金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】資金決済機能の主体は、バーゼルⅢ規制下へ!

2019-02-20 07:27:43 | 金融マーケット
 特別なインシデントを例に、金融決済機能を論じてきましたが、この機能は平常時だけでなく、非常時においてもちゃんと動くようにしておかないと、更に大きな混乱を招くことがご理解頂けたと思います。

 これはそもそも銀行がなぜ存在するのか? という意義そのものになります。決済不能の連鎖を食い止める防波堤、あるいは洪水を防ぐためのダムが銀行の存在意義であり、中央銀行と一般市民との間に欠かせない機能なのです。何か有事の際、中央銀行には「特別融資」など、流動性を大量供給する権限があります。その中央銀行が自信をもって資金供給していくためには、財務情報がオープンになっている銀行が間に入っていることが絶対条件になります。この意義は、昔も今も、そして将来も変わりません。

 現代の技術では、すべての個人口座、すべての法人口座を中央銀行に開設することも可能であり、平常時の資金決済は、中央銀行とフィンテック会社があれば成立する時代になりました。しかし、その口座一つひとつにつき、口座主体のバランスシートまで中央銀行が把握することは不可能ですから、インシデント発生の際、どの口座にどれだけの資金を供給できるのかを判断することも不可能となります。それぞれの口座主体の財務状況を把握する存在である銀行が間に入っていればこそ、非常時の資金決済が担保されていることになります。

 キャッシュレス社会を進めていく上では、このような非常時の対応も考慮しながら、資金決済の枠組みを議論する必要があります。楽天やソフトバンクが、資金決済の世界に入ってくるのであれば、バーゼルⅢの規制下で、ぜひ仕事をさせるべきだと思います。どれだけの規制で縛られ、またリスク管理・コンプライアンス管理等の負荷をかけられているか、想像を絶する世界がそこにあるのを知ることになります。
(「キャッシュレス世界の盲点」シリーズは本日で終了します)

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