駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

後医は名医だろうか

2024年12月14日 | 診療
                           


   病気と言うのは最初は症状がそろわず診断が難しいものだ。有利という言い方は変かもしれないが後から見た医師の方が正しい診断が付けやすい。しかし世間の人は正しく診断できなった前医を藪医、後から正しい診断をした後医を名医と思いがちだ。
 だから我々の仲間内では前医を悪く言うなと言う暗黙の了解がある。しかしながら軽率な若い医者は時に、これがわからなかったなどと口走ることがあり、不要な誤解を生むことがある。初期に正しい診断を下せるのが優れた医師なのは間違いないが、イチローだって毎回ヒットが打てるわけではない。大切なのは確率と布石なのだ。
 優れた医師は居ても普遍的な名医というものは存在しないのでは、名医には出会いと相性があると思われる。
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同病相理解

2024年12月07日 | 診療
         


 元々やや乾燥肌なのに加え年を取ってきたので、冬になると手足や体幹が痒くなる。掻くまいと思っても、つい搔いてしまう。同年配の患者さんの背中を聴診していると掻き痕のある人が時々おられる。希望されれば保湿剤を処方している。
 範囲が広いので軟膏のように5g10gではなく100gとか150gとか結構な量のものになる。きちんと塗ればそれなりの効果があるようだ。
 地域によって四季の変化は様々だが、人は変化する気温や湿度に適応して生きてゆかねばならない。どうも寒さと乾燥は人体に負担が大きいようで、冬は体調を崩す方が増える。保温保湿は身を守る基本と申し上げたい。
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内科というのは、しない科

2024年11月27日 | 診療
            


 遠い昔、O先生は言われた。「内科というのは、しない科、なんだよ」と。余計なことはしないという意味だ。その時はそうかなあと拝聴したのだが、五十年の臨床の中で時々思い出しながら仕事をしてきた。なかなかできないことだが、実にその通りなのだ。
 H教授は解熱剤を使うと「こら」と烈火のごとく怒った。熱型が分からなくなるからだ。これは成程と思っても現在では中々難しい。今では数多くの検査が手軽にできるようになったし、辛い発熱は放って置きにくい。
 患者さんには分かってもらえないことも多いのだが、病気の初期は症状が揃わず的が絞りにくい。後医は名医と言われるように、後から見た医師の方が診断は付けやすい。最初はじっと我慢で余計なことはしない方が良いことも多いのだ。
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秋晴れはどこに

2024年10月29日 | 診療
            
            
 
 今日も肌寒く風があるせいか駅まで歩いても汗ばむことはなかった。少し雨が降ったようで道路が濡れていた。電車はいつもより少し空いておりすぐ座れた。男は黒っぽい服装多く女性も暖色がなく全体に暗い感じがして、いつもの通勤電車ではなくどこか違うところに向かっているように感じた。
 それでも何事もなく無事に医院にたどり着き診察室に座ると市内の総合病院から私のところに通院しているN子さん84歳が転倒し大腿骨を折って入院されましたという報告が届いていた。やれやれと小さいため息が出た、年に一人二人こうしたことがある。若い時には転ぶなどということは少ないし転んでも素早く手をついたり体をひねったりして大怪我をすることはないのだが、後期高齢になるとわずか二センチに躓き骨折をすることがある。ほとんどが女性で、N子さんは明るく楽しい人なのだがちょっと体重が多く打ち所が悪かったのだろう。経過良く帰ってこられるのを待ちたい。
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変遷する新型コロナ

2024年09月18日 | 診療
           


 総裁選代表戦の陰に隠れて、殆んどニュースにならないが新型コロナの流行が続いている。変異と流行を繰り返すうち軽症化してきた。前線で毎日数名見ている診療所でもそれを実感している。
 ちょっと悩むのが治療薬である。対症療法で良くなると判断できる症例の中には新型コロナの薬(ゾコーバ)を使用しても良さそうな高熱で大変そうな症例も混じっている。問題なのがお値段で15500円と聞いて、いや結構ですと断られる患者さんもおられる。飲んだ患者さんは楽になったと言われる方が多いのだが無理には勧められない。
 もう一つ感じるのは感染源が不明な患者さんが増えたということ。おそらく軽症無自覚コロナで歩き回っている人が居て、しかもマスクをしていない人が増えたせいだろう。
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