駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

十五分の勉強

2025年01月10日 | 診療
            


 勿論、十五分では足りない。三十分と言いたいところだが、だんだん勉強時間は減ってきている。現役のうちは毎日十五分は勉強しなければと努めている。その主な情報源は医事新報だ。学会誌もまだ二つ送ってくるが月刊誌だし、前線には週刊で臨床的な医事新報が有用なのだ。
 当然だが知った著者が減った。昔はあいつが教授になったかなどと同級生や知己の記事を時々楽しく懐かしく読んでいたが、今では著者は自分より若い人ばかりだ。  
 正直に言えば、本からの新しい知見は成程と思っても中々身に付かないし新薬なども導入しにくい。やはり人から直に教えられた方が身に付くというか実行に移しやすい。コロナ前は講演会勉強会があったので、そこで新知見新薬を教えられ導入していた。コロナが一段落し講演会勉強会が少し復活し、時々開催されるようだが億劫で出かけなくなった。今は幸い若い院長と一緒に働いているので、彼のカルテを見たり教えてもらったりして、最先端の医療から遅れないようしている。運がいい有難い。
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後医は名医だろうか

2024年12月14日 | 診療
                           


   病気と言うのは最初は症状がそろわず診断が難しいものだ。有利という言い方は変かもしれないが後から見た医師の方が正しい診断が付けやすい。しかし世間の人は正しく診断できなった前医を藪医、後から正しい診断をした後医を名医と思いがちだ。
 だから我々の仲間内では前医を悪く言うなと言う暗黙の了解がある。しかしながら軽率な若い医者は時に、これがわからなかったなどと口走ることがあり、不要な誤解を生むことがある。初期に正しい診断を下せるのが優れた医師なのは間違いないが、イチローだって毎回ヒットが打てるわけではない。大切なのは確率と布石なのだ。
 優れた医師は居ても普遍的な名医というものは存在しないのでは、名医には出会いと相性があると思われる。
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同病相理解

2024年12月07日 | 診療
         


 元々やや乾燥肌なのに加え年を取ってきたので、冬になると手足や体幹が痒くなる。掻くまいと思っても、つい搔いてしまう。同年配の患者さんの背中を聴診していると掻き痕のある人が時々おられる。希望されれば保湿剤を処方している。
 範囲が広いので軟膏のように5g10gではなく100gとか150gとか結構な量のものになる。きちんと塗ればそれなりの効果があるようだ。
 地域によって四季の変化は様々だが、人は変化する気温や湿度に適応して生きてゆかねばならない。どうも寒さと乾燥は人体に負担が大きいようで、冬は体調を崩す方が増える。保温保湿は身を守る基本と申し上げたい。
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内科というのは、しない科

2024年11月27日 | 診療
            


 遠い昔、O先生は言われた。「内科というのは、しない科、なんだよ」と。余計なことはしないという意味だ。その時はそうかなあと拝聴したのだが、五十年の臨床の中で時々思い出しながら仕事をしてきた。なかなかできないことだが、実にその通りなのだ。
 H教授は解熱剤を使うと「こら」と烈火のごとく怒った。熱型が分からなくなるからだ。これは成程と思っても現在では中々難しい。今では数多くの検査が手軽にできるようになったし、辛い発熱は放って置きにくい。
 患者さんには分かってもらえないことも多いのだが、病気の初期は症状が揃わず的が絞りにくい。後医は名医と言われるように、後から見た医師の方が診断は付けやすい。最初はじっと我慢で余計なことはしない方が良いことも多いのだ。
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秋晴れはどこに

2024年10月29日 | 診療
            
            
 
 今日も肌寒く風があるせいか駅まで歩いても汗ばむことはなかった。少し雨が降ったようで道路が濡れていた。電車はいつもより少し空いておりすぐ座れた。男は黒っぽい服装多く女性も暖色がなく全体に暗い感じがして、いつもの通勤電車ではなくどこか違うところに向かっているように感じた。
 それでも何事もなく無事に医院にたどり着き診察室に座ると市内の総合病院から私のところに通院しているN子さん84歳が転倒し大腿骨を折って入院されましたという報告が届いていた。やれやれと小さいため息が出た、年に一人二人こうしたことがある。若い時には転ぶなどということは少ないし転んでも素早く手をついたり体をひねったりして大怪我をすることはないのだが、後期高齢になるとわずか二センチに躓き骨折をすることがある。ほとんどが女性で、N子さんは明るく楽しい人なのだがちょっと体重が多く打ち所が悪かったのだろう。経過良く帰ってこられるのを待ちたい。
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