教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

モンスター退治経済論

2010-07-14 00:04:01 | オタネタ全般
多くのRPGでは、モンスターを退治するとお金をもらえるシステムになっている。

なぜこんなシステムになっているのか?
その世界はどういう社会構造で、どういう市場経済になっているのか?

この疑問にまともに答えたゲームはほとんどない。
今回はその問題を取り扱いたいと思う。



この問いに答えられるいちばんカンタンな設定がある。
例えばアニメ版ドラクエの勇者アベル伝説だ。

この世界では、宝石の魔力を転換してモンスターにつくりかえる。
モンスターを倒したら元の宝石に戻る。
宝石には換金性がある。
だからモンスター退治はカネになる。

これ以外にも、たとえばモンスターはマナを吸収したなにがしかによってできていて、モンスターを退治するとマナを吸収して付加価値のついたなにがしかを入手できるという設定もある。
これも同様だ。

しかし、どんなゲームにもそんな安易な裏設定があるとは考えにくい。
もうちょっとマシなリクツをひねり出してみよう。



そもそもモンスターとは何か。

一般にモンスターとは、凶暴で積極的に人を襲うものとされている。
現実世界において田畑を荒らして農家を悩ます野獣よりもさらにやっかいな害獣だ。

そんなヤツらが外をウヨウヨしていたらどうなるか。

まず外出できない。
だから人々はコロニーを作り、モンスターが容易には入ってこれないように柵をつくり、命知らずの冒険者以外は街や村だけで生活することになる。

その場合に何か問題はおきないのか。

恐らく、マルサスの罠にはまる。

この場合のマルサスの罠とは、人々はコロニーの外へ出たら死ぬかもしれないという制限があるため、世界において耕作可能な土地が余っていたとしてもそのコロニー内の土地でしか農産物の収穫を行うことができず、経済発展や人口増加に上限が発生してそれ以上豊かになれないことを指す。
そうでなくても一定の確率で柵の中にモンスターが入りこむという、国防上の重大な懸念事項が恒常的に発生し続ける。
ファンタジー世界において人間様より強いモンスターがうじゃうじゃいるという現実は、経済発展や人口増加に致命的な悪影響をおよぼすのだ。

それを解決するにはどうすればよいか。

安易に考えつくのはモンスター退治であろう。

やりようはいくつかありそうな気がする。
たとえば軍をもってして組織的にモンスター退治を行う方法など。

しかし、この方式を採用している国家はほとんど見たことがない。
恐らく、モンスターエンカウント率を考えたら、軍を派遣するという行為は負担が多きすぎるという判断であろう。
(そもそも民間でできることを公務員にやらすのは効率からいって一般に愚策である。)

そうではない方法がある。
民間を活用するやりかただ。

たとえばモンスターを退治した者には褒章を与える。
そうすればモンスター退治を自発的にやってくれる冒険者が現れる。
モンスター退治そのものがビジネスとなりうるのだ。
しかも冒険者は必ず宿屋に泊まり、定期的に武器防具を買い替え、ときには教会に巨額のお布施をして蘇生を依頼してくる。
非常に効果的な公共事業になりうるのだ。

ちょっと違うかもしれないが、アニメ版ドルアーガの塔もそんな感じだった。
そこでは城下町ならぬ塔下町で冒険者あいてのビジネスが栄えていたではないか。

さらに利点がある。
無職の若者にはとりあえず武器防具を与えてやり、外へ放り出せば良い。
うまくいけばモンスターを退治してくれる。
うまくいかなくてもマルサスの罠にハマった余剰人員を適度に削減するのに貢献してくれる。



ちなみにこの問題には大きな地域格差が発生する。
モンスターの強さに大きな地域差があるからだ。

運良く主人公が登場するような国では、さほど凶暴なモンスターもいないので大きな問題にはそうそうならないだろう。
しかし、世の中には異常に強いモンスターがウヨウヨしている街も当然ある。

そういう街は大変だ。
そもそもモンスターを倒せるだけの熟練冒険者が限られる。
労働の供給が極端に制限されるため、賃金は非常に高額になる。
モンスターを倒した者に支払う対価がものすごく高くなるのだ。

その対価はどこから支払っているのか。

もちろん国家予算からだ。
GDPにしめる国家の国防支出が極端に高い国になるだろう。
とうぜんながら国民は重税に苦しむことになるし、社会保障費にも予算をまわせないし、民間の投資需要も圧迫する。

しかし、モンスター退治というものが非常に大きなビジネスとなっているため、その分野は突出して発展することになる。
具体的には、非常に強力な武器防具が開発されるということだ。
モンスターが強力な地域では強力な武器防具が売られているのも、ある意味当然なのだ。
(ドラクエを見てみればいい。スライム程度しか出ない最初の頃の街なんて、製鉄技術すらなく銅の剣しか作れないほど文明として停滞しておるのだ。)

きっと、1人あたりの能力の非常に高い軍を組織できるに違いあるまい。
さほど裕福でもないくせに軍事テクノロジーだけはアメリカと肩を並べることができていた旧ソ連がそんな感じであろう。
モンスターにより国家存亡の危機にある国は、その国防能力の高さゆえに他国からの侵略により国家存亡の危機に合う確率はきっと低くなる・・・かもしれない。