海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

民主党の危険な動き

2008-08-13 17:36:24 | 米軍・自衛隊・基地問題
 昨日の琉球新報朝刊に気になる記事があった。民主党の「沖縄ビジョン二〇〇八」の策定メンバーが那覇市内のホテルでシンポジウムを開いたというが、同「沖縄ビジョン」の中には次のような内容が含まれているという。
〈新ビジョンでは、宮古島市の下地島空港等利活用計画書を下敷きに下地島空港の「国連緊急平和部隊(UNEPS)などの拠点づくり」も盛り込んだ〉(08年8月12日付琉球新報朝刊)。
 ごく短い記述だが、要注意の内容である。これから詳しく調べたいが、いろいろな思惑が垣間見える。この時期にこのような構想を出す小沢党首や喜納昌吉議員の狙いは何か。宮古への自衛隊誘致を進める下地幹郎議員との関係はどうなっているのか。いきなり自衛隊基地を出すと島民の反発があるので、まずは国連緊急平和部隊の拠点という形で「屋良覚え書き」の破棄を狙う、そういう思惑で民主党と政党そうぞうが一致しているのか。それとのからみで、来年の宮古島市長選挙に向け、候補者選考の主導権を取るため民主党と政党そうぞうの連携が進んでいるのか。さらに、衆院1区での候補者調整では、民主党と下地議員の間でどのような駆け引きがあるのか、等々の疑問が次々と湧いてくる。
 いずれにしろ、国連緊急平和部隊の利用を口実に「屋良覚え書き」が破棄され、下地島空港の軍事利用が始まれば、自衛隊の基地化への道が開かれる。それが宮古島の経済振興とリンクさせて進められるとき、カジノの問題も浮上してくる可能性がある。2006年の県知事選挙で、民主党の喜納議員と政党そうぞうの下地議員が、儀間光男浦添市長を担ぎ出そうとした動きも思い出す必要があるだろう。歌やパフォーマンスにだまされて喜納議員に幻想を持っている人がいるのだが、小沢党首の下で彼が何をやっているか、実態をちゃんと見た方がいい。自民党や政党そうぞうだけでなく、民主党からも下地島空港の軍事利用の動きが出たことは、強く警戒する必要がある。
 この問題を含めて昨日の紙面からは、6月の県議会選挙で躍進し、衆議院選挙で政権を取ることを狙っている民主党が、沖縄県内で野党の主導権を取ろうと積極的に動いている様子が見える。鳩山幹事長が県内で開いた講演会で、衆院沖縄2区と3区の野党統一を呼びかけ、那覇市長選挙候補者の会合にも出席した、という記事も載っている。ここでは社民党との調整が問題になっている。鳩山幹事長の記事では、2~4区については触れられているが、1区についてはない。1区では野党も与党も割れる可能性がある。下地幹郎氏が政党そうぞうの代表を降りて顧問になったという記事と併せて読むと、いろいろ想像できて興味深い。
 さらに昨日の夕刊には、儀間光男浦添市長が三選に意欲を示しているという記事も載っている。那覇・浦添市長選挙や衆院選挙に向けて、与野党ともに政党間の駆け引きが激しく行われているのだろう。問題はこれら政党の動きが、辺野古や高江の基地建設、米軍再編と自衛隊強化などの問題に、どのような形で影響を及ぼすかだ。表向きは基地の「整理・縮小」を言う裏で何を狙っているのか、よくよく注意しなければならない。さしあたり、国連緊急平和部隊の拠点化という形で下地島空港の軍事利用を図ろうとする民主党の動きには、強く反対したい。

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