昨夜、昔居た病院との懇親会があった。婦長(今は師長)になった何人かの看護学校の教え子に会ったのだが、三十八年の歳月は長く、名乗って貰らってもすぐには分からなかった。マスクをしていたせいもあるが、面影を追いかねる方もおられた。私はお変わりないですねと言われたのだが、男も女も年齢を重ねて大きく変わる人とそうでもない人と二手に分かれるようだ。まあ、帰り道あの子だとピントが合った師長さんもいたのだが、若さを覚えているものだからどうしてもギャップが大きかった。
僅か二三日のことなのに、暖かくなると途端に風邪の患者さんが減る。それだけ寒冷と乾燥は喉や気管支に良くないのだ。尤もまだ冬真っただ中、これから何度も寒波が襲ってくるだろう。
時々風邪で受診される私と同年配のKさん、無聊をかこっておられる様子に手先が器用だと知っていたので、本箱や鳥の巣箱なんか作ってみたらどうですかとお話したことがあった。わたしは忘れていたのだが、三か月ほどしたら本当に鳥の巣箱を作って持って来られた。どうぞと言われ、これはこれはと恐縮したことだ。庭の木に設置してみようと思うが、本当に鳥が巣にしてくれたら嬉しい。
三十年前から縁あって異業種の友人たちとほぼ毎月一回近隣の山小屋でミーティングをしてきた。七人居たメンバーも今は四人に減り、大分寂しくなったが何とか続けてきた。
しかし、昨日メンバーも年を取ったので今年一杯で山小屋でのミーティングはお開きにすることに決まった。一緒に何度も海外旅行に行った。もう難しそうだ。S氏は最後にもう一度と言うが、F氏もK氏も乗り気ではない。実際にはどうなるかは分からないが無理だろう。長く生きてきたので本当は知っているのだが、なかなか受け入れがたい。自分は例外のような気がしてしまうのだ。
昨日は晴天で空気が澄み山小屋から富士が綺麗に見えた。
職種によって人になにがしか固有の特徴というか気質があるように感じる。例えば同じ飲食業でも寿司と中華では何処がどうと一言では言えないが明らかに違う。
いつもの理容店の予約が取れず、ネットで見つけた近くの理容店に出かけた。この繁忙期に直ぐ予約が取れたので人気店ではないようでちょっと冒険だったが新しい店も一興だ。五十歳前後と思しき店主が所在なげに待っていた。どんなふうにと聞かれたのでこちらの希望を伝えると、前回の散髪からの期間を聞かれた。五週間と答えるとおもむろに観察してからカットが始まった。仕事は丁寧できめ細かく、いつもの理容店に負けない満足な仕上がりになった。いつも大体一時間弱なのだが初めてのせいか一時間十分ほどかかり、お値段が僅かに安かったのに驚いた。
今までにおそらく二十軒ほどの理容店に行っていると思うが、大雑把で乱暴な理容師にお目にかかったことはない。大まかに割りとよく話をしデザイン性を考えた整髪をするタイプと気取らない髪型に黙々と鋏を動かすタイプとの二つに分かれる気がする。
この理容師さんは無口で丁寧で気に入ったのだが、さほど繁盛していないせいか店の清潔感が僅かに足りない感じがしたのは残念だった。岬巡りも楽しそうだが、床屋巡りも面白そうだなと爺いの冒険心をくすぐられた。
もう十年以上今の床屋に通っている。予約制で、ちょっと不便なのだが慣れた。もう漫画や週刊誌を読みながら待つ時代ではなくなったようだ。しかし困ることもある。年末は混んで予約が取れなくなるのだ。もっと早く電話すればよいのだが、一週間前では遅すぎた。いつも二三日前に電話するので少し前倒しで電話したのだが駄目だった。確か去年も一昨年も年末予約が取れず、やむを得ず他のところへ行った記憶がある。どうも年末は一か月前から予約を取っておかないと駄目らしい。
次回の予約を取って帰る客もあり、自分もそうすればよいのかもしれないが一か月先は予定が不定なのだ。
未知の店も一興か?