総合病院勤務を辞めて独立し個人で医院を始めると、嫌でもある程度は経営的な仕事をしなければならない。人を雇用し給料を支払わなければならないし、借金は利子を付けて返さなければならない。保健所への届け出や医師会活動もしなければならない。この中で金銭的なことは事務長(大抵は妻)がしてくれるので、負担を減らすことは出来るが、収支の報告や納税額は聞かないで済むとはいかないので、多少はストレスになる。五名から十名ほどの従業員との関係は、どんなにスムースでも時々は波が立つので頭痛の種になる。
地域によっては患者が来なくて経営が大変という所はあるようだが、厳しいと言われても経営が苦しい医院はそう多くはないだろう。多くの医院院長の一番のストレスは多分職員の問題だと思う。
しかし中には、医院経営をストレスとは感じない?で、医院の規模を拡大し、アルバイトの医師を雇用したり、更には訪問介護ステーションを併設したり、老人病院の経営に乗り出す医師も居る。こういう医師は元々事業家的な体質というか性質を持っているようで、横から見ていると色んな共通点がある。活動的で精力に溢れ、ひ弱い感じで小声で考え考えしゃべるような人は居ない。発展家も多く、レストランで見かけても隣の女性が奥様とは限らないので、声を掛ける時には気をつけなければならない。よくそんなに色々なことができるなあと感心するのだが、医師会の役職も喜んで?やる人も多い。勿論、これは男性に限らず女医さんの中にも同じタイプの方が居られる。医者になんなきゃ社長してたわと言われ、はーとお聞きしたこともある。こうした資質の人達の存在は、人類の中にある割合で脈々と引き継がれてきた遺伝子のなせる業のような気がする。欠かせぬ人達ではあるが、近隣だとちょっとはた迷惑に感じることもある。