「慣用句」のように一般によく使われてるフレーズの中には、明らかに言葉の意味が誤用されているものが存在します。表題で紹介した、
『それ以上でもなければ、それ以下でもない』
というフレーズはその典型例であります。
この『それ以上でもなければ、それ以下でもない』というフレーズは、要は「そのものズバリ」であり、誇張する必要もないし、過少に見る必要もないという意味でよく使われます。しかし、この言い方だと「そのものズバリ」である『対象物』すら否定する言い方になっているということ。
その昔、小学校とか中学校の数学の時間で習いましたよね? 「以上」も「以下」も、「そのものズバリ」を含む意味であることを。例えば、「100以上」と言えば100を含む、より大きな数字を指しますし、「100以下」と言えば100を含む、より小さな数字を指すことになります。
したがって『それ以上でもなければ、それ以下でもない』ということは、これを満たす解は存在しないことになる。「そのものズバリ」も解になりません。
より正確に言うならば、
『それ超でもなければ、それ未満でもない』
と言わなければなりません。
あまりしつこく言うと嫌われるのでここまでにしますが、特に数学者とか物理学者の方とかは、もっと声を大にして「物笑いの対象」にして欲しいと思います。そういう話が報道され始めると、このフレーズを使う人が恥ずかしくなって使わなくなっていきますので、自然消滅するはず。
宜しくお願いいたします!