アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

ミステリー列車の魅力

2018-10-25 17:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

今時、ミステリー列車なる行先不明の臨時列車の運転は、存在するのだろうか・・・

まだ団体旅行では鉄道利用が当たり前の時代、このミステリー列車と呼ばれる臨時列車の運転は、結構な頻度で運転されていたと思う。乗客にとっては、行先が明かされていないから、いったい何処へ行くのかという期待と不安の交錯が旅情を掻き立てる。が、考えようによっては、随分と非効率な旅行かもしれない。鉄道ファンの立場からすれば、普段は走ることのない車両たちが、突然やってくる訳で、やはり被写体としてはインパクトが高い。アントンKも若い頃は、この手のイレギュラー感の強い列車が大好きだった。事前にそういった列車の情報を手にすることの楽しさや期待感は、何事にも代えられないと思ったものだ。

しかし、長年同じ趣味を継続していく中で、より思い出深い光景に思えるのは、日常の在り来たりの定期列車の方で、一発屋の臨時列車には、中々そこまでの思い入れは最近沸いてこないのだ。

掲載写真は、吾妻線を往く高崎市政80周年のミステリー列車。この時、普段は貨物列車しかけん引しないEF12が客車をけん引、長野原まで入るということを知り、友人と意気揚々出かけた時のもの。当時は貨物機が、客車を牽くなんて珍しい、もう二度と無いよ!と盛り上がっていたが、40年近くの時間が経ってしまうと、あの時の思いは消え、どちらかというとトコトコと短い貨車をのんびり牽いてきたEF12の方が懐かしく思い出されてしまうのだ。これも長年の経験から思うことだろうし、人それぞれだからとも思うが、最近のアントンKは、原点主義に変わりつつある。

1980-08-03   9531ㇾ   EF121     12系客車    吾妻線:長野原付近


憧れのヘッドマーク

2018-10-24 20:00:00 | 鉄道写真(EL)

先日、撮影地で出会った若き鉄チャンが、高崎公開へ出向き、憧れの「富士・はやぶさ」のヘッドマークがEF66に装着されていて、夢中でシャッターを切ってきたと、嬉しそうに話してくれた。まだお若い彼にとっては、幼い頃唯一見たブルトレであり、想いが強かったのだろう。サプライズで、その本物のヘッドマークがロクロクに付けられたのだから、興奮したのも無理もない。アントンKも自分のことのように嬉しくなったのだ。

確かに最後まで残存した「富士・はやぶさ」のヘッドマークのデザインは秀逸であり、機関車に装着した姿を見ても撮影しても良いデザインだったと思っている。しかしアントンKの年代には、併結ヘッドマークは今一つしっくりこないことも事実だ。やはり歴史ある栄光の特急名称が、羅列されているだけで、格式が下がってしまう感覚になる。ご都合主義で、仕方なく走らせている感が伝わって、どこか感傷的になったもの。今ではそれさえも消滅してしまったのだから、何を今更なのだが・・・

今回は、その「富士・はやぶさ」ではなく、その前改正時まで走っていた「さくら・はやぶさ」を掲載。このヘッドマークは、色目が悪く機関車装着時にも引き立たず、撮影にも苦労した思い出がある。順光線で撮影に挑みたいが、その角度によっては、マークが白飛びを起こし間抜けた写真となるわけだ。この時は、光の反射を考慮して、うんと下から超望遠で捕らえたもの。ようやく文字が読み取れるものが撮影できたが、苦労した割には映えないデザインだったと最後まで思っていた。今となっては、これも良い思い出になっているのだが・・

1999-12-30    4ㇾ  EF6653  さくら・はやぶさ   JR東海/東海道本線:菊川付近


蒸機 vs 電機

2018-10-23 20:00:00 | 鉄道写真(SL)

世の中には、多くの鉄道ファンが存在している。その数は年々増加傾向にあるように思える。少なくとも、アントンKが鉄道を意識した1970年代と比較すると、その差は歴然だ。思えば、昔は鉄道好きというと、良いイメージは皆無で、幼稚とか、オタクとか、変り者に見られることが多かったように思うが、現在では、社会にも認知され、そんなに奇異な目で見られることも少ないようにも思う。昔ではまず考えられなかった、女子鉄、ママ鉄なども市民権を得ている時代。随分と時間が流れたものだ。

アントンKは鉄道が好きと言っても、その対象は、撮影することがほとんどあり、模型工作や収集、あるいは鉄道旅行など、気持ちは十分あっても現実にはなかなか手が出せないでいる。限られた時間の中で、長年続けてきたこの趣味活動を今後どう展開していけるか、最近よく考えてしまうことがある。すぐには答えは出せそうもないが、趣味の仲間たちとの交流で今後も刺激を受け、さらに高みを目指せれば幸いなことだ。

アントンKの鉄道撮影は、今やジャンルを問わず、気になった鉄道車両は垣根なしに撮影したいというスタンスに変わりつつある。若い頃は、どうしても周りのコアな友人たちの影響を受け、機関車の撮影が中心になっていたが、現在はというと、かなり自由度が増していて、車輛に対しても好き嫌いが無くなったと思えるくらい自由になったと思う。それは、車両の記録というスタンスを少し広げて、もう少し自分の主張を画像に反映したいと思うようになったからだ。写真の奥深さに今更ながら気が付いたということだ。

蒸気機関車と電気機関車。

さて現在の鉄道ファンの間では、どちらが人気があるのだろうか?昔だったら、当たり前のように、蒸気機関車に決まっていると即答したものだが、今ではその様相も変わりつつある。蒸機に目がいくのは、50代以上の国鉄時代現役の蒸機を知っているファンが多く、今の若者たちからすれば、圧倒的に電気機関車に軍配が上がってしまうようだ。時代とともに、走る車両も変化していくが、それに魅了されるファンも哀しいかな代替わりしていくことを実感している。

2001-01-07   9733ㇾ みなかみ物語号   JR東日本/上越線:渋川付近


魅力に溢れたEF64一次型

2018-10-19 20:00:00 | 鉄道写真(EL)

現在の中央東線は、ブルーサンダーことEH200型の独壇場となっているが、本の20年前のことを思えば、まだEF640番台の活躍が見られ、色々なきっかけを見つけては足を運んでいた。何せおおよそ重連運用で、貨物列車は運転され結構な運転本数だったから、篠ノ井線まで足を延ばしてよく通ったものだ。この後、この0番台から1000番台に置き換わったが、とにかく中央線で1000番台を見た時の違和感は今でも残っている。時間とともに慣らされてきてしまったが、西線のEF641000番台も同じ感覚を思い出している。趣味的見地から言えば、やはり中央線はロクヨンゼロと言いたいのだ。

掲載写真は、一番好きなスタイルのEF64で初期の機体。このEF645号機は、直流時代の福米時代を経験している機関車で、全面窓周りにデフロスタ装着の残懇が見られ、より武骨な山男の面構えとなっている。そうとも知らず、全面アップで待ち構えていると、あっという間に夕日は山影へ沈み、薄暗く変わったところで飛び込んできた一次型。寒さなど吹き飛び、熱いものを感じたことを思い出す。

2002-02-20      EF645+46    JR東日本/中央東線:甲斐大和付近


ブロムシュテットのブルックナー第9番

2018-10-18 20:00:00 | 音楽/芸術

今月は嬉しいことにブルックナーが集中して聴ける。日本フィル/インキネン指揮で、ブルックナー第9番、そしてNHK交響楽団でもブロムシュテットの指揮で、やはりブルックナーの第9番、そして新日本フィルでも、上岡敏之によるブルックナー第9番と、続けざまに3種類の第9番を聴ける状況なのである。

スケジュール最初のインキネンについては、残念ながら予定が合わず断念したが、大したダメージは残ってはいない。過去に聴いている第8や第5の延長線上にあるとしたら、おそらく心の葛藤はない。そして今回、N響によるブルックナー第9番を聴いてきた。これは今や巨匠として世界に君臨しているヘルベルト・ブロムシュテットの指揮する演奏だからだが、演奏内容は、昔から聴いている彼のブルックナーの路線からは、変わってはいなかった。ちょうど2年前に、バンベルク響でブル7を聴いたはずだが、その時の印象とは変わらない。しかし御年91歳のブロムシュテット、変わらない方が反って凄みが沸いてくる。ブルックナーに真摯に立ち向かう姿勢が、演奏される音楽に表れる。譜面を信じ、愚直に演奏することこそ、ブルックナー演奏に向いているとされるから、ブロムシュテットの演奏スタイルは、このスタイルにハマっているのだろう。今回もとても自然でゆったりと響きの中に身を置くことができたのだ。

残響のないNHKホールで、NHK交響楽団も大健闘し、指揮者の意図するブルックナートーンを響かせていたことは認めたいが、楽曲が第9番となると、やはり聴こえてくる表面上の響きだけでは物足りず、大地の揺らめきとでもいうか、心の底から湧き上がってくるような想いが感じたくなるもの。想像を絶するような「大きさ」「厳しさ」が演奏から見えなかったことが残念だ。よくテンポ感についてのコメントを見かけるが、演奏時間が早いか遅いかは、大した問題ではなく、それよりこの譜面から何を伝えたいのかが重要で、そこをアントンKも一番知りたいポイントなのだ。

いずれこのブルックナーの第9番について、今月聴いた演奏や過去の演奏も交えて書き残しておきたいと思っているが、その口火を切ったブロムシュテットの演奏は、立派な演奏には違いないが、アダージョ楽章も含めて淡々とした内容で、とても無機質に感じてしまった。あそこは、もう人間界の響きではないはず・・・

NHK交響楽団 第1894回定期演奏会

モーツァルト  交響曲第38番 ニ長調 K504

ブルックナー  交響曲第9番  ニ短調(コールス校訂版)

指揮    ヘルベルト・ブロムシュテット

コンマス  ライナー・キュッヒル

2018-10-14     東京渋谷 NHKホール