昨日、各地の電力会社で株主総会が開かれ、東京電力を含む七つの電力会社で脱原発の提案が出されたが、いずれも否決されたとのこと。脱原発の道を踏み出すには、まだまだ遠い状況にあるようです。
東京電力の株主総会では、福島在住の武藤頼子さんが、4千人以上の株主を前に 「美しかったふる里はすっかり変わった。苦しみや悲しみは深まるばかりだ。役員も福島に居を移し、避難者の苦悩を肌で感じてほしい。そうしてこそ被害者に寄り添う賠償ができる」 と訴え、「福島第一原発事故の被害者への迅速かつ最大限の補償を行う」という定款の変更を提案しました。この提案も否決されました。
福島の人々の思いを汲み取り、事故の責任を明確にして最大限の補償を行うということは、当事者としての東京電力が果たさなければならない最も大切な要件なのではないかと思うのですが……。福島の事故から何を学ぶことができたのか、被害者の身によりそって 補償や原発の問題を正面から受けとめていくことが大切なのではないかと痛切に感じます。
また、脱原発については、一つの企業の株主総会で決める問題としてではなく、国全体で考えなければならない課題としてとらえることが必要なのではないかと思いました。
以前のブログでも書きましたが、原発に頼るエネルギー政策を継続するか否かについて、国民全体の意思を確認するような 国民投票制度の必要性を痛感します。政府の中でも、原発の経済的コストを、現状を継続した場合やすべてを廃炉にした場合などを想定して試算しようとする動きがあるようですが、そういった情報を提供して国民の意思を確認することが必要なのではないかと思います。
政治に対する信頼が揺らいでいる今だからこそ、国民の声に耳を傾けた政治が実現されるような 制度が求められているような気がします。
原発の問題は、日本の未来を方向付ける大きな問題なのではないかと思います。一人の国民として、どう判断するのか、その決断が求められているような気がしてなりません。