現地11月2日(土)に行われたブリーダーズカップデー。
そのうち、メイン競争であるブリーダーズカップクラシック(GⅠ)とブリーダーズカップターフ(GⅠ)の2レースを振り返ります。
まずはダート世界一を決めるブリーダーズカップクラシック(GⅠ:ダート2000m)から。
勝ったのは、ガンランナー産駒の米国3歳牡馬シエラレオーネ。後方待機で脚を溜めます。逃げた日本馬デルマソトガケが作った前半のペースは淀みなく流れるレースとなりました。2週目の3コーナー過ぎからシエラレオーネが動き出して、外を回して先団に取りつきます。直線に入ると、好位2番手から抜け出した米国3歳牡馬フィアースネスと、シエラレオーネの2頭が激しく競り合いますが、シエラレオーネがゴール手前で1馬身1/2差抜け出して快勝。ダート良の勝ちタイムは2分0秒78。2着フィアースネスから1馬身1/4差の3着には、好位4番手から直線は外に出して追い込んできた、日本の3歳牡馬フォーエバーヤング。
勝ったシエラレオーネは、6月のケンタッキーダービーはハナ差2着で涙を飲んだ馬。ケンタッキーダービーでの悔しさをブリーダーズカップクラシックで晴らして、ダート世界一の座に就きました。今年の米国年度代表馬NO.1候補でありましょう。
2着フィアースネスは、そのケンタッキーダービーは1番人気で15着に敗れたものの、8月のトラヴァーズS(GⅠ)でシエラレオーネ他に完勝して、このレースには大本命で臨みました。しかし結果は惜しくも2着。ただ、シエラレオーネとフィアースネスの3歳牡馬2頭が、今の米国ダート界を牽引するトップ2であることを、改めて世界に示すことになりました。
そして3着が日本のフォーエバーヤング。春はサウジダービー1着、UAEダービー1着で、本番のケンタッキーダービーはハナ差ハナ差の僅差で3着。そして世界を獲りに来たこのレースでは、またしても3着。しかし、本場米国のスピード競馬に対し、好位4番手追走と正面から堂々と挑んで、ラストも卓越した勝負根性を見せての3着ですから立派の一言でありました。むしろ、今の世界のダート界は、勝ったシエラレオーネ、2着のフィアースネスと並んで、日本のフォーエバーヤングが君臨し、この3頭で「世界の三強」を構成していることを示す結果だったと思います。ぜひ、胸を張って帰国してほしいです。
なお、この3頭には出来れば、来年春の世界最高賞金レースのサウジカップか、ドバイワールドカップで再戦を期待したいと思います。
次はブリーダーズカップターフ(GⅠ:芝2400m)です。
勝ったのは、英国6歳騙馬のドバウィ産駒レベルロマンス。好スタートから好位2番手追走へ。レースの流れは淡々としたペースで進みますが、2週目の3コーナー過ぎにレベルロマンスが早め先頭に立って急に流れが速くなります。直線に入ると、レベルロマンスが後続を突き放しますが、最後方からマクリ気味に前進してきた日本の5歳牡馬ローシャムパークが大外から鋭く迫ります。それでもクビ差届かず、レベルロマンスが僅差で勝利。良の勝ちタイムは2分26秒07。2着ローシャムパークから1馬身1/2差の3着には、中団から差してきた日本の6歳牡馬シャフリヤール。
勝ったレベルロマンスは、今年春のドバイシーマクラシックでも、2着シャフリヤール、3着リバティアイランドと日本馬を完封した馬。またしても日本馬にとって「厚い壁」となりました。ちなみにレベルロマンスは、本国英国でも今年のキングジョージ6世&QES3着と実績がありますが、多くの勝利が海外GⅠという国際派。このブリーダーズカップターフも2022年に続いて2勝目で、他にもドバイ・香港・ドイツでGⅠ勝利があります。
2着ローシャムパークは惜しいレースでした。あと20mあれば差し切っていました。この大舞台で最後方待機から一気の差し脚を見せてくれるとは、この馬の充実ぶりと鞍上のCルメール騎手の凄さを改めて感じ入るばかり。帰国後の有馬記念で一発あるかもしれません。
3着シャフリヤールも悔しい内容でした。4コーナー手前で好位から外に出そうとした時に、大外からローシャムパークに出口を塞がれて仕掛けが遅れてしまいました。脚を余していただけに悔しい3着だったでしょう。次走は香港カップか、香港ヴァースだと思いますが、巻き返しを期待したいと思います。