信頼性が全てと言っていい業界で相次いで不正が発覚している。しかも名の通ったブランド名の元だ。まさかのフォルクスワーゲンに驚ろき、ドイツも駄目かと思っていたら、肝腎要の日本でも相次いで不正誤魔化しが明らかになっている。三省堂などは名前が泣いている。日本式に申し訳ありませんと頭を下げれば済む問題ではない。
腐っても電力会社の東京電力が好決算で大きな利益を出していると報じられている。一体、どういうことなのだろう。裾野が広く被害者数に負けない受益者数のある会社は密かに救われる構造が存在するらしい。勿論、血のにじむ経営努力があるのだろうが、血が止まらず亡くなった人をあがなうことはできない。たかだか数年で遠い昔にして、痛みや苦しみをセンチメントに落とし解消しようとするのは日本の知恵なのかも知れないが、実務では欠ける部分が出てくる。
賄賂がはびこり、誤魔化しが日常化していると聞く中国とどれほどの差があるのだろうか。不正誤魔化しの数や率は我が国の方が格段に低いのだろうが、是正のスピードでは負けているような気がする。今に崩れ長期低落と観測する向きも多い中国が、十数年後には復元し大きな力を持つようになり、何時までも安陪式を憶えているという可能性もありそうだ。
優れた草の根の技術、丁寧で誠実な対応などなど、日本に良い所は数多いのだけれども、目先小手先でまやかし抜本的な改革を避けてしまう悪癖も多い。悪を善で帳消しにするのは難しい。広い角度から問題を直視して、本当に優れた道を選んで行く力を付ける必要がある。町中で患者を診ているだけの者に何が分かるかという批判があると思うが、そうした感覚がより良い道を見つける思慮を妨げているように思う。