我が家の愛犬:クウタに異変が生じました。鼻の頭に斜めのひっかき傷ができているのです。幸い、えさを食べたり匂いをかいだりする際に支障はなく、傷も治りかけているようなので安心しているのですが……。そんなクウタの一匹言です。
飼い主とにらめっこしていて、このごろ気がついたことがある。オレの目を見ているようでいて、真剣に見ているのがオレの鼻。なんで、そこに傷があるんだろう?そんな目でオレではなく鼻を見ているんだ。
じつは、鼻の頭にできたひっかき傷は、野良猫がつけたもの。夕方の散歩が終わって、飼い主が用意してくれた ドッグフードというご馳走を食べていた時のことだった。体を動かした後で、おなかもすいていたので、夢中になって食べていたんだ。その時に、あの白い野良猫が(飼い主は、シロと名付けているようだけど)やってきたんだ。その気配を感じてはいたんだけど、オレは全然気にしないふりをして、食べ続けていたんだ。
そうしたら、シロのやつ、我慢ができなくなったみたいで、いきなりえさのそばまで近づいてきたんだ。オレが、あっちへ行けとほえたら、突然前足でオレの鼻をひっかいたもんだから、びっくりしたのと痛いので、オレは大慌て。思わずそこを逃げ出したら、何とシロのやつ ずうずうしくも、まだ半分も食ベ終わらないご馳走の中に頭を突っ込んで、ムシャムシャ食べ始めたんだ。又、引っ掻かれたらいやだし、正直言ってこわいものだから、オレはその様子を離れたところで見て見ないふりをしていたんだ。
そこに、また飼い主が顔を見せてくれたのでラッキー。シロは人間が苦手みたいで、いちもくさんに駆けていった。その様子を見て、オレは飼い主に感謝を込めてしっぽをふりながら、少し減ったご馳走を食べ始めたんだ。
飼い主は、なんかあきれかえったような目でオレを見、それから少し離れたところにいるシロをながめていた。おかげで、オレはすっかり安心して、残りのご馳走を全部たいらげることができた。
でも、飼い主は、オレが食ベ終わるのを見届けると、こう言ったんだ。
あんなに小さなシロにえさを横取りされるなんて、情けないぞ、クウタ。もう少し、犬らしく堂々としていなくちゃ。オレ様が食べきれなかったら、その残りは食わしてやるから……。そう言えるぐらい強い犬でなくちゃ。鼻を引っ掻かれたぐらいで、オロオロするなんて……。でも、シロも寒くなって食べ物を見つけるのが大変になってきたんだろうなあ。シロの食べる分も考えてやる必要があるのかなあ……。
シロのことより、オレ様のけがのことを心配してほしいなあ。
家に入っていく飼い主を見ながら、ちょっぴりさびしい気がしたよ。