日本にもショッピングモールがたくさん出来てきた。とてつもなく大きい駐車場と映画館まであるたくさんの店舗が詰まった建物、ここだけでほとんどすべての買い物ができる。映画でも見てゆこうかと寄ってみたら「かぐや姫」の上映時間がちょうどよかったので、見てみることにした。
スタジオジプリの作品ということで、いつの間にか宮崎駿の作品と比べてしまう。「風立ちぬ」よりも心が動いた。絵は宮崎作品の方がやや通俗的なところがあるかもしれないが、私は風光を感じるので好きだ。「かぐや姫」は余白を生かした絵作りで、絵物語の感じがした。
語の展開はやや冗長で繰り返しが多く、竹取の夫婦の心の動きに飛躍があると感じた。かぐや姫は女というよりも少女の感じが抜けず、男を狂わせる女性としての魅力がもう一つ乏しい気もした。尤も、それではおとぎ話にならないのかもしれない。かぐや姫が本当は何を望んでいたのか、かぐや姫は何に気づいたのだろうか。それはわかるようでわからない。わかるのは時が流れ、運命というものが動いてゆくことだ。
高畠勲さんという方は七十を過ぎておられるのに心の奥に少年のような素朴な感性を秘めておられるように感じた。これは宮崎駿にも言えることだろう。
かぐや姫の罪と罰というコピーは違っているように思うのだが、違っていていいのかもしれない。かぐや姫はあなたそして私。
年末にいつも感じる去年今年貫く棒のようなものが、今回は少し撓んでいるような気がする。今暫く留まって撓みを和らげたいと思う。