花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

私は誰でしょう

2022年11月21日 | 
これはこの地域でよく見る風景。黄色の植物が百メートル以上も続いています。
いったい何だと思います。もちろん「ひまわり」ではありません。
これはナガイモ。地上部が枯れて黄色になっているのです。
ではナガイモの収穫時期はいつでしょう。それは2回あります。
ひとつは11〜12月。ちょうど今頃です。
茎葉が枯れたばかりのイモはまだ水分が多く、みずみずしいため
ナガイモのシャキシャキ感を味わうことができます。
もうひとつは春、4月頃です。越冬することで糖分が増すのでこちらも人気です。
リンゴと違い、可食部が土の中にあるため
農家は長期間の収穫ができるナガイモの特徴を最大限に生かしています。
そしてこの茎葉についているのが爪サイズの丸いムカゴ。
美味しいムカゴご飯になります。
こちらはほとんどが廃棄されてしまいます。
くださいとお願いしたらいただけるかもしれません。
さてフローラはかつて青森県特産のナガイモ研究をしようと
予備実験をしたことがあります。タイトルは「長くないナガイモ」。
ナガイモはムカゴを植えて育て、10cmぐらいになった種芋を翌年また植えます。
つまり1年では、あの長いナガイモはできないのです。
ところがスーパーマーケットに行くとみんな20cmぐらいにカットされ販売しています。
じゃあ手間をかけて長くする必要なんかない。
1年目で十分じゃないかと考えたのです。行ったのは礫耕栽培。
すると15cmぐらいの小芋がいっぱい採れました。
これなら収穫作業も楽で消費者ニーズにも応えられると本格実験をしようと思った時
2018年の水の国際大会出場が決定。研究は、またお蔵入りです。
フローラにはこんな中途半端な研究がたくさんあります。
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お餅じゃないのよ

2022年10月15日 | 
青森県南部地方にはたくさんの郷土料理があります。
大きく神様に供える「ハレ」と日常食である「ケ」とに分類されますが
基本としてその違いは米を使っているかどうか。
かつて冷害が多発していた県南地方ではお米が採れなかったため
貴重なお米は、神様に供えるためだけに使っていたからです。
さてここにあるのは「きんかもち」とか「かますもち」と呼ばれるもの。
これはハレでしょうか、それともケでしょうか。
ヒントはこの白いおもちの皮。材料はなんと小麦粉です。
皮の中には黒糖が入ったクルミ味噌やジュネ味噌が
ほんのちょっぴりだけ入っています。
したがって断面はとんでもなく太いうどん。
つまりこのもちは、晴れ食ではなく日常食のケです。
小麦粉ですから、冷めると固くなって美味しくありませんが
茹でたては最高に美味しく驚きます。
腹持ちがいいことから野良仕事の合間に食べられました。
県南地域では道の駅などで今も購入できますが、自宅でも簡単に作れます。
昔はよく生徒たちと作っては郷土料理の伝承に勤めたものです。
作り方を紹介したサイトもあるはずなので、ぜひ挑戦してみてください。
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イクラじゃないのよ

2022年10月11日 | 
たくさんの赤い粒。サイズは5〜8mm程度。
まさに色もサイズもイクラです。しかしこれは野菜のトマト。
世界一小さなトマトとして有名なマイクロトマトです。
よく実験材料で用いる方もいらっしゃいます。
フローラは何度か栽培したことがありますが、基本的にトマトの原種。
草丈がどんどん伸びて、小さな花と実が無数につくので
ベランダ栽培だとちょっと邪魔かもしません。
しかし無茶苦茶強いのでほったらかしでも実を収穫することができます。
さてかつてTEAM FLORA PHOTONICSが園芸科学科だった時代は
こんなトマトをよく栽培していました。
インターネットに海外のトマト種子を扱っていサイトがあり
そこに原種から在来種までいろいろな種子を手に入れることができました。
トマトケチャップやピューレはなぜか赤ばかり。
いろんな色があったら楽しいはずだと考えた当時のメンバーは
赤、ピンク、黄、緑、紫、白などのトマトを栽培しては
ピューレに加工して、文化祭に展示してお客様からご意見を伺ったものです。
確か黄色のピューレは大人気だったはずです。
色が違うと成分も違います。その人の求める効能や気分で
お洒落に色を変えて使おうという提案は、名古屋のある大学主催の
ビジネスコンクールで賞をいただいた記憶があります。
今はこのコンクールがまだあるのか知りませんが
名古屋に1泊して味噌カツ、味噌煮込みうどんを食べるのが
数年間続いた楽しいルーティンでした。また食べに行きたいものです。
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わらかないことだらけ

2022年09月29日 | 
大鍋でイチゴを煮ています。
これは園芸科学科時代のTEAM FLORA PHOTONICSの実習風景。
実は研究資金にまだ乏しかったフローラは温室周辺に
ジャムの原料となるブルーベリーやカーラント、
ラズベリーなどを植えてジャムに加工しては販売していました。
さて一般にジャムといえば果肉が残っていない状態のものですが
果肉のゴロゴロしたプレザーブスタイルというものもあります。
フローラが作るのはいつもプレザーブスタイル。美味しそうに見えるからです。
しかし確か教科書にはプレザーブスタイルは別名フィンランドスタイルともいうと
書かれていたような気がします。それはなぜでしょう。
実はいまだに答えを探していないのです。なぜならプレザーブの意味は「加工して保存する」。
普通のジャムと何の違いもありません。そこでプレザーブスタイルのJAS定義を調べてみると
イチゴなら果実そのままか半分、イチゴ以外のベリーなら完全な姿を留めていること。
さらにベリー以外なら5mm以上果肉が残っていることとあります。
どこにもフィンランドなんて出てきません。ただこの文章からいくと
何だかイチゴやベリーが基本であるかのように感じます。
北欧はベリーが豊富に採れる国。保存食のジャムは食卓に欠かせないといいます。
この辺りにヒントが隠れているような気がしますが、
現在はそれ以上追い詰められません。残念です。
さてストックホルムでクラウドベリーを使った料理があったらしく
クラウドベリーとは何だという質問を受けました。
クランベリーならわかりますがクラウドベリーはよく知りません。
結局食べることなく終わってしまったのですが、調べてみるとありました。
まるで黄色のクワの実のような形をしていています。
キイチゴの仲間だそうですが日本で北海道や東北の一部にあるそうです。
情報ではフィンランドの硬貨にも絵かがれているとのこと。
またフィンランドです。
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洋梨といえば

2022年09月26日 | 
ずいぶんと貧弱な細身の洋梨です。
これはストックホルムのホテルの朝食に毎回登場する果物で
自由にとって食べることができました。
しかし見た目と違い、丸かじりすると十分に甘くて美味しいのです。
品種名はわかりませんでしたが、美味しいと食べている人も多かったようです。
さて洋梨といえば「ラ・フランス」を思い浮かべる人も多いと思いますが
ここ南部町では違います。南部町はフルーツの里ですが
洋梨栽培も盛んで町の代表的な品種は「ゼネラル・レクラーク」。
1950年にフランスで発見された洋梨で日本には1970年に入ってきました。
ストックホルムの洋梨とは違い、500gもの大きな果実は、
なめらかな口当たり、そして甘く豊かな芳香で
とても美味しい品種として人気です。
このゼネラル・レクラークの生産量日本一はもちろん青森県。それも南部町周辺。
栽培面積32haは、全国の65%以上のシェアを誇っています。
収穫はちょうど今頃。各農園で収穫が始まっています。
この秋は南部町特産の美味しいフルーツをぜひ食べに来てください。
名久井農業高校は今日から4日間、3回目の考査となります。
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