教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

鯨に捕らわれたオーストラリア

2010-01-11 00:00:53 | 経済/経済/社会
例のシーシェパード問題でオーストラリアに注目してみたら、これがまた対外トラブルが出るわ出るわ・・・。
対日だけではなく、対中・対印・対インドネシア・対レバノン・対有色とか、もともとこの手の問題が出まくっている国家なのだと改めて気がついた。
そこらへんについては今日の主題ではないので(※1)を参照ねがう。

まあそれはいいとして。

ひところは白人国家が総出で反捕鯨圧力を日本にかけてきていた。
しかしふと気がつくと、目立った動きをしているのは今やオーストラリアだけだ。

なぜなのだろうか?



本来的には白人国家にとって反捕鯨圧力はとても扱いやすい。
国内で鯨にかかわる産業は全く無いからだ。
政治家にとって反捕鯨スタンスをとることは、有権者のだれかから文句を言われかねないという政治的リスクがゼロなまま環境保護アピールをすることができるという、しかも口先介入だけでほとんど実働は伴わなくても良いという、実に使い勝手の良い扱いやすい問題なのだ。

どうせ政府レベルでも、ちょっと圧力をかけてやればカンタンに日本は反捕鯨圧力を受け入れると考えていたに違いあるまい。
しかし今はどうだろう。
オーストラリアを除く白人国家で、日本へ強い反捕鯨圧力をかけてくる国はない。

これのはっきりとした理由はわからん。
わたしの推測では、日本国内の世論が白人国家からすれば意外なほど極端に捕鯨賛成へと偏っているからではないかと思われる。

もともと白人国家では捕鯨しなくても全く困らない。
しかしニホンは違う。
有史以前から捕鯨にかかわってきた文化があり、その文化を完全否定されることに強い抵抗を感じる。
日本は白人国家には理解できないほど強硬に捕鯨賛成だ。
これは白人国家が予想できなかったことだ。

では今はどうだろうか。
欧米でも、単なる無名の野党議員ならば反捕鯨スタンスをとることで政治的なアピールをすることができるため、今でもそうやって日本叩きを言ってるヤツらは少なからずいてもおかしくない。

しかし政府レベルではそうでもなかろう。
はっきり言ってヤツらにとっては捕鯨問題なんて国家の運営としてはどーでもいいような事だ。
だからそんなどーでもいいような事で日本といらんモメゴトを抱え込むのはリスクがあると考え、あまり強いメッセージを発行したがらないのではなかろうかと思われる。



ではなぜオーストラリアだけ日本に対し強硬に反捕鯨圧力をかけてくるのか。

オーストラリアは2007年に長年続いた自由党政権がひっくり返った。
自由党はもともと親日だった。
しかし、そのひっくり返した労働党がクセモノなのだ。

労働党は強く環境アピールすることで政権を手にした。
環境アピールに鯨を使った。
そしてその鯨を使った環境アピールは驚くべき成功をおさめた。
ついにはオーストラリアにとっては鯨を守るということと地球環境を守るということは同義語にまでなってしまっている。

だから捕鯨をする国は地球環境を守る姿勢を見せない道徳的に問題のある国に見える。
だから日本が文化的側面や鯨の生態活動や統計情報をもって論理的に反論したところで道徳的に受けつけない。
だから何の気なしにカンガルーや牛を殺すにもかかわらず鯨を殺すのだけは道徳的にガマンできない。
だから国内でディンゴやコアラが激減しているのには大した関心も示さず、鯨だけにだけ異常に強い関心をよせる。



さらにオーストラリアにだけある特殊事情がある。

基本的に西欧諸国は第二次産業(製造業とか)や第三次産業(金融とかサービス業とか)が強い。
米/英/独/伊/仏のどれをとってもそうだ。
そして日本もそうだ。

しかしオーストラリアはそうではない。
オーストラリアは第一次産業(農業とか)だけだ。

http://www.jetro.go.jp/world/oceania/au/

↑JETROの統計情報を見てもわかるように、輸出のほとんどは地下資源か農作物で、輸入は石油をのぞくと工業製品がズラリと並ぶ。

これは何を意味するのか?

オーストラリア人から見ると・・・
自分の国からはトンあたりいくらみたいに安く買っていって、自分の国にはそれを加工した高価な電子機器を売りつけにきやがる。
しかも同じ白人に負けるならまだしも、白人でもない日本人がやりやがる。
内心それに不満が無いといえばウソになる。

実際問題としてはこれは正しくない。
オーストラリアは総体として貿易赤字が酷い国なのだが、対日本では大きな貿易黒字になっている。
オーストラリアは1人あたり300万円近い対外債務があるような、ある意味でヤバい国なのだが、日本はそれと違って実に良いお客さんなのだ。
だからわたしは気にする必要はないと思うのだが、当人がそう思うかどうかはまた別問題だ。

こういうのはイギリスとは全く事情が異なることだ。
イギリスはヨーロッパ最強の金融大国でもある。
そもそもイギリスは世界で最初に産業革命をなしとげた国だ。
今は製造業はあまり強いとは言いがたいが、グラクソスミスクラインやARMのような製造業に係る優良企業もたくさんある。

イギリス人は日本人を見下しているかもしれないが、それはある意味で当然のことで、オーストラリア人が日本人を見下したいのとはわけが違う。
どちらかというと韓国人が日本人を見下したい感覚に近いだろう。

そもそもオーストラリアは移民に寛大な政策をとっており、比較的カンタンに国籍をとれる。
そう思えば自由な多民族国家を標榜しているようにも見えるが、実際には※1で記したように人種問題が極めて強く根付く国なのだ。
オーストラリアからはオバマ大統領は絶対にでないのだ。

だからアイスランドが捕鯨するのにはうるさく言わないくせに、日本の捕鯨だけはうるさく騒ぎたがるわけだ。



この風潮を敏感に察知したのが現政権の労働党だ。
自分が政権を握るために鯨を利用した。

もともと親日だった自由党に比べ、労働党はもともと親中の毛がある。
だから鯨を利用して反日をアピールすることで中国と接近したい考えもあったに違いない。

ところがこの作戦は政権運営に際し支障をきたしているとしか思えないフシがある。
ジャイアン国家の中国が日本と同じようにお付き合いができると思ったのが間違いだった。

人権問題にうるさい労働党にとって中国はガマンならんことをたくさんやる。
たとえばチベット問題とか。

そこで今頃になってようやく「日本サヨナラ中国マンセー政策」は不可能だと見限り、価値観的に中国よりは欧米よりな日本と再接触を図ろうとしている。
しかしうまくいっていない。

自分でたきつけた捕鯨問題がたきつけ過ぎになっていて、逆に今となっては思うような政策を取れなくなってしまっている。
「策士、策にハマる」とはまさにこのことだ。
某南北分断国家のように、反日を国定とすることで内政の諸問題が紛糾するのを避けたのだが、逆に反日に捕らわれすぎて外交問題で国益を損なうことになろうとも近視眼的な反日行動しか取れなくなってしまっているような、そんなどっかの国とソックリだ。

だれかがオーストラリアのことを「白い朝鮮人」といったが、こういう意味でも実に言いえて妙だと感じる。
(本来の「白い朝鮮人」の意味は、こちらが何を言おうが相手の事情や意見に耳を傾ける気がさらさらなく、自分が絶対に正しく相手が絶対に悪いと信じて疑わないような捕鯨問題の態度が、日本に対する朝鮮人の態度にソックリだというところから来ている侮蔑語)



この問題をどうやったら片付けることができるのかはサッパリわからん。
オーストラリアの現政権にとっては切るカードが1枚もないことだけは確かだが。



【※1 オーストラリアの対外トラブル】

オーストラリアの日本人殺害請願放送
http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-147.html

急速に悪化する「豪中関係」、両国で注目集まる―中国報道
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0824&f=politics_0824_005.shtml

豪州で広がる「カレーバッシング」 対印関係に暗雲
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/090603/asi0906031942006-n1.htm

オーストラリア とインドネシアの微妙な関係
http://www.nanzan-u.ac.jp/~moriyama/column/doushin16.pdf

シドニーで白人による人種差別暴動
http://www.encyclopedia.com/video/fDhp0OL-klk-australian-racist-cronulla-riots.aspx

オーストラリア人の約1割は人種至上主義者=調査
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-33990220080929