駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ルイスキャロルも首を傾げる

2012年06月30日 | 世の中

   

 アリスも驚く不思議な国、それは何処でもない日本ではないかと思う。教育レベルが高く、公徳心があるとされる日本でなぜこのようなまやかしの政治と政治情報が横行するのだろうか。この頃は司法も怪しく、行政は慇懃にはなったが非効率形式偏重が続いている。

 一番の問題は、民度が高いように思われている国民がそれを糺せないことだろう。教育レベルが高くお互いを気遣うことができても、自分の立場を忘れ(当事者精神に乏しい)、変革を望まない人が多いのは本当に不思議なことだ。

 日本にも特権や高収入に恵まれている人達が存在する。その数はたかだか数%に過ぎないが、その恵まれた人達の価値感に追従して判断行動する人が多いために既得権が守られるという現象が起きている。日本人は自分が中流だと思っている人が大半を占めているようだ。恵まれている人さえ中の上だと思い、恵まれない人も中の下と考えている節がある。自分の心身を傷つけないように、現実から視点をずらしているのだろうか。決して対立を煽るわけではないが、そうした心の動きが結果として既得権を擁護していると言えそうだ。

 消費税が如何に低所得者に不利かはちょっと考えれば分かる。消費税で割りを食う人達が消費税増税に反対する議員を非難する現象は理解しがたい。マスコミが何の片棒を担いでいるのか、ちょっと考えれば分かるはずだが。公約を平気で踏みにじる議員を応援するのも理解できない。選挙だけが唯一数にものを言わせて庶民が意思を実現できる機会なのを忘れたのだろうか。

  庶民を自認する方に一読をお勧めする本がある。「庶民は知らないデフレの真実」 森永卓郎 角川SCC新書。考えるヒントが詰まっている。勿論、何が良いどちらが良いなどは簡単にはわからないが、とにかく、一人一人が自分で情報を集め自分の頭で取捨選択し、活路を切り開いてゆくことが肝要だと思う。

 言うまでもないが糺すと貶すは違う、ケネディの言葉(Ask not・・・)を忘れずに。

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孔子に問う

2012年06月29日 | 小考

     

 論語読みの論語知らずならぬ論語読まぬ論語批評かもしれないが、四十にして惑わずはともかく、二十一世紀では五十以降は改訂が必要な気がする。取り敢えず、七十を前にして再び惑えを付け加えてみたらと思う。

 何を馬鹿なことを言い出すと学者は無視されるだろうが、ご本人が怪力乱神は語らずとおっしゃっている通り、孔子は教祖ではなく教師で論語は優れた人生訓、処世術の書と受け取っている。であれば改訂も必要だろう?。

 四十にして臨床医として生きようと迷わずやってきたのだが、あとせいぜい働いて四、五年の年になって惑っている。市井の医者は収入は恵まれているのだが、中々まとまった自由時間が取れず、やっておきたいことができないのに気が付いのだ。これは程度形は異なっても多くの人に共通の現実だろう。贅沢な悩みと言われるかも知れない。

 年を取れば分相応を悟るというか諦めることを覚えるので、あれもこれもは減ってきたが、それでも行ってみたい国、読んでおきたい本、見ておきたい絵や映画は数多い。

 もっと年を取れば、諦めざるを得ない脳力体力になるので、それこそ七十にして心の欲する所に従って矩を踰えずという惨めな終末を迎える可能性が大きい。何を間違った解釈をしているかとお叱りを受けそうであるが、百数十人を自宅で看取ってみて、あとでやいつかは結局ないということを思い知るとそんな解釈も頭に浮かぶようになる。

 惨めなのではなく小人にわからぬ悟りの境地としても、七十を前にしてもう一度惑うことがあってもいいと思っている。

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なんとも、いただけない。

2012年06月28日 | 診療

    

 水曜日は週半ばで半日のせいか大抵空いている。十時過ぎには患者さんが途切れた。待合室にはおばさんが二人座っているだけ。手が空いたので診察室を抜け出し、受付の裏でFAXを見ていたところ、「ブルベリー」と何かが破れたような音がした。なんだかおならのように聞こえたがまさかと思っていると、数秒後YさんがOさんに何か言った。

 「まあ、聞こえたかしら」。

 「そうじゃないの、臭いでしょ」。

 「おならのよく出る薬を飲んでるのよ」。

 「そんなこと、・・いい。表へ出てやってよ」。

 「動くと出でちゃうのよねー」。

 私がやりとりを聞いていたとも知らず、

 「先生、おはようございます」。とにこやかに診察室に入ってこられてもなー。

 「ふがふが」。と返事をしたくなる。

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政局は幻覚

2012年06月27日 | 町医者診言

     

 消費税増税法案に民主党内からかなりの反対者が出た。どのような処分がされるのか党が分裂するのか知らないが、これを政局と捉え茶番だ、けしからんと批判するのは、茶番に手を貸すことになり、建設的とは思われない。

 政策と政局は表裏一体不可分で、政策を争うから政局になる。政局にするのはけしからんと言いながら、政局ばかりを語る政治評論家や政治記者に扇動されてはならない。彼等は実は出番だと欣喜雀躍している。敵味方入り乱れ思惑と術数に酔いしれるのは、動物である人間の本能かも知れないが、それだけでは日本は生き残ってゆけない。冷静に考え智慧を生かす政策論陣を張って頂きたい、それを競っているのだから。

 まず、政治において約束の意味を問い直す必要がある。社会は約束が守られるから動いているのではないか。政治は別とも思えない。

 今消費税を上げることは、経済的に妥当なことか。専門家の意見も分かれるようだが、徹底的に討論して欲しい。バライエティ番組など止めて、毎日八時から十一時まで、テレビで学者政治家庶民代表で税と社会保障について講義と討論会をやったらいい。

 ウインブルドンが始まった。また睡眠不足の日が続きそうだ。エアーケイ、初戦突破、ありがとう。圧勝なのに手に汗を握った。ナダルも順当に勝ったが、格下にも全力でプレーをしているのがひたひたと伝わってくる。全身全霊のフェアプレーに痺れる。ウインブルドンからの清々しい風に心洗われる思いだ。

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トカゲの腹切り

2012年06月26日 | 町医者診言

       

 今朝は異様に涼しい風が吹いていた。永田町にはどんな風が吹くのだろう。

 何度でも書くが、マスコミには反省を促したい。小沢グループという表現は現状では避けるのが公正な情報提供だと思う。公約固執派とか消費税増税尚早派など適当な呼び方があるはずだ。小沢と名付けて、小沢を悪党に仕立てれば小沢と冠することで劣悪集団のように響かせることができる。そうした意図を見抜く力がジャーナリストにはあるはずだ。小沢が善人とは到底思えないが、常軌を逸した扱いがある。小沢を貶めてその主張を葬ろうとしているように見える。

 小沢抜きで、消費税導入を公約していないことと消費税導入前にやるべき事があるという主張を俎上に乗せて、議論するのがまともな政治だと思う。 

 約束を反故にしても良いのか、増税前にやるべき事は出来ているかという論戦で、野田首相は国民を説得できたのか?。どうしてそこまで、自民公明に譲歩するのか?。お題目の21日という期限さえ守れなかった。野田首相がぶれないこと火中の栗を拾ったことを評価するけれども、国民に見込まれて出てきた人とは見えない。

 今世論調査をして消費税増税に賛成する人が過半数を占めるだろうか?。誘導質問でなければ、そうした結果は出ないと思う。既得権擁護の勢力に都合のよい時は世論調査を錦の御旗にするのに、都合が悪いと軽んじる。マスコミは既得権益の提灯持ちなのだろうか。そうではないと言うならば、正面から国民が冷静に考え判断できるデータ情報を提供してほしい。

 採決で反対する奴は処分と恫喝しているが、尻尾切りにしては尻尾が大き過ぎる。これではトカゲの腹切りになる。

 

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