- 民事事件において,高等裁判所がした決定または命令に不服がある場合,最高裁判所に不服の申立てをすることができます。この不服の申立てには,次の二つの方法があります。
(1) 特別抗告の提起(民事訴訟法336条) この特別抗告の提起は,憲法違反を理由とする場合に限られます。
(2) 抗告許可の申立て(民事訴訟法337条)
高等裁判所の決定又は命令に,1. 最高裁判所の判例と相反する判断がある場合,2. その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる場合において,この申立てをすることができます。
この場合には,高等裁判所が申立てを決定で許可したときに限り,抗告の提起があったものとみなされます。
最近,相談があった事件で,弁護士から,抗告許可の申立てはハードルが高いとのアドバイスを受け,そのため,「抗告許可の申立て」ではなく,「特別抗告」状を最高裁判所に提出した人がいました。
しかし,上記のように,特別抗告は憲法違反を理由とする必要があるのです。他方,民事事件で憲法違反というのは普通は考えにくいのです。なぜなら,憲法は国家権力に制約を加えて国民の権利自由を保障するものだからです。
というわけで,相談者にアドバイスをした弁護士は弁護過誤の責任を問われる可能性があるのです。残念です。