぶんこの辺りは戦災を免れたのでしょう。細い路地に古い木造建築の並んだ住宅街は、まるでタイムスリップして80年前にやってきたようです。

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こちらはごく一般的な遊郭の建物。今では普通の住宅として使われているようです。どっしりした構えが年月を感じさせます。

 そんな中、車でウロウロする私達の目に飛び込んできたのは赤い紅殻を塗った木造建物。一目で遊郭だったと分かる大きな建物です。よくよく見ていくと「あ、ここにも!」「この建物もそうだ!」と次々に発見。玄関脇に美人画があったり、こういう場所にありがちなタイルを使った建物も多く、そのレトロな味わいも、古い建物好きな私達にはこたえられません。もう人が住んでいないのか、荒れ果てている建物があったり、一階を八百屋として使っている所があったり、もちろんそのまま風俗店として使われている所があったり、時間の流れと共にそれぞれの生業も違ってきています。今となってはの日本一の歓楽街だったという勢いは残っていませんが、街のあちらこちらに昔の面影をとどめていました。

 また、この辺りは大きなスーパーがあるため、夕方近くのこの時間帯には買い物にやってくる大勢の人通りがあるのですが、この近くに住む人にとってはごく日常の光景なのでしょう。沢山の買い物客とこの古い(そして少し怪しげな)街並みが、なんとも不思議な感じでした。旧中村遊郭、こんな自宅近くに、こんな古いものが残っていたのかと、目からウロコの探訪でした。

 中村遊郭について詳しくお知りになりたい方は、私達が尊敬する藤森先生の「建築探偵東奔西走」がおすすめです。

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