(・・・前回の国内事情からのつづき)
では。
世界を見たらどうなのだろうか。
日本では電力会社というと絶対つぶれない安定した会社というイメージがある。
しかし世界ではそうではない。
たとえばアメリカ。
アメリカでは電力会社というものは3000社くらいあるそうな。
ほとんど無数にあるといってもいい。
たぶん東電がアメリカにある会社だったとしたら、もうダントツで第一位の規模を有した会社になっているはずだ。
そしてその無数の電力会社はしょっちゅうプチプチ潰れているらしい。
エンロンも潰れたしね。
そのおかげで市場原理が働いて電気代は安くなるかもしれないが、株を買うという立場からするとおっかない。
ヨーロッパはどうか。
アメリカより多少マシなようだ。
長い年月をかけてゆっくりと大が小を買収するという統廃合が進んでいるようだ。
電力事情も日本とはだいぶ違うところがある。
まず大規模石炭発電。
これはヨーロッパでは環境破壊の代名詞的存在らしい。
石炭発電所の前でデモもあるそうな。
イギリス政府としても石炭発電はもうあと何年かで全廃するとかいう話をしている。
日本ではちょっと考えにくいな。
だから日本における電源開発のような欧米の電力会社の株を買うのはよりリスクがある。
つぎに太陽光発電。
これは南欧では盛んだが、北にいけばいくほどやる気がなくなっているような気がする。
考えてみればそれも当然で、高緯度地方は日射量が少なくなるので発電量が減るから当然なわけだ。
デンマークも太陽光発電についてはやる気がない。
代わりに風力発電をアホみたいに建てている。
しかも国内では使い切らんほど発電していて、あまった電力は二束三文でドイツに売っているくらいらしい。
イギリスも太陽光発電についてはやる気がない。
その代わりなのかどうか知らんが、風力発電にやたら気合い入れている。
沖合いに7000機とか風車を建てるとか言い出している。
イギリスは北海油田もってるから原油価格がどうなろうが関係ないのかと思っていたが、実はそうでもないらしい。
北海油田が枯れはじめたことにビビりはじめたようなのだ。
さて。
これで儲かるところはどこだろうか。
風車そのものの運用では商売にならないことは先に述べたとおりだ。
だから発電業者には興味はない。
でも、そうではなくて、送電なら商売になるかもしれない。
太陽光発電の場合、自宅の屋根にパネルを設置して自分でその電力を使うというようなことも想定されている1例である。
そういう場合には送電需要は減るかもしれない。
しかし、風車で発電した電力は必ず送電しなければならない。
風車をメインに位置づけている国ならば、送電需要は減らないかもしれない。
なんでそんなに送電にこだわるかというと・・・
欧米では発電と送電と配電は別の会社にわかれているらしいからだ。
これも日本ではちょっと考えにくいことだ。
たとえばイギリスの場合、発電の会社と送電の会社は別々に上場されている。
発電の会社はいくつも上場しているのに対し、なぜか送電は1社が独占してやっている。
その送電の会社の株を買うのはおもしろいかもしれない。
ナショナルグリッドという会社だ。
ためしに調べてみた。
そこで2つほど日本と違うことを見つけた。
1つめ。
この会社はかなり株価純資産倍率が高い。
東電などとは比較にならんほど高い。
なぜかと思ってネットをウロウロしてみたところ・・・
どうやら欧米の電力会社は、民営化前の国家予算でつくった電力網の設備を使い倒すのに熱心で、東電のように設備投資を継続的に行って常に更新していくことはやらないらしい。
ようするに減価償却の済んだ枯れた設備をたくさん持っているから帳簿の上では株価純資産倍率が高いということになるようだ。
2つめ。
この会社はかなり配当が多い。
日本の会社は一般的に配当性向は30%くらいだが、この会社は儲けの大半を配当しているようだ。
この2つの事実から思うことがある。
設備を更新しなければならないとき、この会社どうするのかということだ。
古い設備がたくさんあるから、いつかは更新しなければならない時期がくる。
新しく建造される風車にも送電線はつなげなければならない。
儲けの大半は株主に配っているために内部保留もあんまりないから、儲かってるくせにカネ持ってない。
自己資本比率も低すぎはしないが高くもないので銀行からひっぱってこれる額もたかが知れている。
いったいどうすんだよ、おい!
このままでは済まんのではないのか?
・・・と思っていたところ。
「風車につなぐために設備投資しないといけないから株主割当増資をします」
と言い出した。
このままでは済まんという読みは的中した。
増資後の理論価格を株主割当増資の額と規模から前/後で株価純資産倍率が等しくなるように計算してみた。
でも、それ以上にもう1段くらい値下がりした。
なぜだろうか。
自己資本比率は高まったはいいものの1株あたりの売上が減るのを嫌気されたのだろうか。
しかし、少なくともわたしの抱いていた投資資金の面での懸念材料は無くなった。
実はもう1つ別の懸念点があった。
風力発電の規模が大きすぎることだ。
あれだけ風車つないだら電力系統が安定しないのではなかろうかという懸念だ。
しかし、それもうまいことやる算段がついていた。
イギリスとオランダの間で直流送電をやるというものだ。
なるほど、あまった電力は欧州大陸へ流すのか。
なら納得だ。
でも、たったそれだけのためにあの距離の電力伝送をやるのだろうか。
(距離が長いから直流送電にするのは妥当)
・・・と思っていたところ。
この直流送電、実はそれだけではなかった。
もっとスケールの大きな話だった。
ヨーロッパではとある計画が立ち上がっている。
アフリカのサハラ砂漠に太陽光発電パネルをクソほど並べて、そこで得られた電力をヨーロッパに送るというものだ。
その巨大な電力網のほんの1部の計画が英蘭の直流送電のようなのだ。
なるほど。
それならば、イギリスの風車の余った電力を大陸へ流すにしろ、ヨーロッパで余っている太陽光起因の電力をイギリスへ流すにしろ、どちらにも使えるようになっているわけだ。
これならばどう転んだところで送電屋は儲かる。
しかもイギリスでは送電屋は1社しかない独占家業だから、競合に競り負けて潰れるようなこともおきやしない。
ということで。
ロンドン上場のナショナルグリッド(NG.L)の株を買ってみた。
こちらはまだ買ったばっかりなので、まだ勝ちも負けもクソもない。
そんなに短期に値上がりしなくてもいいから、株価が安定していてプチプチと配当くれればそれで満足だ。
追伸1:
この件にはあまり関係ないのだが、もう1つ懸念点がある。
ヨーロッパの国や海をまたいだ送電が盛んになるのを見て、日韓でも送電しようとどっかの韓国人が言い出しやしないかということだ。
もちろん堅くお断りしたい。
追伸2:
ちなみにわたしは電験2種ホルダーだが電力業界には全く関係ないところに住んでいる。
だから今回のは単なるシロウトの戯言。
では。
世界を見たらどうなのだろうか。
日本では電力会社というと絶対つぶれない安定した会社というイメージがある。
しかし世界ではそうではない。
たとえばアメリカ。
アメリカでは電力会社というものは3000社くらいあるそうな。
ほとんど無数にあるといってもいい。
たぶん東電がアメリカにある会社だったとしたら、もうダントツで第一位の規模を有した会社になっているはずだ。
そしてその無数の電力会社はしょっちゅうプチプチ潰れているらしい。
エンロンも潰れたしね。
そのおかげで市場原理が働いて電気代は安くなるかもしれないが、株を買うという立場からするとおっかない。
ヨーロッパはどうか。
アメリカより多少マシなようだ。
長い年月をかけてゆっくりと大が小を買収するという統廃合が進んでいるようだ。
電力事情も日本とはだいぶ違うところがある。
まず大規模石炭発電。
これはヨーロッパでは環境破壊の代名詞的存在らしい。
石炭発電所の前でデモもあるそうな。
イギリス政府としても石炭発電はもうあと何年かで全廃するとかいう話をしている。
日本ではちょっと考えにくいな。
だから日本における電源開発のような欧米の電力会社の株を買うのはよりリスクがある。
つぎに太陽光発電。
これは南欧では盛んだが、北にいけばいくほどやる気がなくなっているような気がする。
考えてみればそれも当然で、高緯度地方は日射量が少なくなるので発電量が減るから当然なわけだ。
デンマークも太陽光発電についてはやる気がない。
代わりに風力発電をアホみたいに建てている。
しかも国内では使い切らんほど発電していて、あまった電力は二束三文でドイツに売っているくらいらしい。
イギリスも太陽光発電についてはやる気がない。
その代わりなのかどうか知らんが、風力発電にやたら気合い入れている。
沖合いに7000機とか風車を建てるとか言い出している。
イギリスは北海油田もってるから原油価格がどうなろうが関係ないのかと思っていたが、実はそうでもないらしい。
北海油田が枯れはじめたことにビビりはじめたようなのだ。
さて。
これで儲かるところはどこだろうか。
風車そのものの運用では商売にならないことは先に述べたとおりだ。
だから発電業者には興味はない。
でも、そうではなくて、送電なら商売になるかもしれない。
太陽光発電の場合、自宅の屋根にパネルを設置して自分でその電力を使うというようなことも想定されている1例である。
そういう場合には送電需要は減るかもしれない。
しかし、風車で発電した電力は必ず送電しなければならない。
風車をメインに位置づけている国ならば、送電需要は減らないかもしれない。
なんでそんなに送電にこだわるかというと・・・
欧米では発電と送電と配電は別の会社にわかれているらしいからだ。
これも日本ではちょっと考えにくいことだ。
たとえばイギリスの場合、発電の会社と送電の会社は別々に上場されている。
発電の会社はいくつも上場しているのに対し、なぜか送電は1社が独占してやっている。
その送電の会社の株を買うのはおもしろいかもしれない。
ナショナルグリッドという会社だ。
ためしに調べてみた。
そこで2つほど日本と違うことを見つけた。
1つめ。
この会社はかなり株価純資産倍率が高い。
東電などとは比較にならんほど高い。
なぜかと思ってネットをウロウロしてみたところ・・・
どうやら欧米の電力会社は、民営化前の国家予算でつくった電力網の設備を使い倒すのに熱心で、東電のように設備投資を継続的に行って常に更新していくことはやらないらしい。
ようするに減価償却の済んだ枯れた設備をたくさん持っているから帳簿の上では株価純資産倍率が高いということになるようだ。
2つめ。
この会社はかなり配当が多い。
日本の会社は一般的に配当性向は30%くらいだが、この会社は儲けの大半を配当しているようだ。
この2つの事実から思うことがある。
設備を更新しなければならないとき、この会社どうするのかということだ。
古い設備がたくさんあるから、いつかは更新しなければならない時期がくる。
新しく建造される風車にも送電線はつなげなければならない。
儲けの大半は株主に配っているために内部保留もあんまりないから、儲かってるくせにカネ持ってない。
自己資本比率も低すぎはしないが高くもないので銀行からひっぱってこれる額もたかが知れている。
いったいどうすんだよ、おい!
このままでは済まんのではないのか?
・・・と思っていたところ。
「風車につなぐために設備投資しないといけないから株主割当増資をします」
と言い出した。
このままでは済まんという読みは的中した。
増資後の理論価格を株主割当増資の額と規模から前/後で株価純資産倍率が等しくなるように計算してみた。
でも、それ以上にもう1段くらい値下がりした。
なぜだろうか。
自己資本比率は高まったはいいものの1株あたりの売上が減るのを嫌気されたのだろうか。
しかし、少なくともわたしの抱いていた投資資金の面での懸念材料は無くなった。
実はもう1つ別の懸念点があった。
風力発電の規模が大きすぎることだ。
あれだけ風車つないだら電力系統が安定しないのではなかろうかという懸念だ。
しかし、それもうまいことやる算段がついていた。
イギリスとオランダの間で直流送電をやるというものだ。
なるほど、あまった電力は欧州大陸へ流すのか。
なら納得だ。
でも、たったそれだけのためにあの距離の電力伝送をやるのだろうか。
(距離が長いから直流送電にするのは妥当)
・・・と思っていたところ。
この直流送電、実はそれだけではなかった。
もっとスケールの大きな話だった。
ヨーロッパではとある計画が立ち上がっている。
アフリカのサハラ砂漠に太陽光発電パネルをクソほど並べて、そこで得られた電力をヨーロッパに送るというものだ。
その巨大な電力網のほんの1部の計画が英蘭の直流送電のようなのだ。
なるほど。
それならば、イギリスの風車の余った電力を大陸へ流すにしろ、ヨーロッパで余っている太陽光起因の電力をイギリスへ流すにしろ、どちらにも使えるようになっているわけだ。
これならばどう転んだところで送電屋は儲かる。
しかもイギリスでは送電屋は1社しかない独占家業だから、競合に競り負けて潰れるようなこともおきやしない。
ということで。
ロンドン上場のナショナルグリッド(NG.L)の株を買ってみた。
こちらはまだ買ったばっかりなので、まだ勝ちも負けもクソもない。
そんなに短期に値上がりしなくてもいいから、株価が安定していてプチプチと配当くれればそれで満足だ。
追伸1:
この件にはあまり関係ないのだが、もう1つ懸念点がある。
ヨーロッパの国や海をまたいだ送電が盛んになるのを見て、日韓でも送電しようとどっかの韓国人が言い出しやしないかということだ。
もちろん堅くお断りしたい。
追伸2:
ちなみにわたしは電験2種ホルダーだが電力業界には全く関係ないところに住んでいる。
だから今回のは単なるシロウトの戯言。