高田郁 作 「あきない世傳 金と銀」13巻【完結編】が発刊されました。
完結編であるが故に、気になる疑問の一つ一つに答えるように物語が展開された印象があります。
○タイトル「あきない世傳 金と銀」の「金と銀」の意味することは?
賢輔が父:治兵衛から託された言葉と思いを語ることで明らかにされます。
「 …金は銀より重うて、柔らかい。何より、いつまでも変わらんと光り続けることが出来ますのや。
金と違うて、銀は曇ってしまう。けど、その曇りは、銀がひとからひとの手ェに渡った証。仰山のひと
の役に立った証だす。金と銀,両方揃わな、商いは出来ませんのや。… 」 その光り続ける金にあたるのが幸であり、その金の傍を離れず生かすのが銀である賢輔の役割であると
治兵衛は語ります。その言葉と願いをしっかりと受け止めてきた賢輔は、 「せやさかい、私は何があったかて、ご寮さんのお傍を離れしません。生涯かけて、金を生かす銀とな
ります」と、幸に誓います。
○夫が罪に問われ、江戸払いとなった妹:結はどうなるのか?
「私は音羽忠兵衛の女房です。一緒に江戸を去り、行きついた先で、必ず立ち直ってみせます。こないな
ことで負けしまへんよって」
と 幸に告げる結の言葉によって、これからどう生きていくのか、結の決意を読み取ることができました。
○女性経営者同志としての菊栄との関係はどうなるのか?
お互いに支え合い「あきない」の道を歩んできた菊栄との絆も、変わることなくこれからも続いていく
のでしょう。「買うてのさいわい、売ってのしあわせ」の思いを共有しながら、同じ町内で暮らしながら
女性経営者としての道を共に歩んでいくことでしょう。
○五十鈴屋の今後は?
五十鈴屋の経営者として幸が求め続けてきた「あきない」の行方も、貧しいながらもいつかは娘の晴れ着
を仕立てたいと考え、洗い物の手間賃を大事に貯めて店に訪れた母娘の登場で暗示されます。
いつかここで晴れ着用の反物を買わせてもらうんだと願い、五十鈴屋を訪れた母娘の切なる思いを汲み取っ
た店の誰もが畳に手をつき、「お持ち申しておりました」と心から伝えて額づく姿に、五十鈴屋の今後が見え
てくるような気がしました。
買い手の思いや願いを常に真摯に受け止め汲み取りながら、一人一人の買い手の思いに寄り添い、買ってよ
かったと喜んでもらえるような「あきない」を続けていくことでしょう。
○誰のためにどんな品物をどんな形で提供していくか?
幸は、これからも店を支える型紙師や染め師、木綿や絹の生産地の人々、同業者や同じ町内で「あきない」を
続けている人々、「買うてのさいわい、売ってのしあわせ」のもとで働く五十鈴屋の人々と力を合わせながら
「あきない」に取り組んでいくことでしょう。
どんな品物が人々にさいわいをもたらすのか、そのことを第一に考えながら、やがて紋羽織の温かい肌着も売り
出すことになるのではないでしょうか。
「少し先に、特別巻を二冊、刊行させていただく予定です」と、作者が語っていますので、その特別巻の中で紋羽織
の売り出しのことや 唯一の肉親である妹:結のその後の生き方についてもふれることになるのではないでしょうか。
高田郁作品の愛読者として、特別巻の刊行と新たな物語の誕生を、今から楽しみにしています。
完結編であるが故に、気になる疑問の一つ一つに答えるように物語が展開された印象があります。
○タイトル「あきない世傳 金と銀」の「金と銀」の意味することは?
賢輔が父:治兵衛から託された言葉と思いを語ることで明らかにされます。
「 …金は銀より重うて、柔らかい。何より、いつまでも変わらんと光り続けることが出来ますのや。
金と違うて、銀は曇ってしまう。けど、その曇りは、銀がひとからひとの手ェに渡った証。仰山のひと
の役に立った証だす。金と銀,両方揃わな、商いは出来ませんのや。… 」 その光り続ける金にあたるのが幸であり、その金の傍を離れず生かすのが銀である賢輔の役割であると
治兵衛は語ります。その言葉と願いをしっかりと受け止めてきた賢輔は、 「せやさかい、私は何があったかて、ご寮さんのお傍を離れしません。生涯かけて、金を生かす銀とな
ります」と、幸に誓います。
○夫が罪に問われ、江戸払いとなった妹:結はどうなるのか?
「私は音羽忠兵衛の女房です。一緒に江戸を去り、行きついた先で、必ず立ち直ってみせます。こないな
ことで負けしまへんよって」
と 幸に告げる結の言葉によって、これからどう生きていくのか、結の決意を読み取ることができました。
○女性経営者同志としての菊栄との関係はどうなるのか?
お互いに支え合い「あきない」の道を歩んできた菊栄との絆も、変わることなくこれからも続いていく
のでしょう。「買うてのさいわい、売ってのしあわせ」の思いを共有しながら、同じ町内で暮らしながら
女性経営者としての道を共に歩んでいくことでしょう。
○五十鈴屋の今後は?
五十鈴屋の経営者として幸が求め続けてきた「あきない」の行方も、貧しいながらもいつかは娘の晴れ着
を仕立てたいと考え、洗い物の手間賃を大事に貯めて店に訪れた母娘の登場で暗示されます。
いつかここで晴れ着用の反物を買わせてもらうんだと願い、五十鈴屋を訪れた母娘の切なる思いを汲み取っ
た店の誰もが畳に手をつき、「お持ち申しておりました」と心から伝えて額づく姿に、五十鈴屋の今後が見え
てくるような気がしました。
買い手の思いや願いを常に真摯に受け止め汲み取りながら、一人一人の買い手の思いに寄り添い、買ってよ
かったと喜んでもらえるような「あきない」を続けていくことでしょう。
○誰のためにどんな品物をどんな形で提供していくか?
幸は、これからも店を支える型紙師や染め師、木綿や絹の生産地の人々、同業者や同じ町内で「あきない」を
続けている人々、「買うてのさいわい、売ってのしあわせ」のもとで働く五十鈴屋の人々と力を合わせながら
「あきない」に取り組んでいくことでしょう。
どんな品物が人々にさいわいをもたらすのか、そのことを第一に考えながら、やがて紋羽織の温かい肌着も売り
出すことになるのではないでしょうか。
「少し先に、特別巻を二冊、刊行させていただく予定です」と、作者が語っていますので、その特別巻の中で紋羽織
の売り出しのことや 唯一の肉親である妹:結のその後の生き方についてもふれることになるのではないでしょうか。
高田郁作品の愛読者として、特別巻の刊行と新たな物語の誕生を、今から楽しみにしています。