海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

トックリキワタとウスクガジマル

2009-12-11 23:43:31 | 生活・文化
 名護市役所の近くに南米原産のトックリキワタの並木があり、一月ほど前から花を咲かせている。開会中の名護市議会の一般質問を傍聴に行きがてら何枚かカメラに収めた。歩道には花びらがかなり落ちていて、すでに咲き終わった木もあるが、この二本はまだしばらく花を楽しめそうだ。
 沖縄自動車道の脇にもトックリキワタが植えられていて、11月から12月にかけてピンク色の花を咲かせている。観光で沖縄に来て目にした人も多いだろう。



 その名のとおり幹が途中で太くなって徳利の形になり、実から綿が吹き出して風に乗って種を運んでいく。市街地にある木は綿が家に飛んでくると苦情が出たりするので、実が割れる前に切って落とした方がいいのだが、高木になるとそれも難しい。近所の公園にあるトックリキワタの綿が地面に落ちて風に一箇所に吹き寄せられているのを集めたことがあるが、枕や布団に利用されるというだけあって良質の綿である。同じ南米原産のイッペーも鞘状の実から綿が出る。



 私が子どもの頃は目にした記憶がないので、トックリキワタが沖縄で広まったのはこの2、30年くらいではなかろうか、と思いつつネットで検索したら、週刊レキオのサイトに〈トックリキワタが沖縄に入ってきたのは1963年、琉球政府の派遣医師として赴任先のボリビアから帰国した当間恵三氏によって種が持ち込まれ、育苗されたのが最初と考えられています。しかし、現在のように広まったのは1987年、オリオンビールの創立30周年を記念して行われた『花の国際交流事業』が大きいと言えるでしょう〉という証言があった。
 名護市役所近くの並木もせいぜい20年くらいということになるが、中に1本、幹が見事に肥大した木がある。南米原産というだけあって、かなり成長の早い木なのだろう。鳳凰木が「南洋桜」と言われるのに対して、トックリキワタは「南米桜」と言われている。この二本の木が沖縄各地に植えられているのは、花の美しさや気候風土が合っていることもあるだろうが、南洋や南米に多くのウチナンチューが移民したことの証でもある。



 12月も半ばに近いというのに、今日は昼間は半袖でも過ごせた。
 沖縄にも数は少ないが黄(紅)葉する木があり、名護市民会館敷地内のウスクガジマル(アコウの木)の色づいた葉が風に舞い落ちていた。

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