駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

バトルその後

2009年07月31日 | 診療
 昨日、前回口論となった爺さんが来院した(cf患者と)。勿論、互いにこの前のことは憶えているのだが、あたかも何でもなかったように話をした。といっても実はお互いに気を配り、柔らかに穏やかに話をしていたと思う。
 相変わらず朝は何かの拍子に息切れがすることがあるようだが、午後は調子が良いと言う。患者さんの言われることはその性格に依って斟酌する必要はあるが、概ね真実で、医学的に奇妙でも歩み寄って評価する必要がある。ほぼ過去一年の記録を清書してきてくれたので、それを見るとかなり上下はあるがやや朝の血圧が高めであった。爺さんの同意を得て降圧剤を少し増量することにした。さて、それで症状が良くなるだろうか。医学的には微妙だが、改善する可能性もある。改善した場合、果たしてそれがフィジカルかメンタルか判定が難しいが、次回を楽しみに待つとしよう。
 もうトラブルが無いとは言い切れないが、どうやら雨降って地固まるというか、口論で歩み寄りが得られた模様だ。こういう時はひょっとして俺でも二流の外交官ぐらいなら勤められるのではないかと増長する。家内は我慢のない?あんたにできるわけがないと鼻先で笑うが。
 患者も医者もつらいのは、色々治療してもうまくゆかず、それではと専門医を紹介しても、なかなか良くならない時だ、その多くはやむを得ないことで、病気の経過であったり年齢的なことであったりする。その時顔を見合わせ、まずまずとして頂ければ、最後まで診ていくことができる。不満が残ると診察の度に余計な緊張が生まれ、最悪は転院されるようなことにもなる。転院されても、やむを得ないなあという印象が残っていれば、やっぱりと戻ってこられた時、問題なく受け入れることが出来る。非常に稀であるが数年に一度、強く不満を表明され来なくなる方が居られる。それでも、照れくさそうに戻ってこられれば、受け入れることは可能だ。
 ただ、19年間で一例だけお断りしたことがある。並の町医者も藪よりも土手だと面罵されては、さすがに後味が悪くわだかまりが解けない。やはりプライドはある。
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何がつらいと言って

2009年07月30日 | 身辺記
 何がつらいと言っても、歯痛はベストスリーに入るのではないか。少なくともベストテンには入るだろう。
 残念ながら丈夫な歯を持って生まれて来ず、記憶のある頃から年に一二回歯科に通院してきた。歯科の機器も進歩し、歯を削る不快感は昔に比べればいくらかましになったが、この年になっても足をもぞもぞしながらもう少しと耐えている。
 昨日かかりつけの歯科を受診したところ歯の根本にひびが入っており、抜歯しなければならないと宣告されてしまった。
 白い天井を見あげているといつの間にか50年以上前からの歯科通院の記憶が浮かんできた。なんとまあ、いつまでも歯には悩まされることよ。きりがないと思いながら、最後までついて回るのだと悟ったことだ。ユダヤのことわざに従い、苦しみが去ることは祈らないことにする。
 どういうものか、入り口と出口の病気は煩わしい。幸い出口の方の病気には悩まされていないので、こじつけのバーターであきらめよう。
 
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鍵を握る人 与謝野と菅

2009年07月29日 | 人物、男
 野党の人達はわかっているだろうか。今の自民党の鍵を握る人、それは与謝野と菅、文字通り麻生内閣を支えた二人だ。この二人が一番手強い。
 与謝野さんはついこの間までさして恐くなかったのだが、都議選の惨敗で知性に情念の火が着いてしまった。一匹狼が信義に目覚めてしまったのだ。
 菅、どうしてこの人がこんなに力を持っているのか不思議だ。麻生さんが頼りにしているからだろうか。それもあるかもしれないが、人類の政治史を辿れば政争になると出てくる同列の人達が居るのだ。状況が呼んだ黒っぽい人のように思う。政治家だから中傷誹謗にならないと思うが、強い(悪い)人だ。敵と見れば手段を選ばず、我に利ありと見れば時を選ばず、そして自らの非を認めない。古賀さんの上を行っている。
 なかなか野党にこの二人に対抗できる強い(悪い)人は居ないような気がする。政権交代を望む私は、野党にこの二人に注意するように申し上げたい。どのようにすればよいかは、町医者に名案はないが、インターネットや衛星放送が迎合軟弱巨大マスコミを凌ぐ伝達力を発揮し、有権者が自分の頭でじっくり考えるようになることが、平凡ながら私の処方箋だ。
 もし野党に政権担当能力があるなら、この手強い二人を打ち破る能力(力)を持たなければならない。力は好むと好まざるに関わらず、政治の要諦の一つだからだ。
 
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何度も読む本

2009年07月28日 | 
 私の名著の定義は簡単、「何度でも読める」。
 推理小説は再読して面白い物は少ない。謎解きに重きが置かれているのでやむを得ないかと思うが、例外もある。シャーロックホームズは、月曜書房延原謙訳を何度も読んだ。両親が亡くなり、古い本は処分されてしまったのでもう手元にない。本当に残念(本を読まない人は本は手放す物らしい)。
 シャーロックホームズを何度読んでも飽きないのはおそらくシャーロックホームズとワトスンやそのほかの登場人物達と時代背景のヴィクトリア女王のイギリス、なかんずくロンドンに惹かれるからだろう。霧、鉄道、馬車、電報、ガス灯など。べーカー街を行く馬車の音を聞いたことがあるような心地がする。
 コナンドイルの他の著書には、どうも食指が動かない。よくあることだが、著者は会心の作だとは思っていない作品がよく読まれたりするのだ(ドイルはホームズの連載を止めて、本格物をと考えたらしく、ホームズをライヘンバッハの滝壺へ落として連載を終わりにしようとした)。
 中高年になってから何度も読む本は、よく考えると名著というより好著者といった方がよいかもしれない。著者を読んでいるように思う。以前にそんな著者を何名か挙げたが、今日は川本三郎さんに少し触れたい。
 彼の小旅行記が好きであれこれ時々適当な所を読んで、頭を休めている。心を休めているといった方がいいかな。東京周辺の日帰り遠出、日本各地の名もない村や町を訪ねる旅。映画や小説をよくご存じで、ああここはあの映画のロケ地だとか小説に出てくる場所だと自然に織り込まれている。自分は映画の知識特に邦画は全然ないし、小説だってさほど詳しくない。しかし、なるほどと読めてしまう。その土地で入った居酒屋なども紹介され、空間的な広がりと時間的な奥行きが生まれ、自分も旅をしているような気分になる。
 川本さんにはどこかに少年の心が残っており声を荒げず大言壮語しない。まあこの程度の言葉で川本さんの魅力を表すよりも、私には貴重な隣人のお一人だと申し上げよう。
コメント (4)
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やってみたい仕事

2009年07月27日 | 趣味
 医者以外に何をして生活していけるだろうか、自己流だが腕に自信の洋食屋と一昔前なら資格が流用できる無線通信士くらいかなと思う。あと塾講師でも口しのぎはできそうだ。残念だが、絵や物書きでは食べていけないだろう。
 やってみたい仕事はナレーターだ。俳優は二枚目でないし三枚目でもない、強烈な個性もないので脇役にも向かず、到底無理だし、特になりたいと思わない。
 しかしナレーターならひょっとしてできるのではと思っている。声は特徴があるようだし、漢字も読める。淡々とした中にどこか表情や陰影のある話し方にあこがれる。久米明 相川浩 渡辺(黒田)あゆみなどが好みだ。城達也ほどの世界は作れなくても、飽きの来ないわかりやすいナレーションを目指したい。似ているようでもアテレコはできそうもないのでお断りしたい。
 昔、今でもあるかな、朗読の時間というのがあった、あんなのに採用して貰えたら最高だが、無理だろうな。まあ夢だから、勝手なことを書いたが、半ば本気でもある。医院を誰かに譲り週二回の外来をこなし、「あれ、先生に似た声をラジオで聞きましたよ」と言われてみたい。
 

 
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