昨日話題にしました神戸市博物館の「ルーブル展」ですが、早速今朝大丸へ出勤前にささっと見てきました。宮殿を飾っていたゴールドに塗られた華やかな室内装飾品や銀器、ルイ15世の愛妾だったポンパドール夫人やマリー・アントワネットが実際に使っていた品々が沢山展示されており、その人となりやその時代を忍ぶことが出来ました。特に意外だったのは、マリー・アントワネットのコレクションだったという日本の漆器とゴールド細工を組み合わせた装飾品の数々。彼女は、オリエンタルな物への造詣も深かったということを初めて知りました。思えば、彼女が育ったオーストリアのシェーンブルン宮殿には漆器や磁器の間がある訳で、そうした好みが母親のマリア・テレジアから受け継いでいたことが今さらのように分かりました。
今回沢山展示されていたゴールドの派手な室内装飾品や大きく豪華な銀器にはさほど惹かれませんが(思わず、「こんなものの中では落ち着いて生活できないわ。庶民で良かった。」と思ってしまいました。)、美しいエナメル細工の嗅ぎ煙草入れは私の好みを刺激し、一番興味深く眺めました。宝飾品のメインとして展示されていた嗅ぎ煙草入れは、美しいエナメル細工や象牙に肖像が描かれたミニアチュールをあしらった、大変美しく豪華な小箱です。
実は、このような美しい小箱は大好きで、いつもパリで立ち寄る高級品ばかりを扱うアンティークセンターでウィンドウにへばりついて眺めていたのですが、私は今までジュエリーボックスだとばかり思っていて、今回これが「嗅ぎ煙草入れ」だったということを初めて知りました。また、今回思ったのですが、美術館の展示品は、どうしたって自分の手に入れることは出来ません。その点、パリの店先で目にするこうした美しい小箱は、どうにかすれば(実際にはなかなかどうして、どうにもならないのですが)自分の手に入れることが出来る訳ですから、自然と見る熱意も違ってくるように思いました。(いつも、パリに行く度、こうした美しい小箱のショウケースの前で、買えもしない癖に河村と果てしなく「もしひとつ選ぶんだったらどれにする?」なんてやっているので。)今回、このブログを書くにあたって、展示されていた「嗅ぎ煙草入れ」の画像を一生懸命インターネット上で探したのですが、みつけることが出来ませんでした。実物をご覧になりたい方は是非神戸市博物館でご覧になって下さい。
そして、最後に展示されていたマリー・アントワネットが実際に使っていたという旅行用のセット。(上の画像がそれです。)革命の不穏な動きを察知した彼女が同じものをもう1点作らせて用意していたというセットです。どれにも彼女のイニシャルであるMとAを組み合わせたモノグラムが描かれていて、化粧道具から果てはお茶道具まで、「これが旅行用なの?」と思えてしまう豪華なセットです。セットの中の化粧鏡に映る自分の顔を眺めながら、「マリー・アントワネットも同じようにこの鏡に映る自分の姿を眺めたのかしら。」と思うと、何とも感慨深い気持ちになりました。確か以前、ルーブル美術館ではありませんが、パリの美術館でマリー・アントワネットのエチュイ(お裁縫道具)を見たことがありますが、持ち主の悲劇的な人生が投影されるからでしょうか、なんとも淋しげな雰囲気が漂っていたのを思い出しました。
今回の神戸市博物館での「ルーブル展」は7月6日まで。興味のある方は是非お出掛け下さい。