レオ・レオニの絵本の中で、よく知られているのは
『スイミー』なのではないかと思います。
小さな魚たちが、力を合わせて大きな魚を追い払う物語。
スイミーを中心に小さな魚たちが、集まって形作る大きな魚。
たとえ小さな弱い存在であっても、
知恵を働かせ、力を合わせれば 現実の厳しい世界も
胸を張って生きていける…そんなメッセージが込められているような気がします。
『あいうえおの木』からも、共通するメッセージが読み取れます。
ばらばらだった文字たちが、手をつないで言葉をつくり、
一番伝えたいことを文にして 大統領まで届けるという物語。
言葉や文にして伝えることの意味や大切さについても 考えさせられます。
『フレデリック』では、他のネズミたちが冬ごもりの前に
いっしょうけんめい えさやわらを集めているのに、
主人公のフレデリックだけは働かず、色や光や言葉を集めます。
やがて長く冷たい冬が来たときに、
フレデリックが集めたものが どんなにすばらしい すてきなものであったか
他のネズミたちは実感することになります。
どの絵本にも 深いメッセージが込められているのですが、
私が、何より好きな作品が 『ペツェッティーノ』です。
ほかのみんなは おおきくて おもいきったことも すばらしいことも いろいろできた。
小さいペツェティーノは、だから 自分は きっと だれかの とるにたりない 部分品なの
だと 思い、だれの部分品なのかを知るために 旅に出ます。
でも、最後には 自分もみんなと同じ存在 だれかの部品ではなく 自分自身なのだというこ
とに 気づくという 物語です。
だれでも みんな 一人ひとりが かけがえのない 自分という 存在であること
そのことを 教えてくれる絵本が 『ペツェッティーノ』です。
レオ・レオニの絵本は、子どものために書かれた 大人のための絵本という感じがします。
私にとっては、生きることの意味や価値について考えさせられる哲学書でもあります。
もし機会がありましたら、ご一読ください。
※レオ・レオニの絵本の訳は、詩人の谷川俊太郎が担当しています。
谷川俊太郎の書いた詩も好きなので、後日ブログで紹介したいと思っています。