駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

オバマの怒りと人事院

2009年01月31日 | 世界
 オバマが怒った。「恥を知れ」と。公的資金を注入されて破綻を免れているウォール街の金融証券会社の役職員が莫大なボーナスを貰っていたからだ。テレビキャスターが会社の役員にどういうことだと詰め寄れば「高給を支払わないと優秀な人材が集まらないんだ」。「なんだと。会社を潰すような奴のどこが優秀なんだ」。とキャスターは怒鳴り返していた。
 オバマは非常に冷静だ。これは大切なリーダーの資質だが、その冷静さの芯に白熱の炎の情熱がなければ人を動かすことはできない。オバマは両者を持ち合わせているように見える。残念ながら今の日本の政治家で「恥を知れ」。と叱責できる人が何人いるだろうか。恥を知れなどと言えばお前こそと言い返される人が多そうだ。
 橋下知事が他人の金にしわい人を民間から登用したいと言っている。どうも小沢さんが言うと迫力が今ひとつなのだが、税金は国民の血の滲むお金、他人のお金だからといって無駄遣いされてはかなわない。
 天下りが問題になっているが天下りを廃止し天上がりに変えられないだろうか。まず役所が天と言うのを改めねば。天下りという言葉そのものが屈折しており、慇懃無礼対卑屈の構図を形成し適当でない。優秀な官僚は海外高年協力隊や中小企業に再就職し、折角の能力を残る人生で余すところなく使っていただきたい。民と官の人事交流と情報の公開、これが最善の処方と思う。
 人事院は一体何を守ろうとするのか。当然、国民の基本的人権の実現を目指し、より良い社会を作ろうとする人材の活用でしょう。
 あれ、違ったのかな。
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愛犬の腰回り

2009年01月30日 | 身辺記
 我が家の愛犬は二歳の時、交通事故に会い十日週間入院の大手術(大出費)を受けたので長生きできるかなと心配していたが、十歳九ヶ月と前期高齢者(犬)になった。もう小事で大騒ぎして吠え回ったり、やたらとじゃれつくことはなくなったが、元気で食欲旺盛だ。彼は多めに餌を貰った時、残しておくということを知らず一気に全部食べてしまう(あなたと同じじゃないと言われている)。唯一の健康法はダイエットで、毎朝餌をやる時ウエストラインを観察して量を加減している。そんなんで分かるかと言われそうだが、その方面はプロで毎日人間で眼力を鍛えている。体重の2%変動があれば、大抵気が付く。目の回り、顎から首の線それと全体のシルエットでわかる。女性の場合、髪型の変化や服装で間違えることはあるが。
 彼は13kgあるのでウエルシュコーギの雄としてはやや太めだ。彼のあるかないかのウエィストラインは私の脳にきちんと記憶されている(しょうもない)。彼は冷蔵庫を持たないので、どうも今日は餌が足りないと感じても、扉を開けて追加の食料を探すことは出来ない。ダイエットが上手くゆくわけだ。
 ところで人間のダイエットだが、今まで数多く出た方法の中で、バナナダイエットは優れものだ。なかなか減量に苦戦していた人が少し痩せたので、どうしたのかと聞くとバナナダイエットをしていると答える人が結構いる。なぜバナナダイエットが有効かと言えば簡単で実行しやすいからだ。一本と二本を数え間違える人はいない。バナナは手頃で廉価、栄養のバランスも良く美味しい。残念ながら、美味しくても毎日では、やっぱり飽きてしまう。バナナから・・に変えると折角取り戻しつつあったウエィストラインを失ってしまう。誠に残念だ。
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医者や薬を超えて

2009年01月30日 | 医療
 今日もどうしたらよいか分からず頭を抱える患者さんがやってきた。もうすぐ90歳のお婆さん、少し惚け始めてはいるが、まあ何とか排泄や食事摂取は自力でできている。12,3年前から高血圧で通院してきたが、だんだん変形性関節症で膝が痛く腰も曲がり歩行が困難になってきた。今日も親切なケアマネージャーに車で連れてきてもらった。8年前夫君を亡くし一人暮らしのため、ヘルパーさんやケアマネージャさんの援助なしには生きてゆけない。一年以内に寝たきりになるのは目に見えている。一体誰が面倒を見るのだろう。どうすればよいのか。飲み薬や注射では解決のできない問題だ。
 天涯孤独というわけではなく東京方面に息子がいるらしいのだが、音信不通で全く係わる気がないらしい。「困った、困った」が口癖で、私の顔を見れば「先生ありがと」。を繰り返される。申し訳ないが、どうも感謝のありがとうとはちょっと違う響きも感ずる。少しでも頼りになりそうな人には、そう言ってしのいできたのがわかるありがとなのだ。
 結局は血圧を測定し簡単に診察をしてお引き取りを願うのだが、忸怩たる思いが残る。医療を超えた問題をなんとかしてあげたい気持ちが微かに湧く。しかし医療の一線を越えないようにしている。超えても法的な知識もないし、解決する能力を持ち合わせないのは身に沁みて承知している。
 どうしたものか、どうなるだろうと気を揉むうち、ほとんどは死が終止符を打ってしまう。なんというか解決というのは不適切な表現で解消というのか、音もなく飛んできた鎌が幕を閉じてしまう。残された微かな波紋も、つかの間のうちに静かに消え去る。
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丸い小石

2009年01月28日 | 自然
 往診の帰り道、何気なく患家の庭先を見ると垣根の根本に丸い石が敷き詰めてあった。5cmくらいの白っぽい小石が並んでいる。楕円のもあるがみな見事に角が取れ、滑らかな表面をしている。大きさが不揃いなのは自然にできた物を河原から採取してきたことを思わせたが、あまりにすべすべしているので人が手で一つづつ磨いたと言われても、そうかと思いそうだ。
 山から転げ落ちてきた時は角がありごつごつしていたのが、あちらにぶつかりこちらにぶつかりしている間に平滑になったのだ。どうして角がある石があちこちぶつかると平滑になるかといえば、出っ張っている場所ほどぶつかる頻度が多いからだろう。僅かに原型を残し、おむすび型や大福型のものもある。不思議なことに球形なものはなく、扁平な物が多い。最初のかけらの中には賽子状の物もあったはずだが、たぶん上下が削られやすく多少とも扁平に成るのだろう。
 人間も社会の荒波にもまれ年を取ると丸くなる傾向はあるが河原の石のようにはゆかない。角の残った御仁も結構おられる。
 石の組成や川の流速や流された距離によって、川岸の石ころの形や大きさは異なり、どのあたりで採取された物かは、専門家ならすぐ分かるのだろう。施主の好みもいろいろで、もう少し不揃いで大きめの石が良いという注文もあると思う。
 子供の頃泳いだ川は山間からちょうど平野に出かかった辺りで、河原の石はもっと大きく多少角があり、真夏には陽に焼けて熱く、冷たい清流から上がると足が濡れているうちはよいのだがすぐ火傷しそうに熱くなり、慌ててその上を飛び跳ねて歩いたものだ。
 小石は以前からあったはずなのに今日は妙な所に目がゆき、とりとめのないことを連想した。
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怖い視野狭窄

2009年01月28日 | 小考
 視野狭窄は眼科的には結構面倒な病気の徴候なのだが、眼に異常がなくても心理的ストレス(女性に多い)で一時的に世界が狭く見えるようになる人が居る。類似の現象が組織、個人の中で情報を吟味する時に起きることがある。
 平時に広い視野と教養を誇る人も窮地に陥ると視野が狭くなる場合があり、誤った判断をしてしまう。組織のリーダーに視野狭窄が起きると、組織の危機を招く。視野狭窄に陥るリーダーは優れたリーダではなく、そのためか周辺に冷静沈着の勇者や智慧者が居ないことが多く、最悪の場合、組織が崩壊してしまう。個人の場合は最悪の場合、他者や自己を傷つける自暴自棄に陥る。
 どうすればいいだろうかと頭を抱え込んだ時、鳥瞰する平静な心が僅かでも残っていれば絶望からの短慮を避けられたのではないかと、社会面を見て思うことがある。そんな余裕があるのは本当の悩みや危機でないと言われる方も居られるかもしれない。確かに他人の苦しみや悩みを安易に推し量ることは困難だし慎むべきことだろう。しかし現実に、末期癌で苦しみながらも最期にありがとと呟かれる方もおられる。
 自分は苦しい時袋小路で絶望しそうになった時、父母の面影とエドモンダンテスの言葉を思い出したいと願っている。果たして本当に危機に直面した時、いくらかでも平静心を残し、広い視野を保てるかどうかはわからないけれども。
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