先週の札幌記念は4着に敗れてしまったプログノーシスですが、高い潜在能力を秘めるこの馬の大命題は、何としてでも「GⅠを勝つ」こと。
ディープインパクト産駒という良血ではありますが、逆にディープ産駒は数が過剰であるため、種牡馬になるには最低でも1つのGⅠ勝利が条件になります。
プログノーシスは、牧場時代から評価の高い評判馬でしたが、体質の弱さからデビューが遅れました。3歳3月の未勝利戦でデビュー勝利、2戦目が重賞毎日杯で、のちのダービー馬シャフリヤールの3着。その後は3歳秋から4歳春にかけて3連勝でオープン入り。しかし、オープン入り後は「気性面の難しさ=力んで走る癖」から勝てず、ようやくオープン入り3戦目の金鯱賞で重賞初勝利。
そのあとも「力んで走る癖」は直りませんが、それでも香港GⅠのQE2世Cで世界的名馬ロマンチックウオリアーの2着を2回、昨年の天皇賞秋ではイクイノックスとジャスティンパレスに続く3着。まるでGⅠレースで2着3着を続けていた、あのステイゴールドのイメージが重なります。
プログノーシスの潜在能力は、ディープインパクト産駒の中でも有数の高さを誇ると思いますが、GⅠを勝てない理由は「気性の難しさ」と「いつも世界的名馬が出てくるような難しいGⅠレースに挑戦」すること。
そして、次走は何と、豪州の伝統GⅠコックスプレートが予定されています。もちろん、豪コックスプレートに勝てば種牡馬としての価値はグンと上がりますが、その前に長距離輸送と初めてのコースというハンデを背負います。例年多頭数の出走が見込まれるコックスプレートでは不確定要素が多過ぎる気がするのは、ワタクシだけでしょうか。目の前に、プログノーシスが得意とする「左回り」「直線が長く馬場が広い」「芝2000m」の国内GⅠがあるというのに!
中内田調教師と川田将雅騎手からすれば、三冠牝馬リバティアイランドを優先するレース選択だとは思いますが、それならばCルメール騎手あたりを鞍上に据えて、プログノーシスに天皇賞秋へ出走させる手もあるはず。
陣営は、それでも両GⅠを勝利して、プログノーシスにもリバティアイランドにも最良の結果を残すつもりなのでしょうが、この選択は、プログノーシスには相当な負担がかかるものとなります。
兎にも角にも、プログノーシスがGⅠレースに勝利して、ビッグレッドファームあたりで種牡馬としてデビューできることを祈っております。
種牡馬になれさえすれば、種牡馬ステイゴールドのように「闘争心」と「抜群のスピード」を併せ持つ優秀な産駒を多数輩出してくれると確信しています。