八月の終わりはどうしたわけか、同業者との会食が多い。医者にはあれこれはっきりものを言う人が結構いる。隣席したT先生、某病院の副院長なのだが、「私はものをよく知らないので」と謙遜されながら、世の中を一刀両断し、ちっとも譲られない。私も言いたいことを言う方だが、だいぶ上を行っておられる。
温厚だが芯は強いK先生、「TPPで負けるようなことがあってはいけませんね」。
「あれは、農協が駄目なんだよ。まず、農協を潰さなくちゃ」。とT先生。
「うーん、そうは言っても、関税がなくなったら日本の農業は潰れてしまいますよ」。と私。
「いや、零細農業を守って、のさばる農協は潰さなくちゃ」。
「うーん、確かにそうかもしれませんが、それでは日本の農家は大打撃ですよ」。
「それは、当然ですよ」。とにべもないT先生。
「いや、それでもTPPで負けてはいけませんよ」。と繰り返すK先生。
「国民はわかっていないんですよ、アホだからね。マスコミに踊らされてんだよ」。と駄目を押すT先生。
確かに、マスコミは無責任で偏っていますねとこれには一堂同意したが。
酔っぱらってよく憶えていないが、言いたいことを言い合って悪酔いはしなかった。